デンマークの森に佇む。ツリーハウスホテル「 løvtag hotel 」
北欧・デンマークは、裸の王様やマッチ売りの少女などの作家・アンデルセンが生まれ、レゴが生まれた地としても有名な国。そして世界一幸福な国ともいわれている。
そんなデンマーク北部に、Mariager Fjord ( マリアジャー・フィヨルド )と呼ばれる、デンマーク最長の峡湾(内陸深く入り込んだ渓谷状の狭い湾)がある。全長35kmほどで、その河口を塞ぐように飛び出ている Als Odde ( エルス・オー )というビーチエリアの片隅にある森の中に、ひっそりと佇んでいるツリーハウスホテルが今回の舞台である。
生の木を主柱とし、さらにリビングにいながらいつでも「ツリーハグ」が出来るという自然と共存し、その生命力を感じられるというこのツリーハウス。はたしてどんな空間なのだろうか。
ツリーハウスホテルの名前は「 løvtag hotel (ルーツェイ・ホテル)」、日本語に訳すと「樹冠」のホテルとなる。
sigurd larsen (シガード・レーゼン)という建築家によって建築された。
キャビンは地面から6~8メートル上方に建築され、最大宿泊人数は4名。
ツリーハウスは、色違いの板を貼った2つのボックスを、45度ずらして組み合わせたような外観をしている。そのボックスを支えるのが、真ん中を貫通している生の木。さらにそれをしっかり補強している4本の細い鉄パイプと筋交い。
このように生の木を主柱とすることで、自然とうまく共存するツリーハウスになるように設計されているのだ。
ツリーホテルへのアクセスは、玄関にかけられたなだらか吊り橋を渡っていく。
ゲストを迎える瞬間からワクワクドキドキの体験が始まっているのだ。
室内に一歩足を入れると、やはり最初に目に飛び込んでくるのが、床を突き抜けたように自然に生えている木だ。
その天然の木の柱が、デザインとしても効果的に違和感なく組み込まれている。
リビングにいながらいつでも「ツリーハグ」ができて、生命力を感じることが出来る。
この「メインの木」を中心として、内装にはつるりとした優しい雰囲気の木材を採用しており、木の温かみと優しさを直に感じられる。インテリアも北欧家具でスッキリとまとまっている。
南と西の壁に、建物の床から天井までの大きなガラス窓を取り付けたことで、室内にいながらまわりの木々と繋がり、森の中にいることを実感できる。また、日中は窓から木漏れ日が差し込み、室内を優しい自然光で照らしてくれる。
リビングから伸びるはしごを登れば天井にあるテラスへと出ることができる。
ツリーホテルの天井を突き破った木が、ベランダに顔を出し上空へと伸びている。
その横にテーブルや椅子を置き、天気のいい日はここで日向ぼっこや、大自然の中のダイニングルームとして食事をとったりすることも可能だ。高い木と同じ目線でまわりを見わたし、まさに、ツリーハウスの醍醐味だ。
デンマークの美しい自然と家との境界をなくすことで、その恵みを十分に享受できるのだ。
大きなダブルベッドの横の大きな窓からは、木の葉を照らすキラキラとした朝日が差し込む。
朝日とともに目覚める生活は、都会の生活では忘れがち。自然のバイオリズムに沿った生活で、寝起きが悪い人も爽快な朝を迎えることが出来るはず。目覚めとともに、美しい自然が目に入ると1日を気持ち良く始めることができるのだ。
シャワー、キッチン、トイレなど水回りも完備。電気も使えるので、普段通りの、いや、それ以上のラグジュアリーな生活さえできてしまうようなスペックだ。
世界一幸せな国が、レゴのようなミニマリスト的コンセプトの企業を生み出したのは決して偶然ではない。
自然を活かす、共存するという北欧的なミニマリズムのコンセプトを取り入れれば、幸せな暮らしが実現できるだろう。
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