伝統と革新とマインドフルネス。中国に見る茶室文化のアップデート

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電柱の上に見張り塔のような部屋があるインダストリアルな建築物。実はこれ、中国にある茶室なのだという。日本における茶室のアップデートといえば、世界的デザイナー&アーティストの吉岡徳仁がデザインした「ガラスの茶室 – 光庵」が有名。ご存知の方もいらっしゃるのではないだろうか。
さて、お隣のお茶の本家、中国でも新しい世代向けに茶室文化がアップデートされているという。日本とは異なる中国のアプローチを覗いてみよう。

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高床式の茶室は、浙江省金華市の金華建築芸術公園にある17の展示作品の一つ。作品のキュレーターは、中国を代表する現代美術家・建築家であるアイ・ウェイウェイだ。金華建築芸術公園はダムの下流の低地にあり、ツリーハウスのような高い茶室では、お茶を飲みながら広い川のランドスケープやそよ風を楽しむことができるという。

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この茶室の特徴は、ありきたりの公共インフラの建設材料を使ってデザインされていること。構造を支える支柱には電柱を使用して、0.88平方メートルのフットプリントの上に載っているという。手すりには給水管が使われ、茶室のための水を供給している。ドアは重力で自動的に閉まる仕組みで、トイレは引き戸の後ろに隠れている。

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茶室の精神性は、インダストリアルな環境のなかで成り立つのか。孤立して空間に浮かび、風を感じることで、訪れる人のマインドを変える試みかもしれない。

こちらの上海の小さな庭にある茶室は、近隣のオフィスにつながる2つの階段の間の殺風景な空間をリノベーションしたもの。茶室の床面積は19平方メートルで、2つの庭からなる敷地40平方メートルのスペースに建設されている。

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中庭の後ろのコンクリートの壁に沿って建てられた茶室は、直径90cmの高い桐の木の立つエリアをL字型にカットして、小さな裏庭を追加。

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茶室と庭を自然につなげるために、高さの異なる3つの水平カンチレバーが、段差を生むように設けられている。一番下の高さ45cmのカンチレバーは、建物を囲むベンチとして機能し、高さ1.8mのカンチレバーは、内部空間を中庭に拡張する小さな庇の役目を果たす。最後のカンチレバーは、厚さ8mmのスチールボード屋根の張り出しだ。

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フレームの60mmの黒い正方形スチールがインテリアの引き締まったアクセントになり、透明ガラスと波ガラスを効果的に使い分けてデザインされている。ベッドスペースを庭として再利用するためにつくられた茶室は、日本の都心でも利用できそうなアイデア。

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中国の茶室文化は、自然を愛でる気持ちやおもてなしの心という点では、日本の茶室と共通しているようにもみえる。一方で若い世代へお茶をアピールするために、革新を恐れないアップデートの大胆さも感じられる。伝統を尊重する日本人の繊細さと、中国の茶室文化に見られる大胆さ、どちらも魅力的だ。

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(提供:#casa