
残暑も落ち着き始め、秋の訪れを感じる9月の終わり。理由もなく外へ出かけたり、新しいことを始めたくなったりするこの季節に、町田山崎団地を舞台にしたイベント「まちやま まるごと スコーレvol.4」が開催されました。
UR都市機構×YADOKARIが連携し、2024年夏より始動した「まちやま プロジェクト」は、多様なつながりの中で、これからの団地のありたい姿を描くことをコンセプトとした取り組みです。これまでに、地域の町内会、商店会、学校などと協力し、季節ごとのイベントやワークショップなどを開催してきました。
毎日の暮らしのなかでちょっと楽しい体験ができる、そんな「まちのにぎわい」を団地から広げていくことを目指しています。
団地の敷地を使って実施してきた実証実験のイベント第4弾、9月27日(土)に「まちやま まるごと スコーレ vol.4」として、「〜団地の広場でお月見ナイト〜 みんなで楽しむ!秋の野外シネマ」が行われました。

秋といえばお月見&芸術の秋!ということで、団地のセンター広場にある白壁をモニターにした、ナイトシネマが登場!
開演前にも、ワークショップやお買い物を楽しめる「チャレンジテント」や、広場でのヨガ、商店街を巡るスタンプラリーなど、大人も子どもも楽しめる1日となりました。本記事ではそんなイベントの様子をレポートしていきます。
「まちやま まるごと スコーレ」とは?
「スクール(学校)」の語源となった、ギリシャ語の「スコーレ」には “余暇”という意味があると言います。土地に根付いた知恵や、誰かの生きた物語。答えのない問い、余白の時間と対話。人々の暮らしが交差する団地には、学校や仕事場での学びだけではない、人生の大切な気づきがすぐそばにあるのではないかと感じます。

忙しない日々の中で少し立ち止まり、人生の「学び」や「余暇」をテーマに、大人も子どもも入りまじりながら、団地でのこれからの過ごし方を実験するイベントがこの「まちやま まるごと スコーレ」です。
青空を眺めながら、ヨガに挑戦!
ナイトシネマの会場となるセンター広場。秋晴れの心地いい昼下がり、理学療法士・ヨガ講師の大越瑞生さんによる「心と体 まるごとヨガ」が行われました。

せっかくの機会を逃すまいと、私も初めてのヨガに挑戦してみました!野外でじっくりと体を伸ばしていくのは、何とも開放的。
「最近空を眺める余裕がなかったかも」「肌に触れる風が気持ちよくて嬉しいな〜」「今日なに食べよう」などと、自然に聞こえてくる自分の内なる声に耳を傾けます。

講師をしてくださった大越さんは「最後はみんないい表情になっていて、その場が優しい雰囲気で包まれていたのが印象的でしたね。自分の内側を見つめる時間が、他者と関わる上でも大切なことなんです。」とお話してくれました。
質問タイムも設けられ「肩こりはどうすればマシになりますか?」など、体に対する日頃の悩みもシェアできる機会に。少しの間立ち止まって、内観する時間をとる大切さを味わいました。
チャレンジテント企画!あなたの「やってみたい」が、誰かにとっての始まりになる
商店街を進んだ奥にあるぽんぽこ広場には、様々な体験をすることができる「チャレンジテント」が並びました。
こちらは、前回もアートのワークショップで大人気だった桜美林大学の「ぼくらのサークル」のテントです。メンバーそれぞれの”やってみたい!”を原動力に、地域イベントでのワークショップなどを企画しています。
今回は、落ち葉を使って絵を描く”落ち葉アート”を準備してくれました。

特に印象に残っているのが、サークルメンバーのみなさんそれぞれが口にしていた「好きにしていいんだよ」というメッセージ。
絵の具をパレットじゃなく、画用紙にそのまま出そうとしている子を見て「うん、そっちに出したっていいよ!」と声かけをしている場面も。みんなのびのびと楽しそうでした。


