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YADOKARI VILLAGE

【イベントレポート】「VILLAGE TOUR Vol.1 」誰かの日常が、誰かにとっては特別な時間。圧巻のキャベツ畑で、土地・人・自分に出会う1日。

2025.10.30

浅間山北麓の一帯に広がる群馬県嬬恋村にある、タイニーハウス宿泊施設「YADOKARI VILLAGE」。

ここは、いつもの大切な人と、いつもと違う場所で暮らすことで、新しい発見に出会う。そんな、旅と暮らしのあはひ(間)を体験できる場所です。

8月23日(土)と9月20日(土)、YADOKARI VILLAGEと嬬恋村を舞台に「VILLAGE TOUR」を開催しました。

VILLAGE TOURは、YADOKARI VILLAGEが提案する「Soil(土地)/Someone(人)/Self(自分)」という3つの出会いを体験する実証企画。滞在を通して参加者それぞれが自分の暮らしを見つめ直すきっかけを得ることを目指しています。 今回のツアーは、夏秋キャベツの一大産地であり、夏から秋にかけて収穫されるキャベツの出荷量が日本一を誇る「嬬恋高原キャベツ」の収穫体験に、YADOKARI VILLAGEでのアウトドアクッキングと宿泊を組み合わせた、特別なプログラムです。記念すべき第一弾となった、ツアー当日の様子をレポートします。

1. はじめに:旅のはじまりは、愛妻の丘から

旅の始まりは、嬬恋村の風景を一望できるスポット「愛妻の丘」から。
地域の人をつなぐ仲介人であり、ローカル体験を編集する“コミュニティビルダー”が、参加者の皆さんをお出迎えします。

今回、コミュニティビルダーを務めてくださるのは、キャベツ農家であり「嬬恋村のあしたの種をまく会社 むらおもひ」CEOの松本もとみさん。そして、トレッキングやカヤック、バックカントリー、星空観賞、アングリングなど、1年を通して多彩な活動を行うネイチャーガイドの山本秀憲さんです。

山や村を指を差しながら案内してくださる松本さんの声に耳を傾けながら、みなさんの視線が動きます。

広大な自然の中、嬬恋村を取り囲む山々とその中にある暮らしを想像しながら、これからどんな出会いや風景に出会えるのか、期待が膨らむ時間でした。

2. Soil(土地)との出会い:キャベツ畑での収穫体験

参加者は車でキャベツ畑へ移動。移動の時間も、今回のツアーの楽しみの1つです。

車窓の外に広がるのは、どこまでも続くキャベツ畑と遠くには浅間山。農道をトラクターやコンバインがゆっくりと走る姿も。普段住む場所とはまったく異なる風景が広がります。普段暮らしている街の風景とはまったく異なる、嬬恋村ならではの雄大な景色に、とってもワクワクする時間でした。

到着したもとみさんの畑に降り立つと、360℃見渡すかぎりキャベツ畑が。標高や傾斜によって葉の色や形が微妙に違ったりと、海のような風景に圧倒されます。

「これ、何の動物が食べた跡か、わかりますか?」

もとみさんが指差した先には、鹿などの動物にきれいに食べられた一列が。鹿による被害や、品種ごとの違い、収穫の日の過ごし方など、現地でしか聞けないリアルな話をクイズ形式でお話いただきました。

キャベツは、植え付けから収穫まで多くの工程が手作業なのだそう。

傾斜のある畑でも間隔を守り、1つずつ丁寧に育てられ、標高の違いによって育てる品種を変えているのだとか。職人のような仕事ぶりに、参加者のみなさんも関心されているご様子でした。

その後は、1組ずつもとみさんのレクチャーを受けて、いよいよ収穫体験がスタート。

キャベツを縦に、横に、真下に押してキャベツを包む外側の葉を折り、最後に包丁で茎をすっとカットしていきます。

その瞬間、“キュッキュッ”とバスケットボールのような音が響き、水分がピシャッと跳ねる。まるでキャベツが息をしているようで、「こんなにみずみずしいんだ!」、「こんなに艶があるんだね」と驚きの声があがりました。

夢中で作業しながら、松本さんの日々の営みや、ここで暮らす農家さんたちの“暮らし”を身体で感じ取っていきます。

当日は、朝から収穫作業をしていたという松本さん。畑の一角には、収穫に使用していた大きなトラクターや梱包機械が並び、今回は特別にトラクターへの同乗体験もさせていただきました。

