【滞在レポート】豊かさに気づける感性を育む。「仏教×タイニーハウス」のリトリート

自在堂とは、「ほどき、澄ます」をコンセプトに、仏教とタイニーハウスを掛け合わせたマインドフルネスを体験できるリトリート宿坊です。

そんなこれまでにない体験を提供する施設に、YADOKARI編集部の二人が滞在。今回は複数ある施設のうちの一つ、自在堂南房総 妙福寺を訪ね、宿泊させていただきました。

今年の5月から、編集部として共に活動をするようになった二人。お仕事での関わりは増えてきているものの、仕事以外の時間に一緒に何かを体験したり、宿泊の機会を持つことは今回が初めて。

そんな2人はタイニーハウスの中でどんな時間を過ごし、どのような心持ちで2日間の滞在を終えたのでしょうか?

1泊2日の滞在体験の様子を、施設のオーナーである株式会社 百人組の松村さん、妙福寺の早島住職からお聞きした内容と共にお伝えします!

今回訪れた自在堂 南房総拠点は、東京から90分ほどでアクセス可能な場所でありながら、雄大な海に囲まれた自然豊かなエリアに位置します。施設から浜辺までは歩いていくことができ、宿坊のある広場から海が見えるほどの近さ。タイニーハウスならではのミニマルな時間だけでなく、海の近い暮らしを体験できるのも嬉しいポイントです!

海に面した道を車で走り自在堂に到着。まずはタブレットでチェックインを済ませます。

「リモートワークが普及してきている今だからこそ、『明日は天気が良さそうだから、自在堂で仕事をしようかな』そんな気持ちで、気軽にご利用いただきたいなと思っています。心が向いたときにいつでも来てもらえるように、無人チェックインを導入し、講座付きプランは2日前、素泊まりは前日の12時まで予約可能です」と松村さん。いつでも大歓迎なアットホームさが自在堂の魅力のひとつです。

タイニーハウスとは思えない大きなテーブル。2人でパソコンを広げても余裕なほど広々としていて、その快適さはもはやホテル以上!

チェックイン後は、パソコンを広げて各々の作業を進めます。ティーポットでお茶を淹れ、部屋に差し込む日の光を浴びながら、とても穏やかな気持ちで仕事に取り組めました。

普段は自宅で仕事をし、オンライン環境でコミュニケーションを取ることが多い私たち。小さな空間の中で一緒に作業をすることはとっても新鮮でした。

「実は今、こんな仕事をやっていて…」
「こんな表現はどうだろう?」

普段はなかなかすることない小話をしながらの作業。仕事の近況や小さな疑問を共有し、共に向き合いながら時間を過ごし、心がすっきり。タイニーハウスでの時間だからこその濃密な作業時間は、二人の間とそれぞれの心に優しい海風が吹くような心地のよさがありました。

住職さんのオススメをたよりに、まちとつながる散歩の時間

夕方からは、早島住職のおすすめがたくさん書かれたまち歩きマップを片手にまちをお散歩。海からほど近い妙福寺周辺は、心地の良い海風や、虫の声、ほっこりとする地域の人の暮らしの様子や、ここで愛され続けてきた地元の味に溢れています。普段の日常では感じることのない美味しそうな匂い、まちの人の声や、木々が揺れる音など、五感を使ってこの地域を味わいました。

まちの人から愛される地域のお豆腐屋さん。笑顔で迎えてくださいました
ここから富士山が見えるんだよ、と教えてくれた近所のおじいちゃん

夕飯の買い物を済ませ、あたりが少し暗くなってきた頃、早島住職もよく足を運んでいるという南無谷海岸に向かいました。刻一刻と移り変わる空の様子を、ただただ静かに眺め続けていました。

「こんなに広い海を見たのはいつ以来だろう」
「空って一色じゃないんだね」

そんな言葉をぽつりぽつりと発しながら、空と海の美しさに圧倒され、刻一刻と移り変わる空の様子を、ただただ静かに眺め続けていた私たち。自然の雄大さを目の前にして、自然と頭がからっぽになっていきました。

地元の食材を使った料理で「いま・ここ・私」に意識を向ける夕食の時間

その後は夕飯の時間。タイニーハウスの中には、二人で立って料理ができるほどのキッチンがあるので、何不自由なく料理が楽しめます。私たちは、散歩時に訪れたお豆腐屋さんの揚げ豆腐や、地元の新鮮なお魚を調達し、ここでしか食べられない料理で一日の最後を彩りました。

食卓にあるのは美味しい料理と私たちだけ。そんなミニマルな時間だからこそ、いつも以上に味わって食べることができたような気がします。

自分たちの足で食材を探し、会話を重ねながら作った、この場所で私たちしか味わうことのできない特別な料理。高級レストランとはまた違う、あたたかみのある非日常的な食事が、背負っていた肩書きや力み、抱えていた様々なことから私たちを解き放ってくれました。

