窓からの景色は一枚の絵になる、”照らされた部屋”「Camera Lucida」

Camera Lucida 02
「カメラ・ルシダ」をご存知だろうか。カメラ・ルシダは絵を描くための補助器具で、上に取り付けられた半透明の鏡を覗き込むと、描く対象(モデル)が下に置いた紙にうっすらと写るようにできている。その残像をなぞって描くことで、普通よりも正確に絵を描くことができるのだ。ちなみにカメラ・ルシダとは、ラテン語で「照らされた部屋」を意味する。

Camera Lucida 001
Camera Lucida 03

そのカメラ・ルシダにちなんで建てられたのが、アートスタジオ「Camera Lucida」だ。この建物を手がけたのは建築家Christian Tonkoで、2014年にオーストリアに建てられた。

なだらかな丘の斜面に沿うように建てられたCamera Lucidaは、縦長の建物で、「く」の字型になっている。普通であれば、「く」の字型の建物は横に曲がっているのがほとんどだが、このCamera Lucidaは丘の斜面から持ち上がるように曲がっているのだ。この角度は、縦長の建物に自然光が入りやすくなるよう計算されてのもので、名前の通り「照らされた部屋」と呼ぶに相応しい。

Camera Lucida 04
Camera Lucida 05

建物の両端全面に取り付けられた、大きな窓から覗く風景は、補助器具のカメラ・ルシダのようにうっすらと町の風景を写し出してくれる。こうやって、丘からの絶景を眺めながら絵画や彫刻の作業に没頭できるのは、なんと贅沢な建物なのだろう。

内部は、オーク材、スチール、コンクリート、コルテン鋼の4種類で出来ている。外部もスチールとコルテン鋼の組み合わせで、内外共に一切ペイントなどの加工は施されていない。その為、素材の感触を活かしたシンプルさが持ち味だ。特に、洗いざらしのような素材のコルテン鋼は、アートのオブジェのように景色に馴染んでいるように見える。

Camera Lucida 06

Camera Lucida 07

こんなアートスタジオなら、アーティストでなくとも中に入って美しい景色を堪能してみたくなるだろう。照らされた部屋から見える風景は、どのようにあなたの心に写るのだろうか。

Camera Lucida 08
Camera Lucida 09

Via:
christiantonko.com
archdaily.com
designboom.com