フランスに学ぼう。超高齢化社会、“シニア”と“若者”で作る共生のカタチ

長年イヤというほど騒がれてきた、日本の高齢化問題。とうとう2025年には団塊世代(1947年~1949年生まれ)が75歳以上の後期高齢者になるという。少なくとも国民の5人に1人は後期高齢者になるという分析もある。いわゆる“超高齢化社会”が、到来するのだ。

社会保障費の増大や労働人口の減少なども問題視されているが、今回は日本社会での独居率について着目したい。

ある調査によると、2025年の1人暮らし世帯は1996万世帯に上ると推測されている。10年前の2015年から8.4%増える形だ。6人に1人が一人暮らしをしている計算になる。中でも、80歳以上の単身世帯は2015年からなんと34%増の223万人になりそうなのだとか。理由の一つは、やはり子どもとの同居率の低下のようだ。

しかし決して、高齢化の闇をつらつらと挙げて暗い未来を描きたいわけではない。超高齢化社会の中でシニアとどう“共生”していくか。それがこの記事のテーマだ。

実は、高齢化社会に悩んできた国は日本だけではない。

例えばフランス。

フランスでは、2040年に人口の15%が75歳以上になると推測されている。そんな状況の中、世代を超えた“共生”の形が注目を集めている。

生きかたを、遊ぶ住まい「YADORESI」や、入居者のクリエイティブ最大化をコンセプトとする「ニューヤンキーノタムロバ」など、暮らしにまつわる個性豊かなシェアや共生社会の在り方を探求しつづけているYADOKARI。今回は、世界の多様な「シェア」のカタチを紹介していく。
 

シニアと若者が、ともに暮らす

by Andrea Davis(via:https://unsplash.com/ja/%E5%86%99%E7%9C%9F/VOWXF7lsAN0)

まずは、異世代型ホームシェアリングについて。

NPO法人が中心となって支援し、世代を超えた共同生活が実現している。その代表例が、パリソリデール。2004年に設立された、高齢者と若者をマッチングさせる団体だ。具体的には、高齢者が住む家の部屋を、若者にリーズナブルに貸し出す。その代わりに、若者は一緒に食事したり家事を手伝ったりしながらともに暮らすシステムだ。

こういった取り組みが始まったきっかけは、2003年夏にヨーロッパを襲った記録的な熱波だと言われている。猛暑の中、フランスでも約15000人が命を落とした。その多くが、一人暮らしの高齢者だったという。

誰かが見守っている、誰かと注意しながら暮らす。身寄りのないシニア世代が誰かと暮らすことで、安心感や楽しさを両方味わうことができそうだ。

実は日本国内でも、パリソリデールのような取り組みが始まっている。例えば京都府の京都ソリデール、同じく京都府の学生街である京田辺市の運営する京田辺ソリデールなど。“異世代ホームシェア”として、高齢者と若者の交流、そして支え合いを後押ししている。

 

あえて、一人暮らしを支える

by Dan Gold(via:https://unsplash.com/ja/%E5%86%99%E7%9C%9F/aJN-jjFLyCU)

一方で、フランスでは気ままな一人暮らしを望むシニアも多い。

暮らしとしては一人でも安心できるように――。そんなシステムを作り出したのは、民間企業グラニー&シャルリーだ。2020年に発足した同社が展開するのは、学生を中心とした若者(シャルリー)がアルバイトとして、高齢者(グラニー)の医療介護を除いた生活を支援するサービス。

同社のホームページに書かれた3つのテーマをGoogleの機能で日本語訳すると、「世代間の社会包摂への貢献」「老化に対する見方を変える」「社会的孤立との戦い」と表記される。まさに、日本でも他人事ではない課題だ。

こういった若者が高齢者を支援するシステム。こうした取り組みは、まだ日本にはないものか……。

いや、始まっている。着目したのは、またもや京都だ。

学生が高齢者の家を訪問するサービスまごとも。暮らしのサポートはもちろん、会話や犬の散歩などをともにして、学生が高齢者と同じ時間を過ごす。高齢者と離れて暮らしたり、介護疲れで悩んだりする家族の支えにもなっているようだ。運営するベンチャー企業は、京都市の介護予防・日常生活支援総合事業における教育認定機関となっている。

 

by hillary peralta(via:https://unsplash.com/ja/%E5%86%99%E7%9C%9F/dtgSAJVSqv8)

血が繋がっていなくても、普段の暮らしでともに時間を過ごし、時間や心を繋げることはできる。フランスの共生文化を紐解けば、高齢化が進む日本でも参考になるアイデアがありそうだ。

 

【参照元】
※https://以降のURLを記載
www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/tyojyu-shakai-mondai/koreisha-dokkyomondai.html
www8.cao.go.jp/kourei/
www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/89142/health_aging
www.mizuho-rt.co.jp/publication/contribution/2018/yosensha1808.html
www.ipss.go.jp/pp-ajsetai/j/hprj2018/t-page.asp
toyokeizai.net/articles/-/368845
www.leparisolidaire.fr/
www.pref.kyoto.jp/jutaku/jisedaigeshuku_kyotosolidaire.html
k-coop.jp/tomozumi/kyotanabe/
k-coop.jp/tomozumi/kyotanabe/blog/le-pari-solidaire/
fujinkoron.jp/articles/-/8562
synodos.jp/opinion/international/20078/
medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/295721.htm
grannycharly.fr/
www.designstoriesinc.com/europe/granny-charlie/
whicker.info/

【アイキャッチ画像 参照元】
by arty(via:unsplash.com/ja/%E5%86%99%E7%9C%9F/FoPARf1hQY8)

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QUOTE

血が繋がっていなくても、普段の暮らしでともに時間を過ごし、時間や心を繋げることはできる。フランスの共生文化を紐解けば、高齢化が進む日本でも参考になるアイデアがありそうだ。