親子2世代に受け継がれたスモールハウス「Zen Teahouse」
1980~90年代にかけてのアメリカの建築業界でModern Movement in Architectureのリーダーとして活躍したPietro Belluschiの家のバックヤードに建っているのが、236 sq.ft(およそ22㎡)のZen Teahouseである。
1944年、PietroはオーナーDr. and Mrs. D.C. Burkesが所持していた家の改築デザインを依頼された。その時、敷地内のガーデンには古い小屋があったのだが、これはそのまま残しておきたい、というオーナーの意向から改装され、残された。その時の小屋がZen Teahouseである。
写真で見てもわかるように縁側にも見える部分はPietroによって付け加えられたものだ。オーナー夫人はこの小屋をとても気に入って、瞑想やお茶を楽しみ、Teahouseと呼んでいたそうだ。
1973年、Pietroはこの物件を買い取り、Teahouseにシャワーやトイレ、シンクなどを取り付け、より過ごしやすいようにした。晩年1994年に亡くなるまでにはこのTeahouseで昼寝をしたり読書をしたりするなど多くの時間を過ごしたのである。
2008年、この家は転機を迎える。長い年月が経つうちに家はかなり傷んで虫食いなどもあり、建て替えを余儀なくされるのである。Pietroと同じく建築家になった息子Anthonyによってその家はコンクリートの土台はそのまま残され、広さを変えずにゲストスダジオとして改築された。
内装はAnthony考案の「Kitch-bath」キッチンとバスルームとチェンジングルームを一か所にまとめたつくり。ベッドソファー、部屋に置かれた机も折り畳み式でダイニングテーブルを兼ねる等、スペース削減のための工夫が凝らされている。
Anthonyは部屋を分ける手立てとして障子を採用した。障子越しの光はやわらかく室内を照らす。障子を開けておけば一つの空間として開放感があり、障子を閉めればベッドルームはプライベートな空間へと変わる。
ここでは、穏やかな静かな時間が過ごせるだろう。親子二代にわたってその姿を変えながら、Teahouseは受け継がれていくのである。
(文=加藤聖子)