まるで大自然の一部になった気分。「サステナブルツリーハウス」から見えた、これからの住まいの在り方

木や緑の独特な香り、風に揺らされ小枝と葉が触れ合う音、澄んだ空気を身体中に吸収し自然と一体化する。自然とともに呼吸するように生活できる空間が「ツリーハウス」だ。

子どもの頃に秘密基地として慣れ親しんだツリーハウスは今、サステナビリティをコンセプトに抱え、エコフレンドリーな住居やリゾート地として世界で進化を見せている。

自然への影響を最小限に抑えた建築手法と、居心地の良さを追求したデザイン性の高い空間。未来の住空間のアイデアを与えてくれる、世界の「サステナブルツリーハウス」を見ていこう。

沖縄の大自然に佇む「持続可能なリゾート」

via: https://treeful.net/ja/
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沖縄の大自然を五感で楽しめる『Treeful TreeHouse』は、「サステナブルツリーハウスリゾート」をコンセプトに大きなアカギの木に這うように建てられた。

地面の中に住む微生物やほかの生命体の移動を邪魔しないよう、地上から1.2m以上に位置するツリーハウスの中は、木の温かみが溢れ、心地よさと安らぎを感じる空間に。
ツリーハウスの床は薄い木材をスリット状に配置し、地面に生息する生物や植物に雨や日光が当たるようにという配慮のうえだ。

via: https://treeful.net/ja/

極限まで自然と一体化。「鳥の巣」のようなツリーホテル

via: https://treehotel.se/en/rooms/the-bird-s-nest

スウェーデンの北部に位置する小さな村、ハラッズには、ユニークで冒険心そそられる、木の上に建てられた「ツリーホテル」が複数建ち並ぶ。

なかでも異彩を放つのが、スウェーデンの建築家によって、周囲の環境との一体化を可能な限り実現すべくデザインされた『THE BIRD’S NEST』。

via: https://treehotel.se/en/rooms/the-bird-s-nest

無数の木と木が組み合わさり、森林の中にぼんやり浮かぶその姿は、映画に出てくるような巨大な鳥の巣のよう。

屋内はモダンなデザインでありながら低エネルギーのLED照明を採用。

また、下水道を配置しないなど長期的に持続可能であること、地域の環境への影響を最小限にエコフレンドリーであることを軸に建設されている。

350の鳥の巣箱でできたツリーホテル

Photographed by Mats Engfors

同じくハラッズのツリーホテルには2022年5月にオープンした、思わず画面に顔を近づけて見たくなるような外見のホテルがある。

Photographed by Mats Engfors

デンマークの建築スタジオが手掛けた『Biosphere』は、サステナビリティとネイチャーツーリズムを重視し建てられた。

下降しつつある地域の野鳥群の保護を強化すべく、ファサードには350もの鳥の巣箱を設置。

Photographed by Mats Engfors

地上から伸びる吊り橋を渡り、屋内へ入ると外観からは想像できないモダンな空間。

ダーク調でスタイリッシュなインテリアには有機的な素材が用いられ、自然との調和を意識。ただのオシャレなデザインやスタイルの追求に留まらない。細部にまで宿る環境への配慮と気遣いに、環境への尊敬と保護について改めて考えさせられる。

Photographed by Mats Engfors

窓から外を覗けば、巣箱に集まる野鳥が飛び交う様子やハラッズの豊かな自然が目の前に広がり、まるで森林の一部になったような気分にもなる。

日常における一つひとつの行動、考え方、そして住まいに対して、私たちは環境との共生を意識した選択肢をしていかなければならない。

自然の恵みを享受し、持続可能な暮らしをするーー。

その哲学を具現化し、自然と調和するように建てられたツリーハウスには、これからの住まいの在り方のアイデアが詰まっている。
木々を切り倒すのではなく、活かし、周辺の自然の一部として溶け込むような外観に、内装には、有機的な素材を用いて、自然とのつながりを維持する。

環境への配慮と快適さが備わったサステナブルツリーハウスは、未来の理想の住まいだ。

参考元:TreefulTreehouse, Treehotel