太陽を活かし、太陽と暮らす家「Wall house in Tenerife」

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アフリカ大陸近く、スペイン・テネリフェ島。リゾート地として人気のこの島はもともと火山島でもある。Jose Luis Rodrigues GilによってデザインされたWall Houseは年間を通して温暖な恵まれた気候を利用して太陽光をエネルギーに変えるエコハウスである。

住居部分は軽量なステンレスと合板で建てられている。中央に備え付けられた壁はその土地の玄武岩を利用して作られ、温熱をキープする保温材として、また大黒柱のように風から家を守る役目も担っている。屋根の断熱材は火山炭を利用している。これもその土地の利を生かす発想である。

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レイアウトは広く空間を取ったデイエリア、寝室エリアの二つに分かれている。
壁を挟んで南側がデイエリアで太陽光を最大限取り入れられるように全面ガラス張り。窓から入った太陽光は壁へ向かい蓄積される。暑さ対策のためにスライド式の窓で通気性も確保されている。電気とホットウォーターは全てソーラーパネルから供給される。ウッドデッキも開放的なデザインだ。広々としたダイナミックな景観が楽しめる。
一方で北側の寝室は細かく仕切られ個々の室温と風の流れをコントロールしやすくし、夏の夜も涼しく過ごせるようになっている。

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この特徴的な外観デザインは、テネリフェ島の岩と砂と植物の景観を損なわないために考えられた。壁というと四方を取り囲むイメージがあるが、この家は壁を取り込んだデザインで一面のみ。斬新とも思えるデザインだが家と風景が遮断されず調和している。

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私たちの生活はどうだろう?自然と調和できているだろうか?そんなこころのありようも問われているような気がしてくる。
小さなスペースを見直し、大切なものを実感する。その過程が苦しかったり辛かったりする必要はなく、わたしたちは今を楽しむためにここにいる。消費第一の現代社会において環境保全、エネルギーの持続性は大きく難しい課題だけれど、できることを探していこう。わたしたちの未来のために。

Via:rodriguezgil-arquitecto.com