オーストリアの広場に忽然とあらわれた四角い謎の物体。通称「TS1」の名で親しまれるシンプルな鉄骨構造のこの四角いハコは、なんと一日でどこにでも組み立てることが出来る「キット」なのだ！しかも組み立てにあたって必要なのは大人3人の労働力のみ。クレーンなどはもちろん不要である。

立地場所だけではない。内装もいたってシンプルなため、住宅用、オフィス用、商業用、なんでもこいのツワモノだ。プライベートに限らず仕事や遊びのために、スタイリッシュでありながら求めやすい価格で新たな空間を人々に提供することを目的に開発された。「Transforming space (変容する空間)」もこのTS1の重要なコンセプトだ。鉄製の構造の四角いハコは、内部のブラインドを開ければ大きな透明の窓が建物の内部と外部を繋ぐ。

もちろん「キット」という名目通り、構造を説明する説明書までついている。例えばIKEAの家具を自分達で組み立てるように、説明書に従いながらうんうん唸りつつ仲間と協力して空間を作り上げることもできる。立地も自分で選べてしまえて、解体も可能というフレキシブルさは、変化の多い現代人のライフスタイルにぴったりではないだろうか。

使い方の例としては、例えば東京都心の駐車場の空きスペースに、短期間のお店を構えたり、家の庭に設置して、手の負えなくなった10代の若者の避難所にしたり(笑)、森の自然を破壊することなくオフィススペースを構えたりなどなど、わくわくしてしまうような使い道がもりだくさんだ。

日が沈めば宇宙船が降り立ったかのように見える不思議な様相の「TS1」。先述のように透明性のあるデザインで、外に開かれているため、外から中を覗く人と内部での交流も生まれやすそうだ。

このプロジェクトを立ち上げたNadja Mottには、世界中から連絡が殺到している。コンパクトでフレキシブルな「変容する空間」を求め、貴方もぜひ気軽に問い合わせをしてみてはいかがだろうか？

（文＝杉田真理子）

Via:
Indesignlive
The age.com.au
Transpace
Good Design Australia