木のシルエットが浮かび上がる、プレハブハウス「Prefabricated Nature」

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イベリア半島の北東部に、海に面した丘があります。その丘の途中、畑や農場がたくさん点在する穏やかな土地に、1軒の家が建っています。海と森に囲まれ、周りの森を投影したかのような、壁に浮かび上がる木の模様がとても印象的な住宅です。

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この土地のまわりは、昔から農業や酪農を営んでいる家が多く、私たちが「家」と聞いて想像する、あの三角屋根をもった家がとても多いそうです。そして、どこまでも広がる海とユーカリの木の森。それが、この家の建つ土地の環境を表す要素です。その要素と家を調和させるように考え、建てられたのが、この「Prefabricated Nature」です。

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この住居は、6つのモジュールから成り立っています。そのモジュールをマドリードの工場で3ヶ月かけて作り、トラックでこの土地まで運び、その後3日間で組み立て完成されました。移送のためのトラックの大きさの関係もあり、この家はコンパクトな大きさになっています。この住居をデザインしたMYCCは、この取り組みが、「モジュールプレハブハウス」という新しい取り組みのきっかけになっていくのでは、と語っています。

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この家に使われている素材は主に2つ。コンクリートと木繊維を混ぜ合わせたものと、鉄の板です。短辺の壁と屋根には、コンクリートと木繊維を混ぜ合わせたものが使われています。コンクリートだけよりも自然な風合いができ、色に深みがでます。このグレーの色は、周りのユーカリの森の色味と調和させるように調整されました。また、繊維を混ぜることで、強度があがりメンテナンス性もあがるそうです。

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そして、印象的な建物正面に使われているのが鉄の板。ここにはユーカリの木の形が投影されています。近づいてみると、小さい穴が無数にあいて、木の形を描いているのがわかります。昼間、室内にいるとこの穴から光が差し込み、床に木の形の影を投影します。また、夜は室内からの光がもれ、とても幻想的な雰囲気を創り出します。

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この鉄の素材は、実は漁業用のボートの構造につかわれているものと同じです。この村は、もともと漁業が盛んで、昔から多くのボートがつかわれてきました。ここにも、周りの環境を取り込むというコンセプトが反映されています。

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新築でありながら、昔からその土地にある要素を取り込み、うまく調和させているこの住宅は、どんどん新しいものが生み出されている私たちの生活にも、良いヒントを与えてくれているのではないでしょうか。

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Via:
dezeen.com
designboom.com
mycc.es