そんな身も心もほどかれ、ありのままの姿で向き合う私たちだからこそ、伝え合えること、見せ合えるお互いの姿、流れる時間があったように思います。気づけば、あっという間に深夜に。明日の支度をし、快適な眠りに落ちました。

朗らかな心で、仏教の教えを学ぶ2日目

2日目のスタートは朝6:00。お寺での朝のお勤めからスタートです。
朝のお勤めとは、一日の始まりに、お経をよみ、心を清め、慈悲心や謙虚さを養う時間のこと。お寺の中でお経を読むという初めての体験はとても新鮮で、身が引き締まりました。

その後は、早島住職によるマインドフルネス講座を受講。
ブッダの教え、「いま、ここ、わたし」に気づきを向けるマインドフルネスの大切さを、瞑想を体験しながら学びます。

身体をほぐし、呼吸に集中しながら3分間の瞑想を行う時間は、五感が研ぎ澄まされるようなこれまでにない不思議な感覚と、普段の日常では味わえない心地よさを覚えました。

お写真左から松村さん、早島住職

講座後は、松村さんも交えて、対話の時間を過ごしました。ミニマルな暮らしと仏教のつながり、タイニーハウスを活用した理由についてお話を伺いました。

「実は、仏教もミニマルであることの豊かさを大切にしているんです」と松村さん。

仏道修行では、無駄のないミニマルな空間に身を置けば、感覚が研ぎ澄まされて、さまざまな繋がりの中で、さまざまな恵みをもらって生きていることに気づくことができると考えられてきたそうです。

そんな仏教におけるミニマリズムは、古くから言い伝えられてきた「立って半畳、寝て一畳」という言葉や、江戸時代後期、人々から愛され続けていた僧侶、良寛が五合庵という小さな家に住んでいたというエピソードからも分かります。

続いて早島住職からは、タイニーハウスと仏教を掛け合わせることの価値について、こんなお話もーー。

「感覚を研ぎ澄まし、視界を明晰にしていくことは、仏教が特に大切にしていることの1つです。私たちは、 職場や家庭など、場面や立場に合わせて異なる仮面を付けて他者と接していますよね。

こうしてどんどん付け替え続けているうちに、仮面を外した本来の自分の姿を見失ってしまう。五感も鈍っていくので、身の回りのある美しいものや、自分にとって必要なものに気づくことができず、生きる力が失われていってしまうんです。

そんな仮面を外し、本来の姿に戻る時間を提供するのにふさわしい空間がこのタイニーハウス。

何でも揃っている空間だと、次はこういうものが欲しいという欲が増えていくばかりですが、限られているからこそ、この環境でどう楽しんだらいいのかと考えることを楽しめるようになり、自分自身に意識を向ける時間が増えると思っています」

宿坊への宿泊や仏教そのものへの親しみがあまりなかった私たちですが、仕事をする中で日々向き合い続けている「豊かな暮らし」、そして「タイニーハウス」への新たな視点を学ばせていただきました。

そして、私たちが日々の暮らしで感じていること、ここで得られた気づきについても耳を傾け、対話をしてくださった松村さん、早島住職との時間はとてもあたたかく、忘れることのできない貴重な時間となりました。

タイニーハウスの中の本棚には、仏教にまつわる本も

自在堂で始まる、大切なことと共にある豊かな暮らし

あっという間に2日間の滞在が終了。

自在堂での体験を終え、ありのままの心や体の状態を取り戻した私たち。だんだんと心がほどかれ、「今・ここ・私」に心を向けるようになるまでの心身の変化の様子を、身をもって体感したからこそ、私たちはこれからどんな場所に身を置いたとしても、この状態にまた帰ってくることができる、そんな確信と安心感を経て、その場をあとにしました。

帰りの車の中では、前日に話したやってみたい企画や目標をどう実現できるのか、お互いにワクワクしながら話し合ったり、これまでの人生のことを語り合い、共通の友人や、趣味が見つかることもーー。帰宅までの時間も大切な思い出です。

「ほどき、澄ます」

自在堂でのリトリートは、ただ、ここに身を置く数日間を特別なものにするものではありません。これからの自分の人生の足取りをもっと軽やかに、そして豊かなものにするために大切なことを教えてくれる場所なのです。

皆さんも是非一度、大切な方と訪れてみてはいかがでしょうか。ご自身の中にある大切なものに気づき、あなたらしい豊かな暮らしがきっと始まるはずです。

▼自在堂の詳細・ご予約はこちら
https://jizaido.jp/