第2回:ランチを選ぶ手軽さで、ビーチが選べる毎日です。|スゴイ!が日常!小笠原

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「今日はどこにしようか?製氷海岸にする?釣り浜にする?」
小笠原に到着してすぐ、風にのって聞こえてきた現地の人たちの会話です。

小笠原といえば、きれいな海。その想像が裏切られる心配はないと思いますが、驚いたのはビーチの数。それぞれに特色があり、飽きることがありません。すべてのビーチに行こうとしたら、2週間あっても足りないぐらいです。

まずは「製氷海岸」砂浜からわずか数メートルで世界が一変する、広大なサンゴ瑚が特徴です。
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素潜りで泳ぐなら「釣り浜」魚や珊瑚礁の数も種類も圧倒的にして感動的。
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「小港海岸」は、広大なホワイトビーチでのんびり南国気分が楽しめます。
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そして「境浦」なんと、シュノーケリングで沈船を探検できます。
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それぞれのビーチへ行くにはバイクが必須。父島は1周しても40分ぐらいの小さな島なので、15分もあれば着くビーチが多いです。が、中にはバイクを停めたあと、数時間かけて山を歩いて越えなければ辿り着けないビーチもあります。

沖縄との違いは、何と言ってもビーチに人が少ないこと。僕が旅をした7月は、どこへ行ってもほぼ貸切でした。休日の昼下がりはもちろん、仕事の休憩時間に、まるでランチに行くかのような気軽さで、世界最高級の海に出かけられる。都会の公園で、ビルに囲まれた空を見上げてくつろぐのとは、わけが違います。

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町のメインストリートにあるビーチ「前浜」

ビーチについて詳しくは「ツアーなしでタダで120%楽しめる!小笠原ビーチランキング!」を見ていただくとして、この記事では島の暮らしに最も身近な「前浜」についてご紹介したいと思います。

地図上では「大村海岸」と記されることが多いですが、現地の人たちは前浜と呼んでいます。小笠原はとてもコンパクトな島なので、船の発着場も、スーパーも、飲食店も、ホテルも、すべての住機能がこのエリアに集中しています。このエリアから出ると、自販機すらあまり見かけません。

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人が生活するすぐそばで、ウミガメの産卵が。

前浜は、そんな町のど真ん中にあるビーチで、1,000人が乗り降りする「おがさわら丸」が発着している港のすぐ隣にあります。それなのに、この青さと美しさ!

夜になると、ウミガメが続々と上陸します。信じられるでしょうか?人が生活している、そのすぐ目の前でウミガメが産卵しはじめるのです。

ある夜、海岸を何気なく散歩していると、「バサッ!」という音がすぐそばで聞こえました。何事か、と思って暗がりに目を凝らすと、なんと巨大な岩のようなウミガメがいるではありませんか!ちょうど、卵を埋めていたところで、しばらくすると海へと帰って行きました。

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もちろん、ゴミなんてチリひとつ落ちていません。ある島のおばあちゃんは、前浜にある公共トイレの周りに毎朝お花を添えて彩っています。理由を聞くと、「そのほうが気持ちいいでしょう」と笑って聞かせてくれました。
何年も続けているうちに、村から報酬の申し出まであったという。誰かのために、やりたくてやっていることが、自然とお金になる。正しい仕事のつくり方を教えてもらった気がしました。

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小笠原は2,500人が住むシェアハウス?

夜になっても、前浜には自然と人が集まります。
ウミガメでも待ちながら、星空を見上げてビールで乾杯。語り飽きたら「バイバイ」じゃなくて、「おやすみ」。終電を気にする必要もありません、家ならみんな歩いて帰れる距離にあるのですから。

その様子は、まるでシェアハウスのようです。小笠原という島を2,500人でシェアしている。だからこそ、自分の庭やリビングでもある海や町を、みんなで大切に使っているのかもしれません。

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治安も良く、家やバイクの鍵は誰もかけないし、僕が落としたサイフも1時間後には(速い!)警察に届いていました。同行したカメラマンは、高級機材を駐車場にほっぽりだして前浜で飲んでいたぐらいです。

考えてみれば、盗んでも逃げるところがないのです。手放しで安心できるこの島では、ムダな荷物はもちろん、緊張感もゼロにしてくれます。その解放感は、裸になるより気持ちがいいものでした。
小笠原の居心地の良さは、信頼できる、家族のようなシェアメイトと暮らしている。そんな安心感と似ています。

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スゴイ!が日常!小笠原の「海」。それは、「今日はどこに行こうかな?」と、ランチを選ぶみたいに、ビーチが選べる毎日です。
シュノーケリングも、ダイビングも、ドルフィンスイムも。海のアトラクションはもちろん、街の中心部にある「前浜」ですら圧倒的な美しさに目を奪われます。その美しさの理由は、ひとつの島をみんなでシェアする、その心から守られているのかもしれません。