【イベントレポート】鶴川ダンチホリデイ Vol.3 団地暮らしを楽しくする、お店や知恵が大集合

団地で暮らす「コミュニティービルダー」が団地住民や地域の方々と一緒に、鶴川団地の新たな魅力を創造・発信していく未来団地会議「鶴川団地プロジェクト」。2024年10月19日(日)に「空き地に集まる、団地暮らしの”あったらいいな”」をテーマに企画された「鶴川ダンチホリデイ」の第3弾が開催されました!

イベントの舞台となるのは、鶴川団地内に存在するいわゆる”空き地”。何もないけど何でもできる、可能性を秘めたこのスペースに「鶴川なかにわBASE」と名前をつけて、地域の人と人を繋げる企画を行っています。

今回は日々を楽しくする様々なお店やワークショップ、そしてゲストによる暮らしにまつわる特別出張レクチャーも。気持ちのいい秋晴れの広場で、暮らしを楽しくするヒントが詰まったダンチホリデイの様子をお伝えしていきます!

“あったらいいな”その① 暮らしを彩るご近所マルシェ

団地暮らしに”あったらいいな”を実証実験するダンチホリデイ、毎回恒例となっているマルシェは今回も個性豊かな出店を楽しめました。

野菜販売をしてくださったのは、町田市野津田を拠点にする佐藤農場。定番野菜から季節の野菜、使いやすい分量の唐辛子とニンニクがパックされた「ペペロンチーノセット」など便利で料理が楽しみになるアイテムも。

掘りたての生姜とスパイスで「スパイスジンジャーシロップ」が作れるセットも大人気でした。

目が合うだけでふわっと和やかな気持ちになれる季節の草花たち。フラワースタイリストの野沢ちかさんは、「花綵hanazuna」として生花の販売をしてくれました。

「こんなに小さくて可愛らしい柿があるんですね、食べられるんですか?」
「そのままだと渋いので、干し柿にしたら大丈夫かもしれないです(笑)。」

忙しく過ぎていく日々のすき間に、季節を愛でて小さな会話を楽しめる瞬間はなんとも嬉しいものでした。

暮らしで使える器を販売してくださったのは、陶芸家の田川舞さん。言葉で表しきれない奥行きを感じる色や形、何時間でも眺めていられそう。この器を使って何をいただこうかな、どんな時間を過ごそうかなと、妄想が膨らみます。

訪れた方々の多くが、たからものを探すみたいにじっくりと選ばれている様子が印象的でした。

実は今回、このレポートを書いている私も陶芸作品の展示販売で参加させていただきました。ふらっと足を運んだ方々に見ていただけるのは新鮮で、手にとっていただいたり、言葉を交わせたり、とても嬉しい時間となりました。

自然と生まれる会話を楽しみながら、お気に入りのものに出会えるのは、マルシェならではの魅力ですね。

手作りで種類豊富な焼き菓子が並ぶのは、お菓子屋étoileのテントです。ラインナップはイベントや季節に合わせて変わるとのことで、この日だから出会えるお菓子という特別感も。

さつまいもやカボチャなど、旬の素材を生かしたお菓子たち。心やからだに優しい味わいで、自分へのご褒美や、大事な人へのお土産にもぴったりです。

お子様づれのお母さんは、「子どもが寝た後にこっそり食べる分も買いました」と嬉しそうに教えてくれました。

スパイスやドライフルーツが詰まった大きな瓶。こちらは量り売りのお店「まる」のテント。”欲しいものを欲しいぶんだけ”、少しでも地球に優しく、日常のゴミを減らせるようにと活動されています。

商品の包装についても、繰り返し使えるマイ容器の持参を推奨していて、ちょうど持っていた袋にスパイスを入れてお渡しする場面も。

つい便利な方へ流れてしまうけれど、この時の体験をふと思い出すことで、地球に優しい選択をできる自分でいられたらと思います。乾燥イチジクがとっても美味しかったです。

そして今回も、美味しいフードやドリンクを提供してくれるキッチンカーがやってきました!一つは日本茶を使ったドリンクやご飯を楽しめるTea Eraです。

目にも楽しい具沢山のお茶漬けが絶品でした。ご飯もほうじ茶で炊かれていて、お茶への愛と探究心を感じます。

そのお隣には、100時間煮込んで作るデミグラスソースが売りの洋食屋キッチンカー『jigemon』が並びます。

こだわりのソースがかかったオムライスは、子どもから大人まで大人気。空き地でグルメフェスがあっても楽しそうだな〜なんて想像が膨らみます。

“あったらいいな”その② 暮らしのそばで、子どもも一緒に新しい体験ができる

すてきなモノとの出会いを楽しめるマルシェの他に、ものづくりなどの体験ワークショップも登場しました。

まず一つ目にご紹介する、竹を使ったかざぐるまを作れるワークショップは一日を通して大人気でした。普段は大人向けの竹細工をしているたけやけーたーさん、今回は親子で楽しめる工作を考えてきてくれました。

講師のけーたーさん自身もワークショップに参加したことをきっかけに竹細工が好きになり、現在の活動まで発展していったそう。今回も体験を機に、竹細工に興味を持った方がいらっしゃるかもしれません。会場の空き地では完成したかざぐるまを持って、嬉しそうに走る子どもたちの姿があちらこちらに。

