都市農園「Brooklyn Grange」にホテルやサウナ…。屋上をハックしよう

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2018年5月にアメリカ・カリフォルニア州が、2020年から建築される新築住宅に太陽光パネルの設置を義務付けることを発表し話題となった。この全米初の決定は、おおむね賞賛を持って受けとめられているが、コスト面の疑問を提示する専門家もいる。

カリフォルニア州は全米でもっとも住宅価格が高い州の1つだが、 住宅建築にさらに約1万ドルの太陽光パネルの設置コストが追加されることになる。州側の試算では、月々の送電網からの電気代の節約が、最終的には追加コストを上回るとされている。これに対して、住宅に設置される太陽光発電は、送電網を利用する太陽光発電所に比較して、2倍以上の生涯費用が掛かるという批判が出ている。また、多数の太陽光発電所と風力発電所を設置している同州の場合、天気や気候によっては、すでに需要を上回る電力が発電されている状況もある。

1998年の電力自由化により、発電会社と電力会社が分離されたカリフォルニア州では、2000年夏から翌年にかけて停電が頻発する電力危機に陥った。発電量不足のなか猛暑のために電力卸売価格が著しく上昇、発電会社は小売料金を値上げできない電力会社へ売り渋りを行ったり、後に倒産したエンロンのように価格吊り上げを狙った供給停止が行われたためだ。

2016年4月から始まった日本の電力自由化の将来についても、これらのカリフォルニア州のケースは参考になるだろう。特に、送電網からの配電コストが高くなる地方の過疎化が進む地域において、再生可能エネルギーによる小型発電所や住宅に太陽光パネルを設置することで、電力の地産地消が促されることが期待される。

前置きがすっかり長くなってしまったが、住宅やビルの屋上に設置されるのは、もちろん太陽光パネルだけに限らない。今回は、屋上をハックした世界のアイデアを見ていきたい。

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「Brooklyn Grange」は、ニューヨーク市にある世界最大規模の屋上農場。クイーンズのロング・アイランド・シティと、ブルックリン・ネイビーヤードの2つビルの屋上の合計8,000平方メートルの農園で、年間22トンを超える有機栽培農産物を栽培している。

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Brooklyn Grangeは2つの屋上農園のほか、テラス、バックヤード、空き地など、街のあちこちの延べ3,700平方メートルのスペースに土壌と植物を設置して緑化。都市の空気・水・気温を改善し生物多様性を育み、ニューヨークの街を住みやすく快適にする活動を行ってきた。州全体に分散した屋根の上に、オーガニックに管理された30以上の巣箱を設置してミツバチを養い蜂蜜もつくっている。

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Brooklyn GrangeはNPOと提携して、自然な布地の染料やホットソースづくりなど、サステナビリティをテーマとしたワークショップや教育プログラムを積極的に実施。夜の農園スペースでは、ヨガクラス、ディナーやウェディングパーティーが行われ、ニューヨークの地域コミュニティーの絆に大きく貢献している。
住宅の屋上に、ガーデニングスペースや野菜畑を設置するのは人気の利用法だが、同じグリーンルーフでも、庭の一部のように擬態したエステティックな屋上もある。

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カリフォルニア・ミルバレーの急斜面に建つこの2つのキャビンは、ペインティング・アーティストと、ガーデニングとヨガ愛好家のカップルのためのスタジオ兼住居。上にアートスタジオ、下にゲストハウスを兼ねたヨガスタジオと、傾斜をうまく利用して建物を分離。ヨガスタジオの緑の屋根をアーティストスタジオから見下ろすと、美しいキルト模様のようなガーデニングスペースに見える。

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松とセコイアの森の傾斜地のなかにひっそりと佇むキャビンは、孤独とインスピレーションを与えてくれる隠れ家だ。小さな南向きのテラスと外壁に使われているトウヒと松材の縦のラインが、キャビンを取り囲む樹木の垂直の線とシンクロして調和する。

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屋上に独立したタイニースペースを設置して、プライベートな書斎や仕事場、ゲストルームとして利用するのもいいだろう。DIYでつくれば、リフォームするよりも安上がりでできる。

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チリのこの屋上建築のプロジェクトは、建築を学ぶ学生のためのワークショップも兼ねたもの。空間を拡張させる方法や、睡眠、遊び、仕事場といった多目的に利用できる設計について考えるものだ。使用できる資材は、合成樹脂の化粧板と簡単に手に入る規格品の素材に限定され、既存の建物部分を一切壊さずに1ヵ月以内で完成させることが条件だった。

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施工方法には、水を一切使用しない乾式工法が採られた。基底部分は金属素材の上に乾燥マツ材を敷いて固定化させている。学生たちは、ロスなく合板を組み合わせることで資源と時間の節約を学び、新しい空間を開発する際のさまざまな可能性と影響を探究する機会を得た。

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屋上にサウナを設置した、ちょっとユーモラスなプロジェクトがこちら。

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スイスのジュネーヴにある浮遊するタイニーサウナ。古い工場の屋根の上に係留され、ポプラ材の香りに包まれたサウナ体験が味わえる。窓をつければ書斎や仕事場としても活用できそう。

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最後は、ミレニアム世代に人気の屋上ホテル。

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オーストラリア・メルボルンのNotelは、ピカピカにリノベーションされた6台のエアストリームに泊まれるホテルだ。ありふれた屋上ガレージにはレッドカーペットが敷かれ、銀色に輝くエアストリームが浮かび上がり、インスタ映えもバッチリ。

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白とポップな色調のインテリアに機能的なバスルームを備え、iPadを壁や天井に貼り付けて寝転がってNetflixを見られるといういかにもイマドキな仕様。

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自宅にフラットな屋上があったら、太陽光パネルでひさしを付けて、雨水を利用した露天風呂と緑の農園をつくって、ハンモックを吊るしてくつろぐ。これが最強な気がする。いわゆる全部入りというわけ。

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