デザインと食の供宴。アップサイクルなモバイルフードカートが集まる「The Stop’s Night Market」

via: http://designlinesmagazine.com

トロントで「The Stop」という団体が主催する「The Stop’s Night Food Market」というイベントを知っていますか? この2日間のナイトマーケットのチケットが1時間以内に完売してしまうこともあるほど、その人気が白熱しているそうです。

その理由の一つは、このイベントに町のトップシェフ達が提供する沢山のフードカートがこぞって出店するからなんです。そしてそれを目当てに約2200人もの人々が、まるで群がるように集まってくるのだとか。

2017年のこのマーケットの様子はこちらから。

このThe Stopという団体は、ヘルシーな食べ物が消費者の手に届きやすくなるような社会をつくる活動や、その他コミュニティと食に関連する事業を手がけています。

そしてこのThe Stop’s Night Food Marketから上がる収益は、The Stopやその他このイベントに沢山のプログラムを提供しているNPO、例えばフードバンク(市場に流通できなくなった品質に問題のない食品を生活困窮者に配給する団体)やドロップインセンター(ホームレスや生活に困窮した若者を支援する団体)などの資金となるそうです。

またこのイベントのもう一つの注目すべき点は、NPOなどが主催するグルメ向けの他イベントよりも「デザイン」と「食」が効果的にクロスオーバーしている所。イベントに出店している60人のシェフの屋台は、ほとんどがリユースされた材料を使っていて、その約3倍の180人近いベテランデザイナーや新進デザイナーが入り混じりながらそのカートのデザインを競っています。

もう一つの見どころは、今回はカナダのデザイン専門メディア「Designlines」から審査員を招いて、これらのフードカートのデザインや機能を審査し、選ばれた優秀なカートには、次の年のイベントのゲストパスが贈呈されるという企画。このアワードの審査員の中には、建築家、インダストリアルデザイナー、アントレプレナー、飲食店デザイナー、小売店経営者などが招かれており、彼らの意見に観客のSNS経由の投票も加えた上で授賞が決定するそうです。

アワードにエントリーされた沢山のフードカートの中の優秀なデザインが、一部Webにアップされているので、以下にご紹介します!

下のデザインはピクニックバスケットにインスパイアされたPatricia Joongの「Mobile Bike Hub」というフードカート。寄付されたバイクのパーツと廃棄されたショッピングカートを再利用してこのカートをデザインしたそうです。なんと屋根には自転車のチューブから作られた防水のキャノピー(天蓋)付き。これなら野外マーケットで突然雨が降っても安心です。

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一方、HOKというグローバルデザインファームがデザインしたユニークなフードカートは、ソンブレロハットをかぶったラマがモチーフ。このフードカートは、表面にメキシコのくす玉人形の「ピニャータ」風のものが埋め込んであります。そのトイレットペーパーの芯で出来たピニャータの中にはハーブや野菜の種が詰まっていて、それを来場者が自由に持ち帰り自宅で家庭菜園が始められる仕掛け。見た目も仕掛けもユニークなフードカートですね!

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Michael GingerichとAdam Walikiの「Pump Cart」は、リサイクルした金属や木材で作られ、ペダルで漕いで動かす仕掛けのデザイン。カートが止まっているときは、ペダルをこいてサイネージのLEDライトを光らせることができる画期的な仕組みになっています。

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次のこのビビッドなレモンイエローが特徴的なカートは、OCADというカナダの大学の卒業生の団体がデザインしたもの。昔ながらのレモネードスタンドを現代風にアレンジしたストリートカートです。このカートもリサイクルされたワイン箱やカエデの木、廃材のボルトやナットで構成されているそうです。

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モントリオールのFasco Collabollationは、建築家とデザイナーから構成されたチーム。彼らがデザインしたのは、360本の段ボール製チューブと使用済みの紙製糸巻きの芯で構成されたフードカートで、水平に重ねられた沢山のチューブは、サイネージをつけたり、良い香りのするハーブの苗床として利用できる仕掛け。

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最後の「Deconstruct」というカートは、手によるデザインの最もベーシックな形状であるジオメトリックな形でシンプルに構成されています。これもリサイクルされた金属製チューブと再利用の木製カウンターでデザインされています。

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こんな形でたくさんの市民を巻き込みながら食とデザインがクロスオーバーすれば、自然と食やデザインに関する意識が社会的に高まっていきそうですよね。なんだかこの素敵なフードカート達を見に、思わずふらっとトロントに旅に出たくなりませんか?

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http://thestop.org/