描き始めたら止まらない子も多く、そばで見守られていた親御さんは「自宅ではここまで自由にやらせてあげられないので、とてもいい機会でありがたいです。」とお話してくれました。
サークルのメンバーの方からは、「やっぱり子どもたちの絵は爆発力がすごい。学校で上手な絵を描く人はいっぱい見ていますが、それとは全く違ういい絵を描いてくれますよね。次回も新しいワークショップを考えているので、楽しみにしていてください!」と感想を教えてもらいました。
お隣のテントからも楽しそうなおしゃべりが聞こえてきます。「手芸カフェ」のみなさんの手元に伸びる毛糸がだんだんと編まれていく様子は、つい見入ってしまいます。
この「手芸カフェ」は第1金曜日13〜15時に、山崎団地商店街の駄菓子屋兼シェアスペースの「ぐりーんハウス」にて活動しています。

手芸カフェのみなさんが挑戦しようとしているのは、「ヤーンボミング」というニットのストリートアート。編み物を使って、街路樹やベンチなど公共空間に装飾するものです。
モチーフ編みのピースを集めていって、最後につなぎ合わせることを目指しています。
もちろん、自分の今作りたいものを編んでもOK!お教室と違って気軽に入っていけるので、初心者でもマイペースに参加できるのが魅力です。

普段も手芸カフェに通われている参加者の方は、「みんなで作業しながら、雑談をする。すごく癒されますし、こころの健康にもいいと思うんです。自分で進めていて、分からないことがあったらその場にいるみんなで解決する。自然と助け合いが生まれます。」と、にこやかに話してくれました。

この日の数時間でも、こんなにたくさんモチーフ編みが集まりました!山崎団地がカラフルなニットでおめかしする日も近いかもしれません。
商店街にアトリエ兼ショップを構える「キャンドルStudio lepta」は、店頭でキャンドルづくりのワークショップをしてくれました。
もうすぐハロウィンなので、カボチャが添えられたとってもかわいらしいキャンドルです。


実験のような、工作のような。お子さんの中には、このキャンドル作りの体験を忘れないようにと、一生懸命に説明書を書き残す姿も。

また、子どもたちに大人気だったのが、商店街をめぐるスタンプラリーです。各店舗の前にスタンプ台が準備され、全部集め切ると商店街で使える商品券と交換できます。


子どもたちにとってはちょっとした冒険です。「次はあそこ!」と、楽しそうにスタンプを集めていきます。
後ろから見守っている親御さんも、「商店街にどんなお店があるのか意外と知らなかったです。回遊できていいですね。」と感想を教えてくれました。

この日は毎月第4土曜日に開催中の「町田山崎団地冒険遊び場」の活動日で、集まった人たちで協力しながらBBQをしたり、懐かしのベーゴマを一生懸命に回す姿も。

地元の子どもたちのみならず、大人のファンも多い駄菓子屋のぐりーんハウス。射的コーナーや綿菓子が用意され、いつも以上に賑わいを見せていました。

美味しいフードやドリンクを片手に、ナイトシネマが始まります。

夕日が沈み始めた頃、ナイトシネマ会場のセンター広場に2台のキッチンカーが到着しました。食事からスイーツまで楽しめる韓国フードの「et cetera」と、相模原にある卵菓屋さんの“相模の赤玉子”をたっぷり使ったシフォンケーキの「ぽちのひとくちしふぉん」です。


また、商店街にアトリエ兼ショップを構える「キャンドルStudio lepta」にご協力いただき、ホッと一息つける休憩スペース”ちょこっとチル空間”が準備されました。
水に浮かぶものや、空や海のような青色がきれいなものなど、種類豊富なキャンドルを用意してくれました。やさしく揺れる火を見ていると、それだけで気持ちがリラックスしていくのを感じます。

午後6時になり、いよいよ映画の上映が始まります。レジャーシートを広げて、フードやドリンクを用意して、映画が始まるのをワクワクしながら待ちます。外で観れるってなんだか特別です。今回上映したのは「怪盗グルーの月泥棒」という作品。


上映が始まると、グッと集中する子どもたち。大人たちも物語に引き込まれ、一緒に声を出して笑ったり、こころ温まる展開に涙したり。通りがかりの方々も足を止めて、鑑賞している姿が印象的でした。
まとめ
いつもの場所で、少し新しいことや、知らなかったことをやってみる。そんな小さな一歩から、思いもしない驚きや発見、感動が生まれることに気がつけた一日。レポートを書いている私も、初めてのヨガで心身を見つめ、自由な気持ちで絵を描いて、ナイトシネマにときめいて、しっかりと楽しんでいました(笑)
次回のまちやま まるごとスコーレは、11/15(土)・11/16(日)の2日間を予定しています。ぜひお楽しみに!