完全なる無機質「Refugi Lieptgas」

人には安らぐための住まいだけではなく、閉じこもるための空間も必要なのかもしれない。

スキーやスノーボードが楽しめることで有名なスイスの山岳地帯の中に、この家は建っている。設計したのはNickisch Sano Walder Architects 。かなり斬新なデザインだ。

遠くから見ると、普通の丸太小屋のように見えなくもない。しかし近づいてみると、それが冷たいコンクリートで造られていることがわかる。それも丸太とは対照的な、凹面の連続。温かみのあるログハウスを真っ向から否定しているかのようだ。

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その佇まいは、沖縄の大きな墓を思い出させる。そうでなければ、冷たく暗い独房か。地上階はリビングダイニング。この部屋に空けられた窓が、唯一外界と室内とを繋ぐ。夏は木立が臨めるが、冬に見えるのはおそらく、一面の雪景色だけだろう。天井には明かり取りの丸窓が空けられている。むき出しの暖炉と、毛皮が敷かれた椅子。ここで過ごす時間は、果てしなく長いものになりそうだ。

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地下階には湯船とベッドルームがある。完全なプライベートルームだ。窓から見えるのは荒々しい岩肌で、それは冷たい壁の延長のようでもある。暖かさを極限まで削ぎ落とした無機質な空間は、禅の精神さえ思い起こさせる。瞑想をするのにはもってこいかもしれない。

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実はこの家は、Interhomeというサイトから宿泊の予約ができる。スイスに旅する機会があれば、チャレンジしてみてはいかがだろうか。暖炉はひとつしか無いし、壁は冷えやすいコンクリートだが、ちゃんとセントラルヒーティング機能はあるのだとか。……とはいっても、決して「快適」とは言えない住まいだろう。どうぞ心して。

しかしときには、こんな空間に自分を閉じ込めてみるのも、いいかもしれない。

via: http://tinyhouseswoon.com/refugi-lieptgas/