北欧神話のオマージュ?湖に浮かぶ伝説の黄金サウナ 「the golden soria moria sauna」
ここは、スカンジナビア半島にあるノルウェーの首都オスローから南西に160Kmほど離れた、Dalen(ダレン)地域のTokke(トッケ)市。この105kmも続くtelemark(テレマーク)運河に面する湖と森の景色は、息をのむほど美しい。
bandak(バンダック)湖面上に建てられているのは、レンガで建てられたスモールハウス、と思いきや、実はこれはサウナなのだ。サウナ発祥の地は同じ北欧のフィンランドだが、ここノルウェーも同様にサウナの文化が根付いている。
このサウナは「tales of the waterway(テイルス・オブ・ザ・ウォーターウェイ)」、つまり日本語に訳せば「水の道の物語」というプロジェクトだ。目的は建築やアート、ライトニングなどを使い、この運河沿いの町や環境を「再発見」すること。
その一環として6つあるサブプロジェクトの一つが、このfeste landscape(フェステ・ランドスケープ)という現地の建築会社のDavid Fjågesund (デイビッド・フィヤガスン)が建設したサウナ。
多角形のシルエットが特徴的なこの施設の名前は「the golden soria moria sauna (ザ・ゴールデン・ソニア・モリア・サウナ)」。周りある山々をモチーフにしてこのような形にしたそうだ。敷地面積としては39平方メートルほど。現地の建築技術に影響を受け、金色に輝く小石を使って建てられている。
近くで見れば、黄金に輝く石の一つ一つがまるで魚の鱗のように張られており、太陽の光が反射すると眩いばかりに金色に輝く。
ノルウェーには昔から伝えられている北欧神話の中で、山奥に金色に輝く宮殿があったそうだ。このサウナは、その昔話のオマージュとも言える。
サウナは、まるで湖に浮かんでいるように見えるが、実際は「建って」いる。湖の際に支柱を立てて、その上に高床式のようにして建築している。
サウナにたどり着くまでの木の歩道は、あたかも昔からある小道のように見えて、周りの環境と溶け込むように設計されている。
小道から続くテラスは、サウナで火照った体を湖でクールダウンさせた後、休憩するスペースとして最適。
昔話の宮殿にしては小さすぎるかもしれないが、サウナ好きにとってはまさしく伝説の輝く宮殿に見えるにちがいない。
サウナの室内は、サウナ、着替え室、休憩室のみで、極めてシンプルで北欧デザインならではの作りだ。木製の長椅子が部屋の真ん中に「ポン」と一つ置いてあり、左手には水道、L型の壁はガラス張りになっている。サウナに入りながら一面に広がる湖と山々の景色を楽しむことができる。
奥には、3段のひな壇状の椅子があり、最大15人ほど座れるスペース。家族で並んで座りながら、窓からの景色を楽しめるようになっている。
昼は陽の光を浴びて、外壁の石が黄金色に輝く。夜は中からの明かりが外に放たれ、静かな青い湖面に反射して、幻想的でとても美しい。
このような絶景の中で光り輝くサウナの建設は、北欧のサウナ文化と昔話とを融合させたことで、このプロジェクトは成功と言えるのではないだろうか?
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