【鶴川団地対談インタビューVol.7】 ご近所の友人である平野さん一家 親も子ものびのび生きる、鶴川の子育てライフ

鶴川団地で暮らす人たちや町田市民、団地で暮らすコミュニティビルダーを中心に、団地の新たな魅力を発信する「未来団地会議 鶴川団地プロジェクト」。

そこでコミュニティビルダーとして活動しているのが石橋さんと鈴木さんです。

鶴川団地での暮らしが始まってから、もうすぐ二年の月日が経とうとしています。これまで団地暮らしの先輩方やお店を営む方、同世代の仲間など、様々な方が登場してくださった対談インタビューも7回目に。二人の輪の広がりと共に、鶴川という地域の現在地が見えてきます。

今回は二人のご近所さんで、休日にはお家でBBQもする仲という平野さん一家から、働くママである育子さんが登場してくれました。三人の子どもたちを育てながら、ご自身の飲食店「食堂POCO」を経営されています。

普段の会話では深く話すことのない、鶴川での子育てを中心にお話を聞きました。

東京で見つけた、のびのびとした学習環境

平野一家より、末っ子さんも同席してくれました

石橋さん&鈴木さん「今日はよろしくお願いします!」

育子さん「私で良いのかな?(笑)でも、他の地域から引っ越してきた身として、そこの違いはけっこう話せる気がしてる」

石橋さん「お、すごく気になるポイントです」

鈴木さん「もともと横浜の方で暮らしていたところから、鶴川への引っ越しを決めたきっかけは何でしたか?」

育子さん「最初は場所というよりは、家の条件だけで探していましたね。鶴川にも条件の合う中古の物件があったので、見に行ったのが最初です。内見したお家がすごく綺麗で、予算的にも良くて。

そしたら、その家にもともと住んでいた人が『この辺はめっちゃいいよ』と言い残していったんだよね。わざわざ伝えたくなるほどいい地域なのかと、すごく気になりましたね(笑)住み始めてから、もしかしてこのことかな?と感じることが多々あります」

石橋さん「それは面白いですね。その方がどんな楽しみ方をしていたのか、答え合わせがしたくなる」

鈴木さん「引っ越したきっかけは家の条件だったけど、なんとなくこの地域への期待感はあったんですね。育子さんは三人のお母さんでもありますが、引っ越した時の子どもたちの反応はどうでしたか?」

育子さん「一番上の子は小学6年生のタイミングで気がかりではありましたが、学校に行って帰ってきた第一声が『給食がめっちゃうまい!』でしたね」

石橋さん「(笑)給食は学校へ行く楽しみの一つなので、大事ですよね。食の質って教育の質にも繋がっている気がします」

育子さん「給食もそうでしたが、教育方針もだいぶ色が違いましたね。それまでの地域では中学受験をすることが普通の価値観だったので、学校の授業もペースが早かった。塾に通っている前提で学習が進むので、子どもも私もついていけない部分がありました。

鶴川で通い始めた学校は、一人一人のペースに合わせて授業が進みます。習熟度別で三つくらいのクラスを選べる科目もあって。『今日は苦手な内容だからゆっくり目のクラスで受けよう』という形で、自分で選択できるのもとても良くて、手厚いなと思いました。

もちろん、どちらの教育スタイルが良い悪いではなく、相性や選択の問題だと思います」

鈴木さん「自分のペースで学習に取り組めるのは嬉しいですね。自分がまだ子育てをしていないので全然知らなかったことだけど、すごくいいなって思いました。これを知って、鶴川に住みたいって思ってくれる人も結構いそう!」

育子さん「のびのびした子育てをしたい人には本当に合うと思います。受験を見据えて学習メインで考えたい人にはもっと合う地域があるかもしれないし」

鈴木さん「家庭の教育方針、子どもの特性や希望に合わせて、鶴川が良さそうって感じていただけたら一番嬉しいですね」

石橋さん「僕の家は転勤族で小学校もよく変わっていたので、やっぱり校風によって居心地の良さが分かれるのはすごく分かります。

6年生で転入するのって、本人も同級生も打ち解けるまで難しいイメージがありますが、その辺りはいかがでしたか?」

育子さん「いい意味でクラスの団結力が強かったので、最初は少し戸惑ったみたい。でも先生たちも一人一人をしっかり見てくださるので、安心できたかな。

これは最近の話ですが、長女の修学旅行で、予定していたキャンプファイヤーが感染症の影響で中止になってしまったんです。後日、先生たちが動いてくれて、学校の校庭でキャンプファイヤーを実現できたんですね。今の時代にそんなことあるんだって、先生たちの情熱や行動力に驚きました」

石橋さん「熱い先生たちが残っているんですね」

育子さん「そうそう。うちの旦那さんなんて、先生の思いに触れて、個人面談と授業参観のどちらも泣いていました(笑)」

自然にあいさつが飛び交う、“守られ感”のある団地圏

鈴木さん「学校以外で、鶴川での暮らしはいかがですか?」

育子さん「前に住んでいた地域と比べて、感覚が田舎に近いかもしれない。都会では知らない人と壁をつくりがちだけど、この辺りだと外を歩いているだけで、近所の人が『こんにちは』といきなり話しかけてくれる」

石橋さん「めっちゃ分かります。特にいおじいちゃんおばあちゃんはよく話しかけてくれる。ゴミ捨てに行った時にすれ違うと絶対に『おはようございます』と挨拶を交わしますね」

