【イベントレポート】未来サンカク会議~△(リザルトパラダイム)の社会を▽(プロセスパラダイム)にする?~〈仕事終わり、飲み会前誰もがサンカクできる実験場〉
2023年9月22日(金)、横浜にあるYADOKARIの共同オフィス・qlaytion galleryで開催された「未来サンカク会議 」。
「暮らし」「生き方」「コミュニティ」「まちづくり」といった分野で新しい価値を探求してきたYADOKARI・はじまり商店街と、当日集まった参加者の方と共に、領域を超えて未来を創っていく、誰もが “サンカク” できるオープンな実験場です。
アットホームな雰囲気の中で行われた今回のイベントの様子をレポートします!
第3回目の開催となる今回は、ゲストにクルミドコーヒー/胡桃堂喫茶店店主の影山知明さんをお迎えして、多様性の中でお互いを活かしあうような「▽(プロセスパラダイム)な社会」をテーマにトークセッションとワークショップを行いました。
冒頭のアイスブレイクでは、近くの方と自己紹介。
「まだ話したりない!」そんな声があがるほど、あっという間に和気あいあいとした空間がつくられました。
そして、影山さんとのトークセッションの時間へ。
以前は、企業へのコンサルティングや投資ファンドに関わるお仕事をされていたという影山さん。お客様が立てた事業計画の達成に向け、並走する日々を過ごされていく中で感じたのは、「人が手段化されている。」ということ。事業計画に貢献出来る人は「使える人材」、そうでない人は「使えない人材」といわれてしまう現代の社会は、その人自身が持っている個性や、命のカタチに無理を強いているように思えたといいます。
こうした社会の在り方の対案として、カフェの経営をはじめとし、ご自身の活動の中で実践されているのがまさに、今回のイベントテーマとさせていただいた「△リザルトパラダイムな社会を▽プロセスパラダイムな社会へ変えていく」こと。
△リザルトパラダイムな社会
組織やシステムの目的のために人間が手段化されている社会のこと。
▽プロセスパラダイムな社会
一人ひとりがのびのびと自分を発揮し、互いにいかし、いかされる社会のこと。
そのようにも語られるそれぞれの社会は、一体どのようなあり方なのでしょうか。影山さんが営むカフェのこと、そのほかにも、教育、人間関係、仕事などの切り口から「▽プロセスパラダイムな社会」について、参加者のみなさんと一緒に考えていきました。
トークセッション ~▽プロセスパラダイムな社会について考える~
「▽プロセスパラダイムな社会」の実践として、事業計画や売上目標を作らず、その場にいる一人ひとりの個性を尊重しながら、カフェの経営をされてきたという影山さん。
「事業計画や採用のための条件はなく、個性を大切にしながらカフェを経営する中で、黒板を上手に書いてくれるメンバーがいたり、ブログを始めてくれたメンバーがいたりなど、通常の飲食店経営に留まらない、メンバーたちの秘められた能力が花開いた。」と語ります。
このように、「▽プロセスパラダイムな社会」では、一人ひとりのありのままの姿や個性を大切にする土壌が作られていくからこそ、予想だにしなかった価値がどんどん生み出されていくのだといいます。
そんなお話を受けて、「▽プロセスパラダイムな社会」について、カフェの経営だけに留まらず、さまざまな視点から参加者のみなさんやYADOKARIメンバーからの問いや想いが出てきました。
たとえば、今回のようなワークショップや学校教育の場。
–「学校教育で重視されているのは、決められたカリキュラムの中で、効率的に暗記をして受験やテストに合格すること。しかし、▽プロセスパラダイムな社会を目指していくためには、答えがでない問いに対して探求する機会も大切なのではないか。」
–「学校には「あるべき学生像」みたいなものが掲げられてることがあるけれど、子供たちの個性が失われていないだろうか。」
そして人間関係、
–「夫婦関係についても、お互いに「こうあってほしい」という役割を求めてしまうことがある。もっと自由であるがままの、パートナーの姿を尊重出来るといいよね。」
