お家も野菜も手づくりで -コロニヘーヴがもたらすデンマークの豊かな休日-

どこか遠くでバケーションを楽しみたい。でも、時間もお金もない。そんなデンマーク人の心を満たしてくれるのがコロニヘーヴ。忙しい都市での生活から気軽に抜け出し、いや、都会に居ながらにして豊かな休日が送れるデンマークのコロニヘーヴをご紹介しよう。

コロニヘーヴとは、集落や集合体を意味するコロニーと庭を意味するヘーブから成る言葉。日本の家庭菜園のようなものなのだそうだが、コロニヘーヴには週末をゆっくりと過ごせる小屋がついているのが特徴だ。そんな小屋付き菜園が何十区画と集まって集落を形成しているのだそう。

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空から見たコロニヘーヴ

コペンハーゲン郊外に位置するネールムには、小判のような形をした庭が連なるコロニヘーヴがある。デンマークを代表する造園家・カール・テオドール・ソーレンセンによって1948年に40区画の庭が創られたという。芝生が敷きつめられた敷地内には生け垣に囲まれた庭があり、それぞれ個性的な庭が広がっているそうだ。

流行りのオーガニック野菜を育てたり、ただ芝生を敷きつめて空を見上げるための寝転ぶスペースにしたり、BBQをしたり、コロニヘーヴの庭は自由そのもの。しかも、これらの庭は道路で繋がっておらず、安全に快適に過ごすことが出来る。自分の車に乗るために、いつもより歩かなくてはならないのだが、その分、芝生を踏みしめながら新鮮な空気を吸いこみ、時にはお隣さんとの会話が楽しめるようになっているという。

ブロンディーという街にあるコロニヘーヴは上空から眺めると、花のような丸いコロニーがいくつもあり、そのコロニーはまるで花びらのような庭に区画されている。

このコロニヘーヴはそこに住むことが目的とはされていないことが多い(一年を通して住むことが禁じられているのだとか…)。しかし、庭に建てられた小屋(家ではない)で多くの人々が夏の休日や週末を過ごしている。普段生活しない小屋だからこそ、本当に必要なものだけを身の回りにおき、華美ではないけれどシンプルで豊かな時間が過ごせるのだ。

小屋も野菜も手作りで

とある建築家夫婦は週末や祭日になると庭に通い、2年間かけて小屋をリフォームした。アウトドアが好きなふたりは開放的なパティオドアでリビングとテラスがひとつの空間として繋がるようにしたそうだ。

via: livinginashoebox.com
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また庭ではスーパーマーケットに行かなくてもよいようにたくさんの野菜を育てているという。収穫した野菜だけで大好きな料理をすることが何より幸せなのだそう。

コロニヘーヴの今昔

コロニヘーヴは18世紀末ごろからデンマークで広まったもの。コペンハーゲンの街中に大きな五階建てビルの建設がすすみ、地方から大勢の人々が首都へとやってきたころだった。狭い集合住宅で暮らす人々が手軽に緑に触れることができる息抜きの場所になったのだ。戦時中は、畑で獲れる野菜は貴重な食料にもなった。

via: cityfarmer.org

その後、自動車が普及するにつれ、多くの人々がより遠くへとサマーハウスを求めて移動するようになったのだが、オイルショックによって原油が高騰すると、再び、身近なコロニヘーヴに注目が集まるようになったという。1970年代後半には、デンマーク議会でコロニヘーヴの保護と拡張が決定され、コロニヘーヴで過ごす週末の豊かな時間は、国民のためのものとなったのだ。

世界で最も有給の休日が多い国のひとつと言われているデンマークの国民にとって、コロニヘーヴは最も気軽にリラックスできる手段。移動時間が短くてすむことや、金銭的にもお手頃なことが人気の秘密だ。

現在、デンマーク国内には6万をこえるコロニヘーヴがあり、日本からも民泊サイトなどを通じて予約&宿泊することが可能。ただ、日本から行くと手軽な週末ではなく立派な海外旅行になってしまうだろうが、日常の延長のような豊かな時間が待っていることだけは確か。

コロニヘーヴ小屋は、豪華ではなく、とても質素。上下水道はあるけれど、電化製品も必要最低限のものだけ。設置されたインフラは最小限であるが、家が主役ではなくて庭が主役、自然と家族と共にゆったりと過ごす時間はプライスレスだ。日本でも地方の空き家などを家族でDIY改修しながら週末2拠点、複数家族でシェア別荘などが手軽に行える時代、しっくりくる建物を見つけて「コロニヘーヴ」のような休日を過ごしてみてはどうだろうか。

Holiday is your life.

Via:
goodshomedesign.com
quora.com
cityfarmer.org
cphpost.dk

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QUOTE

普段生活しない小屋だからこそ、本当に必要なものだけを身の回りにおき、華美ではないけれどシンプルで豊かな時間が過ごせるのだ。