電気代ゼロは当たり前、エネルギーを生み出す家「Plus House」
太陽光発電で、自宅の電気をまかなったり、自給自足のoff-gridハウスで電気エネルギーを使わずに暮らす、という考え方もそう珍しくはなくなってきた。だが、使った以上にエネルギーを生み出す家があるとしたら?そんなアイデアを実現した「Plus House(プラスハウス)」がノルウェーに登場した。
ノルウェーのラルヴィクという、自然豊かな美しい街に建てられたこの建物。Snøhetta設計事務所とZEB(Research Centre on Zero Emission Buildings)と呼ばれる研究機関が共同開発したコンセプトハウスだ。この家は、家族が一年に使うエネルギーに加え、電気自動車を充電するのにも十分なエネルギーを生み出すことができるという。
いちばんの特徴は、ピサの斜塔も驚くほど傾斜した屋根だろう。この傾斜は、屋根に備え付けられたソーラーパネルの効果を最大限にするだけでなく、建物の前面に大きく張り出した窓から太陽の温かい光を室内に取り入れるためにも役立つ。
また、大きな窓の下の天然石できた壁は、基礎としての役割だけでなく、温度変化を和らげる役割も果たしているという。
この建物のもう一つの大きな特徴は、地熱発電の仕組みを備えているという点だ。地熱発電とは、地中から回収した蒸気で発電機を回し、電気を起こすという仕組み。この建物の庭には、地中からのエネルギーを回収するための井戸が掘られ、ここから地下に溜まっている高い温度の熱水や蒸気を採掘している。
地熱発電のための井戸というと、とてつもない設備を想像してしまうが、地熱を利用できるかどうかはその土地の条件によってさまざまで、井戸の深さが数10メートルで済むものもあるそうだ。
美しい室内にも注目したい。自然光が降り注ぐ室内は明るく開放的だ。建物の内部は約200㎡の広さがあり、家族が暮らすのに十分な広さをもつ。
さらに、室内と庭をつなぐポーチの壁は、一面が薪を積み重ねた構造になっていて、温かみのあるデザインが、この建物全体の雰囲気を柔らかいものにしている。
この建物を開発したZEBのコンセプトは、「建物の温室効果ガス排出ゼロを目指す」というもの。住宅だけでなく、商業ビルや集合住宅などを排出ガスゼロに変えていくそのアイデアは、私たちに新しい住まい方のアイデアを投げかけてくれるだろう。