世界を救える?コペンハーゲンのビル屋上で採れる蜂蜜「Bybi」

Via: samvirke.dk
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金色に輝く美しい蜂蜜は、ミツバチが作り出す完全な自然食品。世界中で、健康に良いことが広く知られている。ヨーロッパでも古くから蜂蜜を利用した健康食品や薬品などが存在しているけれど、堅苦しいことは抜きにして、「ただ美味しいから!」という理由でバターと一緒に朝食のトーストに塗られたりする。

敬意をこめて「北欧のパリ」と称されることもあるデンマークの首都コペンハーゲンで、近年は養蜂業が盛んに行われていると知ったらあなたは驚くだろうか。でも、大都市のご多分にもれず土地不足のコペンハーゲン。蜂たちが住んでいる養蜂箱は、オフィス街のビルの上など市内20か所、主に屋上スペースが使われている。

Via: politiken.dk
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こんな美しい景色を眺めながら働けるなんて、とても贅沢な仕事だと羨ましくなってしまいそう。そんな都市型養蜂プロジェクトをけん引しているのは、2010年に設立された非営利団体の「Bybi」。この団体の特色は、外国からの移民や長期失業者、ホームレスの人々を雇用し、地元の老舗養蜂業者の協力を仰ぎながら新たな養蜂業従事者を育成していること。高福祉で知られるデンマークも無縁ではいられない社会問題に対し、セーフティネットの役割を果たしている。

Via: bybi.dk
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Bybiに携わった移民の中でも、残念ながら本国に送還されてしまう人もいるそう。しかしBybiプロジェクト・マネージャーのシニェ・ウルリハイク氏によると、そういう人たちも「自国で養蜂業を続ける」と言い残していくとか。長い目で見ると、世界中に仕事と雇用を生み出していると言えるかもしれない。

Via: cphnews.mediajungle.dk
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そしてもちろん、ミツバチのいるところに花と受粉あり。かつて有名なアルバート・アインシュタイン博士は「もしハチが地球上からいなくなると、人間は4年以上は生きられない」と語ったと言われている。それだけ、ハチは我々の生態系に必要な存在だということ。しかし逆に、ハチが増えて活発に活動すると、豊かな世界になるということだろう。つまりBybiは、個人にも社会にも自然環境にも優しいビジネスなのではないだろうか。

残念ながら、今のところBybiの蜂蜜が買えるのはデンマーク国内だけの様子。でも貪欲に手広く事業展開しないのも魅力のひとつかもしれない。

(文=倉田直子)

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