–「自分はリレーションシップアナーキーというものを実践していて…。『恋人』、『友達』など、関係性に名前を付けないようにしている。相手との関係性に名前を付けると、自分でも気づかないうちに、「こうあってほしい」などと相手に求めてしまうけれど、関係生にラベルをつけないことを始めてからは、人間関係がとても楽になったような気がする。」
–「私たちYADOKARIが関わらせていただくお仕事って、暮らしにまつわる事業が多い。暮らしや人としっかり向き合おうとすると、複雑なものと出会うことが多いし、それらを効率化していくのは難しい。でも、そういったものと時間をかけて地道に向き合うことが、成功への近道だったりもするんじゃないか。」
–「これまで効率を重視して生きてきたから、最初はこの話を聞いて受け入れられないような想いもあったけれど、個性や人間らしさってすごく大事なことだと感じた。」
参加されたみなさんにとって、自分・そして周囲の人の個性を大切にすること、組織として働くということ、その両方を両立させることの大切さを考えさせられる時間となったのではないでしょうか。
サンカクワークショップ~▽プロセスパラダイムなまちをつくろう~
後半では、グループに分かれて「▽プロセスパラダイムにシフトしたまちを考える」をテーマにワークショップを行いました。
まずはサンカク会議ではおなじみとなった、【ロールプレイカード】の登場。一人ひとりがカードをランダムに選び取り、どんなキャラクターを演じるかを決めていきます。こうして、いつもの自分とは違う自分を演じることにより、肩書きから解き放たれ、誰しもが “サンカク”しやすい場が作られていくのです。
まずは、個々の立場を演じながら、各チームが「学校」、「公園」、「病院」などまちのさまざまな機能のなかにある「△リザルトパラダイム」と「▽プロセスパラダイム」を探していきます。
たとえば「小学校」について話し合っていたチームでは…
△小学校は当たり前のように、6年間学校に通わなければならないけれど、▽学びたいことを自分で決めて、登校する期間を自分で決められる仕組みがあったらいいのではないか。
△受験ってなんだろう。偏差値の高い学校に志望校は偏りがちだけど、自分が行きたい学校を本当に見つけられるのだろうか。
▽「あなたにはこんな学校が合っているのでは?」そう言って学校選びを手助けしてくれる受験エージェントがいてもいいよね、などなど…。
そもそもなんでこんな仕組みができたのだっけ?など、固定概念をずらしていきながら、想像力をはたらかせてより自由なものに変えていく。社会や組織という枠を超えて、未来を創造する姿はまさに“ネオ残業”。
参加者のみなさんの笑顔やユーモア溢れる意見の数々に、YADOKARI・はじまり商店街メンバーも笑顔で溢れていました。
そして最後に発表会。「△リザルトパラダイム」から、「▽プロセスパラダイム」にシフトしたそれぞれの新しいまちの機能やあり方のアイディアを共有し合いました。
様々な「▽プロセスパラダイム」な視点がうまれたなかで、影山さんが選んだイチオシは、「病院」をテーマに考えたグループによる「患者が蕎麦屋を営む病院」!
「病院の中で生活する「患者」にも、それぞれ多様な個性があるのにも関わらず「あなたは患者だ」と言われると、それ以外の何者でもなくなってしまう。もっとダイナミックにいられたらいい。そんな想いをカタチにしてくれたアイディアだった」と感想をいただきました。
イベント終わりには、飲み物を片手に交流会。参加者の方、YADOKARI・はじまり商店街メンバーが混じり合って賑やかな時間となりました。
肩書きから離れてココロとカラダの力をほぐし、未来について語り合ってみる。目まぐるしく働く私たちにはこんな時間が必要だったのだな。そんなことに気づかされました。
そして今回”サンカク”いただいたみなさん、ご参加いただきありがとうございました!
また次回のサンカク会議でお会いしましょう!