月明かりが漏れでているかのよう。海岸線をのぞむモダンな小屋「Moonlight Cabin」

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オーストラリア南東部に位置するビクトリア州。どこまでも広がる海岸線を見下ろす地に、まるで月明かりが漏れでているような、優しい光につつまれた建物が建っている。海風を感じながら、沈みゆく太陽とともに刻一刻と変わる風景に身を委ねていると、まるでここは現実ではないかのような錯覚を覚えてしまう。

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この建物は、子ども2人を含むファミリーが休暇を過ごすために建てた、60㎡のコンパクトな空間だ。現在この家族は海外で暮らしているが、父親はこの近くで生まれ育っており、この地に大きな思い入れがある。ここは家族にとって、都会での生活からリフレッシュするところであると同時に、自分たちのルーツに想いをはせる特別な地なのだ。

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私たちが生活を営むうえで、どのくらいのスペースがあれば心地よいと感じるのだろうか?建築家は、この建物の設計を通じて、空間の広さと快適性との境界線がどこにあるか、強く意識したという。そして、シンプルな空間はより快適であることを証明してみせようとした。私たちの生活に本当に必要なものとは何か?多くのものを所有することが、必ずしも心地よい生活と直結する訳ではないということを、この建物は問いかけてくる。

住居をコンパクトにすると、当然ながら環境にも優しい生活になる。この建物も、二酸化炭素の排出量を極力おさえるようにデザインされ、環境への負荷は最小限となっている。水は雨水を集めて再利用することでまかなう。この建物はオフグリッド(電力を自家発電し、電力会社からの電力供給を受けない暮らし方)ではないものの、エネルギーの消費量を最小限に抑えつつ、住む人がいかに快適に過ごせるかに重きを置いている。

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このキャビンの特徴である月明かりのように漏れる光は、木でできた格子のシャッターをくぐりぬけ、周囲を優しく照らしている。このシャッターには、ビクトリア州の木材が利用され、天候にあわせて自由に開閉することが可能だ。穏やかな気候のときは、シャッターを開け放ち外の空気を存分に取り込む。また雨風が強いときは、建物を守るシェルターの役割を果たすのだ。

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建物の中を見てみよう。すべて一続きとなっている空間は、まさにキャビンそのもの。それでいて、リビングと寝室は完全にゾーンが分けられている。生活のメリハリがつけずらいのではというキャビンのイメージは、このモダンな室内を見ていると、見事に覆させられる。開放的なリビング、心地よい眠りにつける寝室、そして建物の端に位置するアウトドアデッキ。どこの場所にいても、時間を忘れどこまでも広がる海を眺めて過ごすことができる。この家族が、自分たちのルーツでもあるこの地で大切に過ごす休日は、少し嫉妬してしまうくらいに魅力的だ。

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