次に紹介するのは、架空の銭湯というテーマを持った『ほほほ湯』のテントです。空き地に突如現れたおやすみ処、似顔絵やもみほぐしなど、ほっと癒されるひとときを作ってくれます。

終日人気だった「おふろ似顔絵」は、お風呂に入ってホッとしている顔をイメージして描いてもらえる、何とも可愛らしい似顔絵体験です。頭にタオルを乗せて描いてもらっているお客さんの姿に、周りもほっこり。

今回もなかにわBASEへやってきたトレーラーハウスの中では、『みんなの試着室』というファッションを楽しめる企画が行われました。作家の竹中里来さんが作る、人でもモノでも誰でも着ることのできる自由自在なお洋服を試着できます。

着こなし方にも決まりはないので、自分の気持ちが高まる合わせ方でOK!それぞれの発想で服の表情が変わっていく様子がとても面白かったです。

身につけるものが変わると、いつもと違う自分や新しい気持ちと出会えますよね。

鶴川中央公園にある冒険あそび場のみなさんも、『出張つるぼう』として駆けつけてくれました。店頭には子どもたちも立って、飲み物やおやつの販売、ゲームの案内をしてくれます。近所で顔馴染みの子どもたちが挨拶を交わす場面も。

“あったらいいな”その③ 地域の魅力を活かして、豊かに生きるアイデア

今回のダンチホリデイでは、団地に暮らす喜びのヒントを見つける特別レクチャーが3つ実施されました。

一つ目のレクチャーテーマは団地×健康。国士舘大学の閻洪亮先生をお招きして、健康気功体操の体験が行われ、様々な年代の方々が一緒に身体を動かしました。

「今日は気持ちのいい青空ですね。あの空に近づくような気持ちで、腕を伸ばしてみましょう。」

わかりやすい言葉で教えてくださるので、とても自然に身体が動き、リフレッシュできる時間でした。運動の習慣作りは、やりたいと思っていても腰が重いという方は多いのではないでしょうか。かくいう私もその一人ですが、このようなきっかけがあれば、義務感なく楽しんで始められる気がします。

二つ目のレクチャーテーマは団地 × 拠点づくり。町田を拠点に活動されているエスディースタジオ 清水祐介さんをゲストに、「鶴川に生まれる新たな場所と活動 」についてトークセッションが行われました。

インテリアや空間のデザインを生業としながら、町田でイベントや場づくりをされてきた清水さん。”人とひとが直接出会ってやりとりができる市”がコンセプトの「小野路やまいち」の実行委員をされた5年間や、現在の活動に沿ってお話が進みます。今年10月には、鶴川団地隣のセントラル商店街に事務所兼小商スペース「THE DAY」をオープンされたばかり。お店の活用について、ざっくばらんにアイデアを出しあう時間はみなさんとっても楽しそうでした。

清水さんが運営されている「THE DAY」提供:THE DAY

「ハードルは低く色々な人が参加できるように」そんな眼差しを持った清水さんの新拠点から、様々な企てが起きていく日も近そうです。鶴川で小商や場づくりに挑戦してみたい方は、ぜひTHE DAYにも足を運んでみてくださいね。

Instagram:@theday_central2024

最後のレクチャーは【団地 × 農】がテーマ。コピーライターから農業の仕事に転身され、横浜市旭区にて無化学肥料・無農薬栽培のえんちゃん農場を営む長岡親一郎さんがゲストです。

「身近な野菜の、知らない種の話」をテーマにしつつ、農業に興味を持ったきっかけや野菜の面白さ、自然を相手にする厳しさなどについてもお話いただきました。

自然豊かな鶴川では、農に関心が高い方も多いそう。まずは好きな農場や農家を見つけることで、新鮮な野菜を買う習慣や、自分で育てることも続けやすくなるという視点が興味深く、これから農業に関わりたいと考えている方にも大きなヒントとなったのでは。

野菜は人が話をするきっかけになり、人と人を繋ぐことにも向いているというお話も印象的で、長岡さん自身も人と繋がりを持つことを大切にコミュニティづくりをされています。農のある暮らしに興味のある方は、「ハタケユライ」の活動もチェックしてみてください。

Instagram:@hatake_yurai

農作業に気軽に参加できるえんちゃん農場 提供:えんちゃん農場

また、前回に引き続きレクチャーの舞台を設計・設営してくださったのは、鶴川を拠点に建築や空間のデザインを行う設計事務所 toge togeです。

住宅の断熱材などで使用されるスタイロフォームと国産間伐材で構成しており、一度限りで廃棄せず別現場でも再利用できて、子どもたちが遊んでも怪我をしにくい素材で組まれたステージ。聞き手が話者との壁を感じてしまわないように、細やかな設計がなされています。

今回もたくさんの方々の力が集まって、笑顔や発見に満ちた一日となりました。

暮らしの喜びを見つけるヒントが詰まった一日

生活が楽しくなるアイテムを買ってみたり、身近なようで知らない世界の話を聞いてみたり、団地暮らしを楽しくするヒントを見つけるダンチホリデイ。一日を通して老若男女たくさんの方々が訪れ、会話が生まれ、人が集うことのパワーを感じられました。

小商いを始めやすい場や機会も増えてきており、今後がさらに楽しみな鶴川団地。次回のイベントもお楽しみに!