【鶴川団地対談インタビューVol.4】  夢はセントラル商店街で夜市!  ハーモニーゼネラルストア 山科さんインタビュー

団地住民や町田市民、団地で暮らす「コミュニティビルダー」を中心に、団地の新たな魅力を発信する「未来団地会議 鶴川団地プロジェクト」。

そこでコミュニティビルダーとして昨年から活動しているのが石橋さんと鈴木さん。

 日々の生活の中で、商店街の人たちだったり、近所の人たちとも交流を深めてきたおふたりですが、最近、足しげく通っているお店があるのだとか……!

 それがセントラル商店街にある『古着 雑貨 趣味の店 ハーモニーゼネラルストア』。もともと古着が大好き! という石橋さんや鈴木さんの心を鷲づかみにしたお店のオーナーである山科茂さんにお話をお伺いしました。

冗談がいつのまにか実現 「ハーモニー」開店秘話

石橋「こんにちは! 今日はよろしくお願いします」

山科「対談なんて、大したこと話せないけど大丈夫?」

石橋「いやいや、いつも通りの感じでお願いします(笑)」

――早速ですが、ハーモニーさんは2021年9月のオープンだとお聞きしました。

山科「もともとはうちの店の前にある『夜もすがら骨董店』さんのお客さんなんだよ。夜もすがらさんは5年目になるんだけど、オープンして1年目から来始めていて仲良くなって。

で、ここに以前入っていた店舗はコットンと趣味の店っていう生地屋さんだったんだけど、閉店することになったんです。夜もすがらさんの女将さんが『店舗が空くみたいだったらやればいいじゃない』って冗談めいた感じで話していたら、実現したんです。本業があるんで、店は土日だけやっています」

石橋「看板も、当時のままなんですよね」

山科「そうそう。『ハーモニー』って名前はそのまま引き継いで。この字体も今は見たことないでしょ。棚も備え付けのものをそのまま使って」

石橋「洒落た棚がついてたんですね。改装は全部自分たちでやったんですか?」

山科「そう。兄弟でこの店をやっているんだけど、兄貴と床のPタイル剥がしたり、塗装したりして出来上がったんだよ」

――石橋さんとはどういったきっかけで知り合ったんですか?

山科「兄貴がひとりで店番しているときにたまたま来てくれたんだよね」

石橋「そうですね。商店街のそば屋さんにごはんを食べに行って、夜もすさんにでも寄ってから帰ろうかなとか思ってたら、『あれ、なんだこのイカした店は!?』『こんなイケてたお店前はなかったはず!』って、すぐに入って、いろいろ物色させてもらって。これは最高なお店ができたな、と思いました。

もともと古着がすごく好きなんですけど、鶴川団地に引っ越してきてからは服をどこで買おうかな、と悩んでいたんです。町田駅まで出るのもなあ、歩いていける距離で行けるのが好きだなあ、と思ったら、徒歩5分圏内の素敵な店が出来たから、もうこれから服はここで買えば完璧だと思いました」

山科「最初は金庫を買ったんだよね」

石橋「そうです。服を買いに来たのに、古い手提げ金庫を。何を入れようかとか何も考えずに一目惚れで買いました」

山科「兄貴から金庫買ってくれたよ~って、聞いたんだよね。おもしろい子たちが来たな、と思って」

中学生のころに通った商店街「やっぱり様変わりしたね」

――山科さんはもともと古着が趣味だったんですか?

山科「そう。好きで自分たちが着るものを買ってたんだけど、やっぱり好きが講じるとだんだん病気みたいになっちゃって(笑)自分のサイズじゃないものとか、これかっこいいな~!って買ってるうちに、モノがいっぱいになっちゃってさ。フリマにもよく出店してたな。」

――『夜もすがら』さんに通われていたっていうことはお住まいは、団地の近くなんですか?

山科「そう。ここ(鶴川団地)から車で10分くらいのところで、生まれも育ちも町田。近くに鶴川中学校があるんだけど、そこの出身なんですよ。

中学校のときはよく学校を抜け出して、『みはる』っていうご飯屋さんにみんなでメシ食いに来たり。いまはお好み焼き屋さんになってるところですね。

あとその先にパンドーラっていうパン屋でピザ配達しているところや『タコハチ』って和菓子屋さんがあって……ちっちゃい頃にはスーパーが全然なかったから、団地にあるスーパーヤマザキにみんな買い物に来ていました。

でも、中学を卒業してからはほぼ来たことがなくて、40手前ぐらいで夜もすがらさんを知ってからまた来るようになったんだけど、やっぱり様変わりしてるなあ、って」

石橋「ここ変わったなあ、って感じたところあります?」

山科「たくさんあるよ。商店街もだいぶ縮小したし、お店も少なくなったよね。

やっぱ切ないよね。お店なくなっちゃうのは。借りてくれてるところがあるからいいけど、事業所が増えちゃって、お店ではないからさ」

石橋「それは確かにそうですね」

山科「でも、夜もすがらさんみたいに洒落た店があって、向かいにも個性的なお店があったらおもしろいじゃん、って思ってて。イベントや蚤の市とかもやってるから、イベントきっかけでだんだん商店街が盛り上がったらおもしろいな、って思ってる。それで空いてるテナントで店をやりたいな、っていう人が出てきたら最高。4店舗ぐらい個性的な店ができたら、休みの日はあそこの商店街に行ったら……」

