コミュニティの再開発とは?リサイクル素材でつくられたスウェーデンの公衆サウナ
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つぎはぎだらけの4本足のサウナが、古いドックが並ぶ港のなかに屹然と立っている。これは、スウェーデン・ヨーテボリの荒廃した港湾エリアを、新しく蘇らせるプロジェクトの一環。トタンやリサイクルボトルを利用した、産業遺物のような建物の建設には、地元の住民たちが参加したという。そこには、みんなで「一緒につくる」ことで、サウナを地域コミュニティのハブにしようという狙いが込められているという。
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日本では若い世代も巻き込んだ、空前のサウナブームが到来し、リフレッシュや趣味の一環として利用している人も多いだろう。タナカカツキ原作のテレビドラマ「サ道」や、商業施設でのサウナをテーマとした企画展の実施などが話題を呼び、ブームを後押しした。
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この無料の公衆サウナは、スウェーデンの港湾都市、ヨーテボリの再開発記念公園にある。スウェーデンで2番目に大きい都市のヨーテボリの造船業は、1980年のオイルショックで大きな打撃を受け、港湾施設は荒廃したという。
ヨーテボリでは、2021年の400周年記念に向けて、フリーハムネンのウォーターフロントを再開発する「港湾都市開発計画」を策定。2014年から、市民が無料で利用できる公共施設のプロトタイプ建築に着手した。再開発では、多くのオフィス、ホテル、幼稚園や学校、1,000のアパートが建設されたようだ。
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東北地方の「ぼろ布」のようなつぎはぎサウナタワーは、ドイツの建築家集団であるRaumlabor Berlinがデザイン。コミュニティベースのサステナブルなプロジェクトとして高い評価を得て、スウェーデンSAVG Architecture Award 2015を受賞している。
サウナ施設のほとんどは、リサイクルされた素材で構成されている。サウナタワーの錆びたエクステリアは、トタン波板をリサイクル使用。見る角度によってその表情を変える、複雑な多面体構造になっている。
サウナの更衣室の壁は、12,000個のリサイクルガラスボトルから構成されている。
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着替えたビジターは、無数の丸いガラスから日差しがきらめく円形のシャワールームで体を清め、木造の遊歩道を歩いて細い桟橋を通ってサウナータワーの階段を登っていく。エントランス前から、ビジター同士の“裸の交流”がはじまる。
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サウナルームの有機的なデザインのインテリアには、薄いカラマツの羽目板が張られており、温度と湿度の変化に反応してその形状が微妙に変化するという。
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Raumlabor Berlinは、ベルリンで培ったコミュニティ開発の手法をスウェーデンに持ち込んだ。地元のフリーハムネンで土地特有の素材を発見し、それらを使用することに取り組んだという。
出会いのためのコミュニティスペースとしてサウナを機能させるため、プロジェクトではワークショップが開かれ、地域住民が建設作業に参加した。
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「都市の自分たちの場所を『一緒につくる』ことは、異なる社会階級や民族的背景を持つ人々を結びつけ、有意義な体験をする機会となる。普段は決してしない体験とアイデアを共有することで、コミュニティの構成員が、自発的に都市生活を拡張することにつながります」とRaumlabor Berlinは述べた。
「サウナは、人々に会い、一緒に時間を過ごし、人生について話し合うための交流スペースだと考えています。サウナは、競争や消費を離れ、ただ水の恵みを楽しんで、空間と思考を共有できるピュアな体験をもたらしてくれます。」
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日本では、減少を続ける町の銭湯が、かつては地域コミュニティの交流に貢献していた。サウナブームの日本にも、コミュニティのための公衆サウナが増えていけばいい。本場北欧のサウナのように、自然の水辺のロケーションを利用した施設なら、心からの交流も高まりそうだ。