川のほとりに佇む。ブエノスアイレスのスモールハウス「HOUSE DIQUE LUJÁN」

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ここは、日本の反対側にある国アルゼンチンの首都・ブエノスアイレスで、南米を代表する都市の一つ。その北側、ルハン川やビヤ・ヌエバ運河のすぐ側に小さな集落があり、そのスモールハウスの名前は「ディケ・ルハン」。

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庭も含めた総面積は115平方メートル、家の面積は78平方メートルのスモールハウスは、地元の建築会社であるFRAM arquitectos(ファーム・アーキテクツ)が建設した。

アルゼンチンは赤道からは遠く、パタゴニアのイメージなどから寒いイメージを持っている方もおられるかもしれない。しかし、ここは豊かな水源が近くにあり、くるみや水松など特徴的な植物の他にも、様々な種類の樹木が生い茂る様子は、気温とは裏腹にどこか「熱帯っぽさ」がある。

 

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このような環境に家を作ることで、自然から恵みを受けることができる一方、自然の脅威も目の当たりにする。

近くに川があるこの土地は、水を引いて植物や農作物を育てるのに適している反面、水位のレベルが上がることもあり、洪水の被害を受けやすい。そのため、土地の水位が低いこのような「デルタ河口域」において、伝統的な建築様式がある。

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この家が高床式になっているのは、もちろん洪水被害を避けるためだ。素材としては強化コンクリートを用いて、上の木造のフレーム構造や柱体を支えている作りだ。

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西洋で伝統的に主流となっている枘(ほぞ)を使わずに、釘だけで組立ててゆくバルーン・フレーム構造をあえて用いないことで、中と外を区切らないような柔軟な空間作りが可能となった。

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この家自体は一つの建造物となっているが、屋根を3つのパティオで区切ることで3つのパートに分けている。パティオに続くデッキで、
3つのパートはひと続きになりどこにでもアクセスできる。

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梁を使い木のフレームを組み立て、その中に家を作るという構造を取っている。このフレームが直接パティオになり、「中」と「外」の境界を消すのに一躍かっている。

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パティオの部分に高床へ上がるための階段をかけ、圧迫感を与えない「玄関らしさ」を印象づけている。

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建物の構造としての凸凹が大きい部屋と廊下に分かれている。凹んだ部分を廊下にする事でパティオが広くなり、椅子に座りながら犬などと遊ぶのにちょうどいいスペースになる。

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また、こちらではくるみの木を切ることなく、建物の中に取り込むことに成功している。

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そのおかげで窓の面積を増やすことができ、これも中と外の境界を消すことに役立っているだけではなく、太陽光を室内に十分に取り込むことができる。ここ以外にもこの家には窓がたくさん取り入れられており、日中は照明などなくても、室内が非常に明るい印象を持つことができる。

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キッチンなどの水まわりも、木製で自然な感じが心地よい。

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シンプルな作りのキッチンカウンターの裏側は、収納スペースが豊富でとても実用的でもある。

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アシンメトリな構造を採用すれば、自然に合わせて自由な建築が可能となるが、あまりにもそれを採用しすぎれば、家自体が複雑になり使いにくい印象となってしまう。
このスモールハウスでは「高床で持ち上げられたパティオ」というボックスで囲むことにより、統一性を出すことにも成功している。
置く場所が自由なスモールハウスは、周りの環境からの影響を受けやすいという性質があるが、今回のように「自然ありきで建てる」という発想を持てば、様々なことがスムーズに進んでいくのではないだろうか。

 

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