3D技術を駆使したつくった未来型スモールハウス。チェコの庭に舞い降りた小屋

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ここはチェコ共和国の首都・プラハのとある一軒家の庭だ。まるでSFの小説から抜け出したUFOが地球に上陸しているかのように、明らかに一つの異質の物体が、しかし不思議と違和感なくそこに座っている。

ぱっと見た感じではUFOだが、よくみると、どうやら石のようにも見えるし、非常に原始的な古代の家のようにも見える。滑らかな表面だが上にかけて不思議な突起物がひょっこりと出ていて、その飛び出た先端には大きな窓が見て取れ、まるでそれを通して地球人を観察しているようだ。

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これは宇宙人や原始人によって建てられたものではなく、チェコの普通の家族のためにチェコの建築会社「ŠÉPKA ARCHITEKTI」という会社によって建設された「裏庭小屋」だ。総面積は80スクエアメートル。メインの家から備え付けられた金属歩道を渡って、このUFO型の小屋にアクセスできる。

最初はUFO、次は石かと思い、中に入ってみるとまた印象はガラリと変わる。外観は完全に石造りで中をくり抜いたかのように見えるが、実は中はベニア板の壁や柱、見渡す限り木材に囲まれ、木造建築であることがわかる。

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よくみると、とても面白い作りと幾何学模様だ。外側の滑らかな積分的なテクスチャを出すために、中で微分的な構造を作り出す必要があったのだろう。それに呼応するように、インテリアも全てシンプルな幾何学模様で構成されたものが置かれている。

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写真に見える黒い暖炉は部屋の中心に位置し、部屋全体を温める。この暖炉も滑らかな質感があり、心なしかこの建築物の形をモーフィングしているかのような感じを受ける。

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実は、この建築物は3階建て。1階部分は主にキッチンを取り囲むようにして、リビングルームとダイニングルームがあり、洗面所と寝室がある。

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キッチンもその周りと同じように木で作られている。

2階に上がるとプライベートバスルームも備え付けられた、もう一つの寝室が大部分を占めており、突起部分にあたる3階は書斎、勉強部屋。疲れたら大きな窓からプラハの自然の景色を見てリフレッシュでき、作業や勉強が捗ることは間違いなしだ。

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大きな窓からは光を十分に取り込むことができる。南西に向いた窓からは、移りゆく美しいチェコの丘の風景を眺めることができるのが嬉しいポイントだ。

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このような複雑なフレームは設計がとても難しそうに思えるが、実はあらかじめコンピューターの3Dで全て作成しておいたのだそう。梁なども3Dのマシーンを使って計算して全て切り出されたのだという。複雑なパターンにもかかわらず、まるで「プレハブ感覚」でこの建造物を作り出すことができるのだ。そう言われると「人間の感性」というより、「3D技術」を通した発想がそのまま具現化している印象も受け取れる。
今回の場合は表面の丸みを出すために、この組み手法がなされ、それに付随して未来とも、原始とも、または現代とも感じる時間感覚を超えた小屋が誕生した。そしてその見た目にもかかわらず、結果として、周囲の環境を邪魔しない、非常に優しい存在の構造物となった。

コンピュータを有効活用することで、このような複雑なものも作りやすくなっている時代に来ているのかもしれない。3D技術をさらに駆使すれば、さらにもっと不思議で、興味を引くような建築物が作れるかもしれない。

 

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