「離婚おめでとう!」お互いの再出発を祝って最高のスタートを切る人たち

「離婚することになったんだ」そんな報告を友人から受けたとき、どうリアクションするのが正解かわからず、「へ~…」とうなづいてみたり、「あ、お疲れさま…」なんて答えてお茶を濁したりしたことがある…そんな経験をした方も多いはずだ。離婚という言葉に対して慎重になってしまうのは、離婚に対してどこかマイナスなイメージがあるからだろう。

離婚とはできるだけ避けたいイベントであり、結婚のように祝うこともなく、ヒッソリとおこなわれることが多い。しかし、そんな「離婚」に対して、たいへん好意的な人たちがいることをご存じだろうか。

「娘は今離婚しました!」高らかに宣言する母親は、笑顔だった

何度も離婚している、そう伝えたときに相手が受ける印象は、あまりプラスとはいえないだろう。両親に離婚を伝えるときも、多くの親は「あなたの決断を尊重する」といいつつも、どこか悲しげな表情をしているかもしれない。しかし、アフリカ北西部にあるモーリタニアという国では、離婚した回数が多いことは「人生経験が豊富」と捉えられ、プラスにはたらくのだという。多くの女性が5回から10回程度の離婚を経験し、多い人は20回にも及ぶというのだから驚きだ。

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実際に、離婚したばかりの娘を持つモーリタニアの女性は、娘を主役とした離婚式の翌日、街中に響く大声で「娘は今離婚しました!」と宣言する。これは、娘が無事に離婚できたことを知らせる役割はもちろん、「私の娘は再び結婚できる状態にある」という告知でもある。離婚をマイナスと捉えていないからこそ、「婚姻中」から「相手募集中」へとステータスが変化したことをこれだけ堂々と知らせることができるのだろう。

日本でもできます!笑顔でサヨナラしたい2人の「離婚式」

「離婚を喜ぶのはモーリタニア独自の変わった文化で、日本では通用しないんだろう…」実は、そうとも言い切れない。実は、日本には、2人の再出発を祝うための「離婚式」というサービスが存在しているからだ。アメリカ発のサービスだが、現在は国内企業が手掛けている。国内のとある離婚式サービスは、創業から700組以上の離婚式をプロデュースしているというから、界隈では名の知れた存在ともいえるだろう。

離婚式とは、その名の通り離婚をするための式のことを指す。新郎新婦ではなく、旧朗旧婦が、仲人(なこうど)ではなく、裂人(さこうど)が見守る中、婚姻を誓った指輪をトンカチで叩き割るのだという。ほかにも、結婚から離婚に至るまでの経緯をスライドショーで流したり、互いの顔が真っ白になるまでパイを投げ合い、リセットを図るお色崩しなどがある。

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悲しいはずの離婚式に、なぜかクスッとしてしまうような仕掛けを盛り込んだ離婚式。実は、離婚を式という形で公に伝えることで、気持ちが整理できたり、離婚相手やその関係者とも良好な関係を保てたりと、メリットが多くある。お互いの再出発を最高の形でサポートしたい、そんな互いをねぎらい合う気持ちが、別れを選んだ2人を離婚式に向かわせるのかもしれない。

言葉が持つイメージにとらわれずに、自分たちらしい離婚を考える。

ここまで、離婚がもつマイナスなイメージを覆すような例を紹介してきた。遠い国モーリタニアの離婚パーティーという慣習や、日本で展開されている離婚式というサービス、どちらにも共通しているのが、言葉の持つ意味に囚われず、自分たちらしい離婚を考えているという点ではないだろうか。モーリタニアでは、離婚を歓迎する文化があるとはいえ、離婚するという決意をするのは当事者たちだ。どのようなパーティーにし、どのような再出発を図るかは、自分で決めている。日本の離婚式は、離婚というネガティブなイメージを式で払拭し、2人の再スタートを祝う契機として活用している。

離婚に対し、「悲しいことだ」「うまくいかなかった」と感じるのは自由だが、「自分らしい人生のスタートだ」「これからにワクワクする」と感じるのも自由だ。どちらか1方を選ぶのではなく、両方感じるのもありだろう。離婚へのマイナスなイメージに引っ張られず、私はこう思う、こう思いたいという考えに従うことで、離婚を人生のライフイベントとしてうまく乗り越えられるのではないだろうか。

 

参考サイト:

“モーリタニアでは女性たちが「離婚パーティー」を開いて再出発を祝う”.COURRIER JAPON.

https://courrier.jp/news/archives/330061/

“離婚式オフィシャルサイト”.株式会社たきびファクトリー.

https://www.rikonshiki.com/