「バンブーハウス」で自然と共存するライフスタイルへ~ダイ族の住居から学ぶ暮らしの可能性~

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あなたは「バンブーハウス」をご存じだろうか。
あまり日本では馴染みがないかもしれないが、タイやフィリピンなどの東南アジア諸国やリゾート地でよく目にする「竹の家」である。
この「バンブーハウス」が今、”自然と共存する新しいライフスタイルの可能性”として再注目されている。
今回は「バンブーハウス」の誕生から、なぜ現在になって再注目されているのか、実例をもとにしながら考えていこう。

「バンブーハウス(竹の家)」の発祥

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そもそも「バンブーハウス(竹の家)」は中国の少数民族”ダイ族”の伝統的な住居である。
ダイ族が住む西双版納(シーサンパンナ)地域は、熱帯雨林気候であるため降雨量が多く、湿度も高い場所にあった。
そこでダイ族は、住居の材料として”湿気”を防ぎ”熱”をためない「竹」に目を付けたのである。
竹を使っただけでなく、雨が抜けるような設計にしたり、地面からの湿気を避けるために住人が2階に住む(1階は家畜や倉庫用)構造にしたりするなどの工夫を施したのだ。

彼らは少しずつ、バンブーハウスを実用的で長持ちするような知識と技術を身に付けて行った。
・柱の下を大理石にすることで腐敗から守る
・竹を川や池に浸けて飽和状態にし寄生虫がつかないようにする
・どうしても火には弱かったため、村人同士のルールで”乾季の日中に火を使わない”というルールを作る
など、ダイ族全体で協力しながら時間をかけて作り上げてきたのが「バンブーハウス」なのである。

少しずつでも着実に完成度を高めてきたバンブーハウス。
これが現在に再注目されている理由を探るため、バンブーハウスを建てるメリットから見ていこう。

バンブーハウスを建てるメリット

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バンブーハウスを建てる主なメリットは主に5つある。

・木やコンクリート、レンガと比べると「低コスト」である
・「風通しがいい」ので湿気を防ぐことができる
・「熱の吸収率が高い」ので比較的涼しい環境を維持できる
・種類によっては鋼鉄と同じくらいの「強度がある」
・家具作りにも使えたり、曲線が美しく表現できたりとデザインや設計における「汎用性が高い」
・急速に成長し入手しやすい「再生可能」な竹を使い、メンテナンスしながら住むことで「サステナブル」な住宅になる

近頃”サステナブル”や”SDGs”が叫ばれてきているなか、再生可能で汎用性の高い「竹」が建材として再注目され始めたのである。

世界のバンブーハウス例

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メリットを活かすためには、もちろん入念かつ継続的ななメンテナンスが必要だ。
しかし私たちが促進させてしまった環境問題を解決していく中で、苦労や時間は避けては通れない。
そんな中でおしゃれに楽しめるバンブーハウスが世界で増えてきている。
続いてはどんなバンブーハウスの実例があるか見てみよう。

【タイ】患者をリラックスさせるクリニック

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まずはタイのナコーン・ラーチャシーマー「パクチョン地区」にあるクリニック。
家主はクリニック自体が、患者にとってリラックスでき、気分が明るくなるような場所であるべきだと考えた。
そこで森林地帯である土地を選び、その自然に馴染みやすい竹を使ってバンブーハウスのクリニックを建てたのだ。
風通しだけでなく、日当たりもよく、室内空間を軽くできるのもバンブーハウスの良さである。

【タイ】自然への愛着を持たせる体育館

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タイのチェンマイにある「パンヤデン・インターナショナル・スクール」の体育館。
この学校自体がサステナブルに注力しており、生徒にもその意識や興味を持ってもらいたいと願い建てた竹づくりの校舎になっている。
耐久性も申し分なく、またデザインとして周りの雰囲気だけでなく子供にも優しく馴染みやすいところが良さである。

【バリ島】竹を使ったおしゃれなリゾート地

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続いてはインドネシア「バリ島」のグリーンビレッジ。
これまでは等身大で、自然体なバンブーハウスの例を見てきた。
しかしこの「グリーンビレッジ」は、バンブーハウスに高級感を持たせ、革新的なものにするためのコミュニティだ。
汎用性が高いというメリットから、職人の手を借りることで高度で緻密なデザイン性にすることができる。
そんな付加価値を持った、リゾート地を発展させるになる実例だ。

バンブーハウスで「明るく」「開放的な」「将来性ある」生活へ

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日本には「放置竹林」が多く、他の木々や植物の成長を阻害してしまう問題が起きている。
竹を無駄にしない有効活用の策として、日本ではこれまであまり馴染みのなかった「バンブーハウス」に注目してみるのもいいかもしれない。

日光や風が上手く入る湿気の無い明るさ、自然に馴染む開放的な空間、またコスト的にも環境的にも将来性がある。
そして現代の技術を駆使することで、その可能性を最大限に生かしたデザイン性の高い魅力的な建築物にもなり得る。

住居としてのポテンシャルはもちろんのこと、環境や私達のライフスタイルをもポジティブにしてくれるものなのだ。

主要住宅にするのは今の日本の環境的には非現実的かもしれない。
しかし、小規模なバンブーハウスから始めてみるのはどうだろうか?
都市部から離れたセカンドハウスが欲しい。
田舎生活を自分の手でスタートさせたい。
など、「再生可能でサステナブルなライフスタイルを、少しでも自然と共存できるものにしたい」
そんな考えを持っているあなたは「バンブーハウス」を視野に入れてみてほしい。

ダイ族の偉大な知恵:竹の家
パクチョンの自然に抱かれた竹の家
バンブーハウス
サステナブル建材「竹」の汎用性の高さを示す〈バンブー・ツリーハウス・ビレッジ〉



QUOTE

更にサステナブルで持続可能なライフスタイルを追求し、実現するために必要なこと。
それは暮らしの根本である「住居」を見直すことから始まるのではないだろうか。