2日で完成!?ブラジルのプレハブハウス「porto quadrado」

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ここはブラジルの最南端、ウルグアイと国境を接するrio grande do sul(リオ・グランジ・ド・スル)州。

自然豊かなこの州で突如として現れたプレハブハウスの名前はporto quadrado(ポルト・クアドラード)、ポルトガル語で直訳すれば、「四角形の港」の意味となる。

当初のアイデアとしては3人家族が住むのに十分なホリデーハウスとなるように空間設計された。

しかし、周りにある個性的な自然や、豊富な植物に囲まれるうちに考えが変わり、「それを生かすような」プロジェクトにシフトしていくようになった。

全ての生きとし生けるものは、母なる自然が生んだ環境に影響され、それに適応するように進化し、生きてきた。
すべてのインスピレーションの源はそこにあり、そのような方向性に向かっていくのは必然であったのだ。

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スモールハウスの大きさは35平方センチメートルで、プライバシーを確保するために、その空間を大きく3つに区切ったものがこのporto quadradoの概要だ。

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このコンパクトな空間の中に、玄関、キッチン、リビング、洗面所、寝室まで生活に必要な機能がすべて詰まっている。

外装はアルミ-亜鉛の55%合金をコートした鉄板を使い、軽量で扱いやすく、防水性だ。
その壁は白く、メタリックな、コンテナハウスを彷彿とさせる作りだが、中は暖かな木材を感じられる作りだ。

さらにブラジル人には絶対に欠かせないバーベキューピットもある。
ブラジル(特に南部)にはChurrasco(シュハスコ)という独自のバーベキュー文化があり、休日になると家族やアミーゴ(友人)達を呼んで一緒にバーベキューをするという習慣があるため、バーベキューができるかどうかというのは彼らにとって非常に大事なものなのだ。

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このプレハブの入り口は非常に広くとられており、オープンスペースの精神がここにも見て取れる。
その玄関には木製の小さなデッキもつけられており、天気のいい日は自然に囲まれながら、そして自然を楽しみながら時を過ごすことができる。

側面には屋根付きのビルドインテラスもあり、雨の日なども、閉じこもらずに、自然を楽しむことができる。

家自体が小さくてシンプルなため、家の中に閉じこもっていても仕方がない。
外にいたほうがむしろ居心地がよく、外に出る時間が長くなる。
そのため結果として、生活がより、「自然に」近くなるのだ。

このスモールハウスの素晴らしいところはその「住まい方」だけではなく、建築プロセスの簡単さにも現れる。

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このスモールハウスはSIPと呼ばれる建築用断熱パネル材を使い建築されている。
SIPは簡単に言えば電気や配管など、コアになる部分を断熱材で覆い、さらにそれをOSBプレート(配向性ストランドボード)と呼ばれる壁材(内装の壁でむき出しになっているもの)で包んだものだ。
低コストながら、非常に頑丈で、温度調整効果も抜群なものだ。

具体的に48枚のSIPパネルを使い現地で組み立てることができ、ビルドインで水、ガス、電気などインフラ系の導管もついてくる。

このような簡単さから、経験を積んだ大工2人いれば、このporto quadradoは何と2日で完成させることができるのだ。
もしくは手際よくやれば1日半ほどで作ることもできる。

このように施工期間を短くできるおかげで、施工費用も抑えることができ、さらにコストを下げることができる。

ブラジルの実情として、南米を代表する経済大国でありながら、不平等な社会構造があり、貧富の差が激しい。

このような状況から、今回のようなローコストで立てられる家というのは、ブラジルの抱える闇をほんのすこしでも照らすきっかけにもなることができる。

 

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