洗濯機、遊具、家にあるものまで。スイス人に根付く“所有より共有”の暮らし

スイスの暮らしを覗いてみると、あらゆるところに “シェア”が根付いていることが分かる。

マイホームより多数派な暮らし方

まずは、家。物価が高く、また山に囲まれて平地が少ないスイス。集合住宅に住む人々は、国内の6割にのぼるといわれている。

シュヴィーツ州・キュスナハトの「Residential Building in Küsnacht, Switzerland」は、高齢者向け集合住宅。

via:https://architecturephoto.net/134752/

この住宅を手がけたのは、建築家アネット・ギゴンとマイク・ゴヤー。チューリッヒ湖の絶景を楽しめるような造りだけでなく、共有スペースの確保も、クライアントの大きな要望だったそう。

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地下1階には、居住者と商業テナントのための収納スペースや、共用ランドリールームが用意されている。

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洗濯機の共有は、この国では一般的。一家に一台を所有するのではなく、集合住宅内の住民とともに使っている。

さて次は、チューリヒ州のロイチェンバッハ地区にある「Mehr als Wohnen」。“暮らし以上に”を意味するこの名の組合住宅も、人と人がモノを通して、暮らしも分かち合うスタイルが魅力だ。

via:https://www.swissinfo.ch/jpn/society/45596302

この地区はもともと工業・商業用地だったそう。それが近年では団地やタワーマンションの建設が進み、2040年までに人口が25%増加すると見込まれている。

「Mehr als Wohnen」の周りには、思い思いに過ごせそうな広場がある。それだけでなく、保育園や幼稚園から小学校、小さな個人店やサッカー場まで。子どもから大人までのびのびとできる施設が、この小さな区画内に揃っているのだ。

こちらにも、もちろん共用のランドリールームはある。

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さらに屋上には、居住者全員が使えるサウナルームも。

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それだけではない。子ども向け屋内遊戯室、コワーキングスペース、会議・セミナールーム、屋上テラス、音楽ルーム、工具レンタルや自転車の空気入れができる作業スペース、ゲストハウス、ビストロ、菜園スペース……。暮らしの中で、ふと必要になったときに安心して使える共用スペースが目白押し。ほとんど完備されていると言っても良いのではないだろうか。

自動車から遊具まで。買うのではなく、一緒に使う

世界でもシェアリングの歴史が古いスイス。特にカーシェアリングは、スイスが発祥という記録もある。まず1948年に、チューリヒの住宅協同組合が車両共同使用プロジェクトをスタート。さらに1987年にカーシェアリング協同組合「モビリティ」が設立され、現代の“カーシェアリング”により近い形態が生まれた。

さらに近年は、国内のスタートアップ企業によるシェアリングカー「ENUU」も話題に。自動車とバイクの中間である「小型4輪モビリティ」の電気駆動車で、免許は不要なのだとか。

via:https://moov.ooo/article/5eb9f9021b05ee0697dd28eb

世界で広まる自転車シェアリングは、もちろんスイスでも進んでいる。2020年、シェアリングサービス「Vélo Partage(ベロ・パルタージュ)」がスタートした。スマホ一つで借りることができ、ジュネーブ州内の各所で返却可能だ。

via:https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/08/5e84b588d2d8ba54.html

そしてもう一つ面白いシェアリングの形に、「Ludothek(ルドテーク)」がある。

via:https://jneia.org/190612-2/

アメリカやノルウェーが先駆けと言われている、遊具のレンタルサービス。スイスでは、1972年頃に最初のレンタル施設が設立された。2011年には、全国組織「ルドテーク連盟」に加入する施設は、全国で約400箇所に達した。

via:https://jneia.org/190612-2/

1970〜80年代のスイスで、遊具は一般的に高価なものとされていた。しかし、木製の遊具や家族で楽しめるゲームを求める子育て世代は多く、そこから“遊具をレンタルする”という発想が生まれたのだとか。

遊具は、小さな頃の思い出を彩ってくれる。しかし、意外とすぐに役目を果たしてしまうものではないだろうか。そういったものをわざわざ買わず、地域の子どもたちみんなで共有できたら素敵だ。

“モノの共有”から、“人の交流”が生まれる

さらに、最近注目を浴びているのが、2012年に始まったプロジェクト「Pumpipumpe(プンピプンペ)」。自宅のポストに「わが家が貸し出せるもの」を表すシールを貼り、必要な人からのコンタクトを待つ。アナログで簡単なシステムだ。

via:https://ideasforgood.jp/2022/04/20/pumpipumpe/

Pumpipumpeのメリットは、要らないものがゴミにならないこと、欲しいものがお金をかけずに手に入ること、だけではない。人と人の交流だ。わざわざ地域の行事や会合へ参加せずとも、ご近所付き合いのきっかけが生まれる、素敵な取り組みといえる。

via:https://pumpipumpe.ch/en/supporter-en/

スイスの人々のシェアリングは、モノの共有だけには終わらない。人と人の、“暮らしの共有”だ。エコや節約だけではない“楽しさ”、“温かさ”がそこには溢れている。

参照元:
https://architecturephoto.net/,
https://www.swissinfo.ch/jpn,
https://moov.ooo/bouncy,
https://www.dir.co.jp/,
https://www.jetro.go.jp/,
https://www.jetro.go.jp/,
https://jneia.org/,
https://ideasforgood.jp/,
https://pumpipumpe.ch/en/home-en/

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QUOTE

スイスの人々のシェアリングは、モノの共有だけには終わらない。人と人の、“暮らしの共有”だ。エコや節約だけではない“楽しさ”、“温かさ”がそこには溢れている。