樹木を切り出しその場でつくる。スペインの森林生まれの「MO.CAモバイルハウス」

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「この商品はどこで作られたものだろう?」買い物中、ふと気になったことはないだろうか。

海外から輸入された果物や洋服など私たちが日々手に、そして口にしているものは、それぞれ私たちの暮らしから遠く離れた環境で作られていることが多い。それらが作られた環境を直接目にする機会はほどんどないだろう。

今回紹介する「MO.CAモバイルハウス」は、「住まう人がその家の建築素材の生産地を直接見ること」ができる稀有な住まいだ。なぜならこの住まいは、スペインのコルセローラ公園にある樹木を切り出し、その場で組み立てられたからだ。

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もちろん、木材は持続可能な方法で調達されることを押さえておきたい。加えて、従来の有毒な接着剤を使用する必要性がほとんどない。なぜなら、MO.CAモバイルハウスの組み立てには「ダボ」と呼ばれる木製の釘のようなものを用い、ブロックを組み合わせるように建築するためだ。

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ダボを使用することで、建物における循環利用材(持続可能な方法で調達された木材)の使用割合を増やし、より環境に配慮した建築物としての一面を強めている。

稼働性を見てみよう。側面をまるごと覆うガラス戸は、気候によって開けたり閉めたりできる。春の風をほんのすこしだけ感じたいときは半開きに、天気が良くなってきたら窓を全開にして、思いっきり深呼吸をしたいところだ。冷たい雨が降り注ぐ日には窓を閉めて、ガラス戸に流れる雨粒をじっと見つめてもいい。

MO.CAモバイルハウスにある4枚のガラス戸が、他のガラス戸と大きく異なるのは、全開にしたときの開放感だろう。窓を端までスライドさせると、窓の存在感は一切なくなる。タイニーハウスの床から森までが一直線に続いているような錯覚さえ覚えるほどだ。内と外の境界をあえて曖昧にすることで、私たちは快適な空間にいながらも、自然と一体化することができる。

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このMO.CAモバイルハウス、素晴らしいのは内装だけではない。実は、室内で使用するあらゆる電力を屋根に設置されたソーラーパネルで得ており、再充電なしで24時間稼働できるように設計されているのだ。水なしコンポストトイレを設置することで、モバイルハウス内で使う水量を削減しているほか、台所やシャワーで用いられた水はすべてろ過され、リサイクル水タンクを通し、UV殺菌された後に再利用できるようになっている。切り替えて使用することもできるので、洗いものはリサイクル水タンク、シャワーは淡水タンクといった風に使い分けるのもおすすめだ。

ツールボックスを見てみよう。オーダーメイド家具を収納するためのコンパクトなスペースには、テーブルやスツールなどが折りたたんで収納されている。組み立て方次第では、MO.CAモバイルハウスを、オフィスやワークショップ、展示会やコンサート会場として使用できるようになるのだから驚きだ。ポップアップストアのように街中に突然現れ、ワークショップを開催してもいいし、山の上に設置し、夕暮れを見ながらバーカウンターのようにしてもいい。まっさらな木材がもたらす可能性は、使い手によってさまざまな側面を見せてくれるだろう。

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スペインの森林から生まれた、MO.CAモバイルハウス。ゼロキロメートル先、つまりすぐそばにある木材を組み立ててできたベースを基に、使い手が与える新たな景色や機会を加えていけば、この空間は自分だけの世界を生み出す拠点となるだろう。自分を包み込む自然と住まい、それらの新たな”つながり”が感じられる空間での時間は、どんな気分になるのだろう。きっとここだからこそ体験できる味わいがあるはずだ。

 

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