中国・貴州のアグリツーリズムリゾート「Woodhouse Hotel」

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中国で観光都市として有名な貴州省は、年間平均気温が15.2度くらいで、冬や夏も過ごしやすく中国の避暑地としても有名な場所だ。そんな貴州省にある铜仁市は、昔ながらの中国の文化や建物が残り、とても美しい伝統的な田舎の風景が見られる地域。そんな中国の原風景が残る場所に、Woodhouse (ウッドハウス) ホテルという、アグリツーリズムリゾートが誕生した。

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アグリツーリズムとは都市部に住む人が農村に滞在して、農業体験などをおこなうことで、日頃の忙しい日々から解放されリフレッシュできるようにしたリゾートで、いわゆる「農泊」のことだ。
農村で採れたての新鮮な野菜や、現地でしか食べられないものなど「食」を楽しむためのツーリズムとして、日本でも今注目を集めている。

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敷地内の丘の斜面に10棟の木造の家があり、形は三角型や長方形型のボックス型など様々で、ZJJZという会社がデザイン・設計を手がけた。一つ一つの家が「部屋」になっていて、10組が泊まれる。家の配置は、ビジターに最高の景色を提供できるように考えられているが、元々あった木々や岩石などにはなるべく手を加えないで、自然のままの姿を大切にしている。

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中国奥地の山によくあるように、この山も木々が茂り、大きな岩が多く複雑な地形をしていて、輸送機などで素材を運ぶことが困難だった。そのため、人の手で山の上まで素材を運んでいる。そんな建設困難な凸凹した地形にスモールハウスを建てる場合、頻繁に利用されるソリューションが「高床式」の構造だ。

黒い外壁は木材を炭化させたもので、周りの気温や気候、害虫などから家を守る効果があり、色合いも自然の景色に溶け込んでいる。ちなみに、炭化の作業も現地で行われた。

外観や佇まいは周りの自然と調和しているが、室内は、既存の村の建物からは想像できない程、新しい生活スタイルを提供している。

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寝室を兼ねたリビングにトイレ、シャワー、バスタブまで揃っており、とてもモダンな内装になっている。都市部の生活に慣れた人たちにとっては、とても快適な空間だろう。

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バスタブにつかりながら、大きなガラス窓から望む山々の景色を存分に味わうことが出来る。

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ベッドサイドの大きなガラス窓からも、寝ながら大自然の景色を堪能することが出来る。シンプルで洗練された室内のインテリアからは、いわゆる中国らしさは感じられない。

それぞれの棟に屋根付きのテラスもあり、備え付けられた椅子に腰掛けながら、綺麗な空気と景色を楽しむことができる。

今、中国の都市部では急激な発展の一方で、pm2.5などの大気汚染が深刻な社会問題となっていて、環境問題への取り組みが急務となっている。一方では、国土が広大な中国は、このような山間部の田舎にいくと、汚染とは無縁のきれいな空気と豊かな自然が広がっている。このような現状を受けて、政府主導での初めてのプロジェクトとして、アグリツーリズムをさらに活発にしていこうという動きが見られている。

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日本で中国富裕層の爆買いが報じられる一方で、中国の田舎に住んでいる人々は貧困に苦しんでいるという現状があり、中国国内での経済格差は、日本の比ではない。そんな中、政府主導のアグリツーリズムの活動は地域の活性化にもつながり、町おこしとしても有効な手段といえよう。

通常、「農泊」といえば、既存の農家に泊まる場合が多いのだが、このような「リゾート」という形にしたのは、現代生活に慣れたより多くの人に、まずは抵抗なく来てもらうために必要な取り組みかもしれない。比較的ローコストで、建設困難な場所でも設置がしやすいスモールハウスの導入は、中国だけでなく日本でも今後増えていくのかもしれない。

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