石橋「もう1日、ハッピーな休日が過ごせるなあ、みたいな。店をやられている方の人柄が感じられるのはいいですよね」

山科「そうそう。俺は結構話すのが好きだから。お客さんと話すの好き」

石橋「そのおかげですごく行きやすかったですね。また行きたくなったのは2人の人柄があるからだと思います。置いてるアイテムもめっちゃおもしろいし、やっぱりキャラクターもあったんですよね。このご兄弟、素晴らしいぞ、って」

自然発生的に商店街で生まれたエンターテイメント

山科「おすず(鈴木さん)が一緒に来たとき、おもしろかったよね。夜もすがらのご夫婦がバンドやっていて、お客さんにミュージシャンが多いんだけど、そのときにたまたま来ていたミュージシャンと即興でセッションしたりして。で、ばしこ(石橋さん)は踊れるから踊って」

石橋「ちょうど、蚤の市のリハーサルがてら、ミュージシャンのパーカッショニストのヒロシさんって方を始め、何人か来てたんですよね。店の前に座ってカホンとか、いろんな楽器で、演奏が始まって。演奏しているのが聴こえたら、勝手に体が動いてました。で、やってるうちに、セッションが始まった(笑)」

山科「蚤の市のときは本当にカッコよかったよね。演奏が盛り上がってきたところでばしこが真ん中で踊って。観ながら、ここ外国? 日本? このノリ、日本じゃないよね、って」

石橋「そうそう。蚤の市にはちょっと間借りして僕も出店させてもらっていたんですけど。気がついたら自然発生的にあの盛り上がりが生まれた」

山科「いや、エンターテイメントだったね」

石橋「盛り上がっているところに、みんなが椅子とか持ち寄って出してて。お好み焼き屋さんの女将さんがちょこんと座って『オールディーズなやつをリクエストさせてもらっていい?』なんて言ったりして」

山科「そう。ナミコさんっていうウクレレと銀盤の弾き語りのお姉さんがいて、リクエストを受け付けていたんだよね。女将さんが彼女の大ファンなんだよ」

石橋「やっぱり夜もすがらさんのお店があって、ハーモニーさんがあって、商店街全体にも盛り上がっているところに対してみんな寛容というか」

山科「夢は商店街を使って、たくさん出店してもらって、夜市をやりたいね」

石橋「夜市!」

山科「朝から晩まで、そんなお祭りをやりたい」

石橋「やばい、絶対楽しい!」

 「ハーモニー」は自然とお客さん同士が仲良くなる場所

――コミュニティビルダーの石橋さんに聞いてみたいことってありますか?

山科「コミュニティビルダーって名前がかっこいいね(笑)でもまあ、普段から名乗らないしね。コミュニティビルダーです、って」

石橋「そうですね。コミュニティビルダーというより、イチ生活者、普通に団地に住んでる人。肩肘張って、『やんなきゃ、やんなきゃ』みたいにやってると、逆にそれこそ関わる人たちもやらされてるのか? って感じるだろうから。

むしろあんまり意識せず、ナチュラルに生活していけたらいいなって思ってる中で、ナチュラルにハーモニーさんに遊びに来て、服を買ったりして、買わない日はお酒飲んでおしゃべりして帰る、みたいなだけの日もあったりするのが楽しいですね」

山科「俺らとしても、近所に住んでいる人にまず知ってもらいたいし、気軽に遊びに来られる場所になってほしいからね。うちは飲食じゃないからのんびり話にくるっていう雰囲気でもないし。

本当は店内にもっと座るところ作りたかったんだけど、商品置き出したら無理だった」

――結構、店の密度も高いですよね。

山科「最初、物を置き始めたときに、店の中がちゃんと商品埋まるかな、って心配してたんだよ。でもどんどん狭くなってきちゃって」

石橋「それがいいところですよね。ここのお店の通路って狭めじゃないですか。店の中で、他のお客さんとすれ違えないんですよ。すれ違えないぐらいの距離感だから、初めましてのお客さん同士でも、商品を見ているうちに自然と話し始めちゃったりとかして。お客さん同士で話が盛り上がったりとかしてる光景もすごく多い」

山科「趣味が似ている人たちが集まるから。興味がなかったら来ない場所だからね」

石橋「古着屋さんは、お店とお客さんという関係だけのところが多い中で、ハーモニーさんはお客さん同士でどんどん繋がっていっている。もはや店主はあずかり知らぬところでお客さん同士が仲良くなる感じがすごいと思います」

山科「古着っていうのが特殊な世界だからね」

石橋「確かに。パチンコの使い方をお客さんがお客さんにレクチャーする、なんてシーン、なかなか見られないですからね」

――最後に、コミュニティビルダーに向けてメッセージなどがあれば。

山科「ええ……がんばれ?(笑)俺がとんでもないコミュニティを作った男だったら、アドバイスもできるけど」

石橋「いやもうハーモニーさんで作られている空気感がもうまさに唯一無二ですから!これからもよろしくお願します!」

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