育子さん「初めの頃はその状況に慣れなくて、あれ?会ったことあったっけ?と考えてしまったけど、人に会ったらまず挨拶って普通のことだよなって思い出しました」

石橋さん「そういう当たり前だったコミュニケーションが、まだこの地域には残っていますよね」

育子さん「あと驚いたのが、家族で行ったご飯屋さんの店主の方が、『お母さんたちが仕事でいない時、困ったことがあったらいつでも来ていいんだよ』と子どもたちに言ってくれて。都会ではなかなか無いことだと思います。

子どもたちが行きつけの駄菓子屋さんに行く時も、近くのお店に顔なじみの大人たちがいることが多いから、『今日[末っ子]ちゃん、友達と遊びに来てたよ〜』と教えてもらうこともあります。自分が仕事をしていて、様子を見れない時間の話を聞けることも安心感がありますね。

こんなに世代が違うのにコミュニケーションが取れるなんて、初めてのことで驚きました」

石橋さん「飲み屋とかで相席になって、たまたま盛り上がったら話すくらい。少なくとも日中に、知らない人同士で交流が起きることは稀ですよね(笑)」

育子さん「普通はありえないよね。家族ぐるみで色々な世代と仲良くなれるっていう、けっこう謎の現象が起きてますね」

石橋さん「ただ、この現象が鶴川駅前のエリアでも起こるのかって言ったら、また分からないですしね。あったらかなり面白いですけど。団地周辺のエリア、”団地圏”とでも言いますか、その一体感があるような気もしています。

でも変な結託感はなくて、それぞれのスタンスで暮らしつつ、ゆるやかに繋がりを持てるのが心地いい」

育子さん「分かる。守られ感があるよね。今日もセントラル商店街のイベントで、私は面識がなかったけど、娘が顔見知りの方がいました。なぜ知っていたかというと、ここの地域って登校時の交通安全の旗振りが、地域のボランティアで成り立っているんですよね。保護者が当番制で行うのが一般的だと思うんですけど。学校で直接関わらない地域の方も、一緒に子どもを見守ってくれていることに感動しました。

他にも、子どもが学校帰りに通りかかるお花屋さんが、廃棄になるお花を持たせてくれることもあります。近所の飲食店の方も、夏の暑い帰り道に「喉乾いた…」と話す娘にお水を出してくださって…。現代の東京にもこんな世界線があるなんてね」

石橋さん「僕も少年時代、近所の大人との関わったことは、思い出として残っています。おつかいで近所の電気屋さんに行った時に、お店のおばちゃんと仲良くなったんです。その方がすごく聞き上手だったので、小学生のとりとめのない話をずっと聞いてくれて。それがうれしくて、その後も何度か通っていた記憶があります。今振り返ってみると、その経験のおかげで、知らない人とも抵抗なく話せる人間性を獲得した感覚もあって。

だから、この地域の子ども達はとても貴重な経験ができているんじゃないかと思って見ていますね。地域で人間性が育まれているなぁって」

育子さん「うちの子たちを見てると本当にそう思いますね。かなり広い幅の年代の方と、普段から自然とコミュニケーションが取れる、ありがたい環境です」

自分たちの人生を楽しむエネルギーに満ちた場所

石橋さん「職場と家庭以外にコミュニティを持てるのも良いですよね」

育子さん「自分の仕事に軸を持っているママさんも多くいるので、それはすごく心強い。親になるとどうしても、”ママだからこうしなきゃ”という思考になりがちだし、私も最初はそうでした。以前住んでいた地域では、学歴を重視した子育て色が強くて私には生きづらかった。

もちろん、良い悪いの問題ではなくて、何を選ぶかという話ですけど。鶴川に来てからは、自分のやりたいことと、頑張りすぎない子育てを両立する価値観で生きる仲間に出会えて、安心したかな。自分はこれで良いんだって思えた」

鈴木さん「たしかに、家庭以外での自己実現、仕事や趣味にも挑戦している人が多いなと思います。子どもたちだけじゃなくて、親世代も自分らしく暮らしている気がします」

育子さん「いい意味で変わった場所だよね」

石橋さん「僕たちとしても、一歩前を歩く先輩方の話を聞ける状況があるのはありがたいです。最後に、どんな方が鶴川団地の暮らしに合っていると思いますか?」

育子さん「すごく抽象的だけど。鶴川という地域は、自分の生き方の軸を持っている人たちが多いと思う。意思と意図があって移り住みたいって人は、特に楽しめるんじゃないかな。

団地付近は少し駅から離れているし、利便性に長けているわけではないけど、ここに集う人たちの目に見えないエネルギーがすごく高いんだよね。それに、そこで育った子ども達って、すごそうじゃない?」

石橋さん「次のジェネレーション!我々の世代も、そろそろ結婚や子育てのことを考え始める時期にさしかかってきますしね」

育子さん「団地の空室が減っていくと良いなと思ってる。場所はあるから、若い人たちが活用しやすいようになっていくと、もっと盛り上がると思う!

今はばしこ(石橋さん)やおすず(鈴木さん)たちが子どもと遊んでくれて、お世話になっているからね。次の世代が生まれる時には、孫のような感覚で一緒に見守っていきたい。恩返し的なね」

▼今回の対談ゲスト育子さんのお店「食堂POCO」

住所:横浜市青葉区みたけ台44-1 グレイスムラタH号室
電話:045-511-8363
Instagramアカウント:https://instagram.com/syokudou_poco

****

未来団地会議 鶴川団地プロジェクトについてはこちら!
https://yadokari.net/type/future-danchi/