畑の中をぐるっとまわると、子どもたちはニコニコとした笑顔に。「もう一回乗りたい!」ととってもうれしそうでした。

 

収穫したばかりのキャベツは、その場で試食。中心にいくほど甘く、まるでメロンのような味わいに、みなさんびっくり

動物たちもキャベツの中心だけを食べるのだとか。 嬬恋村のキャベツのおいしさを知っているのは、人間だけではないようです

誰かの日常が、誰かにとっては特別な時間になる──そんな光景がありました。

3. Someone(人)・Self(自分)との出会い:YADOKARI VILLAGEで人・食・自然と向き合う

畑での体験の後は、YADOKARI VILLAGE 北軽井沢へ。それぞれの部屋でひと休みです。

みなさんが疲れを癒しているその時間、外に出ると、ふわりと漂ってくるおいしそうな香りが。この日の夕食は、ネイチャーガイドの山本さんによるアウトドアクッキングです。宿泊者が共用で使うお庭「VILLAGE GARDEN」には、新鮮な野菜がずらり。中央にはブナや楓の木が集められ、焚火の準備も進んでいました。

休憩を終えた皆さんも外に集まり、料理を楽しみます。松本さんが参加者のお子さんたちと一緒に料理をする姿も。親御さんは「親ではない大人から何かを教わる、初めての体験に挑戦する。そんな機会は少ないから、体験してもらえてうれしい」とお話してくださいました。

17時半、着火式の合図とともに、炎がゆらめきはじめます。

キャベツとお肉の煮込みやじゃがバターは焚火でコトコトと。その他、トウモロコシ・水・塩だけでつくる甘みたっぷりのコーンポタージュや、色とりどりのピーマンや黄色いキャベツなどの珍しいお野菜、フランクソーセージなどが並びました。

中でもみなさんが驚かれていたのは、山本さんがその日釣ってきてくださったという“やまめ”です。清らかな吾妻川だからこそ釣れる、「渓流の女王」とも呼ばれるやまめ。思いがけないサプライズでした。

 「嬬恋の食材ってこんなに豊かなんだ」「うちの子、普段こんなに野菜食べないのに…」食卓を囲むあちこちから、そんな声が聞こえてきました。

8月の開催では、空一面に美しい星が広がりました。

ネイチャーガイドでもある山本さんが、ポケットからすっとライトを取り出し、星の名前や位置を丁寧に解説してくださり、みんなで空を見上げます。

9月には、少し肌寒い中、山本さんが淹れてくださった温かいコーヒーと、焚火であたためたあまーいマシュマロを片手に、一日の体験を参加者のみなさんと一緒に振り返ります。

火の揺らめきの中で、季節によって異なる自然の表情を愉しむ。そんな贅沢な夜でした。

4. クロージング:暮らしを変えるきっかけに

1日目のアウトドアクッキングをもってツアーは終了。その後は、それぞれのトレーラーハウスでゆったりとした夜を過ごし、翌朝は思い思いの時間を楽しんでいただきました。

イベント終了後には、
「ガイドの方や参加者の方ともっと話したい、また会いたい」
「また違う体験を一緒にしたい」
といったお声があり、新しい出会いや地域への思い入れを持ってくださった方も多かったご様子。

中には、
「翌日、もとみさんの娘さんのカフェに立ち寄れなかったのが心残り」という声もあり、旅の余韻が次の日まで続いている様子もうかがえました。

また、参加後のアンケートには
「スーパーの野菜が物足りなく感じて、ふるさと納税で嬬恋の野菜を探しました!」
「これまでの旅はゆっくり過ごすことが多かったけれど、地元のアクティビティを取り入れることで、より感動や気づきが得られました」
「子どもが小さいうちは、たくさんの体験や刺激を与えたい」


といった、参加者のみなさんにとっての食・旅・子育てなど、日常のさまざまな部分が変化していくことを感じさせる感想も。

嬬恋村のキャベツ畑、そしてYADOKARI VILLAGEを舞台に開催されたVILLAGE TOUR。 今回は、目の前に広がる景色、そしてそこに息づく暮らしに触れていただきました。

ここでしか得られない土地と人に出会い、新たな自分自身と出会う。そして暮らしを見つめ直し、次の旅や新しい出会いへの期待をつなぐ——そんなきっかけになりましたら幸いです。

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