ここ2、3年いろいろな出来事があり、私たちはお互いに物理的な距離をとらなければならなかった。人とのつながりを憚れ、孤独を感じることも多かった。
会いたい人に会いにいくのも、新しい出会いを求め気ままに出かけるのも、長い間お預けを食らっていた。
同時に、多くの人がその存続に懸念を示したのが、まさに共同生活だった。文字通り、他人と生活を共にするということが、あの頃の「ルール」と社会風潮のなかで存在するには、あまりにもコントラストが強すぎるように思えた。
時が経ち、働き方、暮らし方が一変した今。多くの人がこれからの生き方を再定義するなかで、豊かな生き方を実現し、未来の社会のニーズに答え得る「共同生活」が人気を集めている。
社会問題を解決する一つの策として、一人ひとりが豊かな人生を手に入れる手段として、進化した「共同住宅での生活」の魅力について見ていこう。
さまざま形に進化した「共同生活」
共同生活と聞くと、学生寮や若者が集まる質素な宿をイメージする人が多いかもしれない。
しかし、昨今は、充実した家具、アメニティにジム、屋上テラス、カフェなどの設備が整った、リッチな共同住宅が増えてきている。
たとえば、ロサンゼルスの「TreeHouse Coliving」は、ミュージシャンを目指す人々のために制作スタジオを併設。アートスタジオも備わっている。
確かに、「共同住宅」は家賃の折半ができ、コストカットには最適な選択肢ではある。しかし、共同住宅を選ぶニーズはそこだけじゃないような気がする。「モノ」ではなくコト、体験や経験にお金をかけると今もこれからも充実する。
自分のやりたいことが叶う設備やアメニティ豊かな共同住宅での生活は、コミュニティ構築と経験そのもの。少しお金がかかっても、そこで得られるものは非常に大きいだろう。
多世代共同生活で得られるもの
シニア世代が豊かに生きるためのコンセプトを持った共同住宅がある。たとえば、アメリカのシニア世代向けシェアビルディング「Priya Living」。キャリアコーチングで得た学びや知見、ヨガクラスや趣味構築などのプログラム・イベントを通して、刺激的な人生を送れるような仕組みを提供している。
さらに、こういった共同住宅は、シニア世代の健康上のリスクも解決し得る。CDC(Centers for Disease Control and Prevention)によると、「孤立」は認知症のリスクを50%増加させるとのこと。共同生活は、こうした問題への有効な解決策にもなり、高齢者が長く自立して生活していける方法にもなるのだ。
またシニア世代向けだけでなく、多世代での共同生活にも注目したい。たとえば、子育てをするお母さん、お父さん、学生、高齢者、ビジネスパーソンが一つの場所で、互いに手を取り合って暮らすーー。温かい暮らしの風景が想像できる。
多世代共同生活なら、それぞれが抱える生きづらさや生活の悩みを互いに解決、サポートしあいながら暮らしていけるだろう。
参照元:SALTO, The Guardian, CDC, PRIYA LIVING