【対談】2年をかけてたどりついた“ちょうどいい広さ”、日本製の新築トレーラーハウス「KIBAKO TRAILER」に住む
「タイニーハウス」が日本で徐々に知られるようになったのは2010年代初頭のこと。そこから5年以上の年月が経ち、国内ではタイニーハウスを販売するメーカーも増えて、タイニーハウスの知名度は少しずつ上がってきました。
静岡県の伊豆に本社を構える「天城カントリー工房」は、国内でタイニーハウスを販売する数少ない住宅メーカーのひとつ。
2015年に取材させてもらったタイニーハウス「KIBAKO」のトレーラーハウスが発売されたと聞き、YADOKARIの新サイト「TINYHOUSE ORCHESTRA」のプロデューサー相馬由季が、「天城カントリー工房」代表取締役の土屋雅史さんにお話を伺いに行きました。

国内産タイニーハウスの先駆け、「KIBAKO シリーズ」とは?
相馬由季(以下、相馬):土屋さん、本日は宜しくお願いします!まずは「KIBAKO」をご存じない読者さんに向けて、どのような家なのかをお聞きしたいです。
土屋雅史さん(以下、土屋):KIBAKOは10平米のタイニーハウスで、ロフト付きの「KIBAKOノッポ」と、平屋タイプの「KIBAKOチビタ」の2種類があります。今回販売を開始するのが、トレーラータイプの「KIBAKO TRAILER」です。
▲ 写真①:KIBAKO TRAILER外観/写真②:KIBAKO TRAILER内装
相馬:国内産のタイニーハウスはまだ珍しい存在ですが、KIBAKOシリーズはどのような背景から生まれたのでしょうか?
土屋:私たちの会社は、30年以上ログハウスやオーダーメイドの家を作ってきたメーカーなんです。でも、それだけでは頭打ちになってしまうなと思っていて。そのタイミングでタイニーハウスを知ったんです。
ちょうど地方移住や断捨離も浸透してきた時期だったので、タイニーハウスはこれからの時代に求められるものだと思いました。そういう背景から2015年に販売を開始したのが、「KIBAKOノッポ」と「KIBAKOチビタ」です。
▲ 写真①:KIBAKOノッポ/写真②:KIBAKO チビタ
相馬:販売から2年が経ちましたが、反響はいかがでしたか?
土屋:問い合わせはすごく多くて、今まで約400件の問い合わせをいただきました。実際に建ったのは2年間で20軒。利用方法も様々で、住まいや事務所、小さな店舗として使用されているオーナーさんもいらっしゃいます。
相馬:この2年間で、日本に20軒のタイニーハウスが増えたんですね。オーナーの方々からは、住み心地に対してどのような感想が出てきたのでしょうか?実際に住むと、いろいろな要望が出てくると思うのですが。
土屋:「住んでみると収納が足りない」という意見や、見学者からは「もう少し広い方が」という感想をいただきました。KIBAKOの敷地面積は約5m×2.3mですが、本宅として住むには少々狭いのかもしれません。
なかには、「スペースが足りないから」とKIBAKOを3棟つなげて利用したいと話されるオーナーもいらっしゃるんですが、それだと新築の戸建てを建てるのと変わらない費用になってしまいます。そこで「最小限の費用とスペースで、快適に暮らせる家を作りたい」と模索して生まれたのが、トレーラーハウス「KIBAKO TRAILER」なんです。
住む人の意見から分かった、タイニーハウスの「ちょうどいい広さ」
土屋:本体価格700万円の「KIBAKO TRAILER」は、前シリーズより少しだけ広く、約7m×2.2mのスペースで作りました。収納のことを考えてロフトをふたつ設けて、これだけで住まいとして完結できるように「シャワーブース」と「水洗トイレ」、「IHのミニキッチン」も付けています。
相馬:「ノッポ」や「チビタ」は、シャワーやトイレは付いていなかったので、前シリーズからかなり進化していますね。
土屋:どれも生活に必要な設備ですよね。日本ではタイニーハウスって、「リアルな暮らし」ではなく、雑誌やテレビのなかで見るような「憧れ」に近い存在だったと思うんです。
でも、この2年間で状況は変わってきました。タイニーハウスに住む人も少しずつ増えてきて、「もう少しスペースが欲しい」とか、住んだからこそ分かる要望が見えてきたんです。
「KIBAKO TRAILER」は、その要望に合わせて、タイニーハウスらしい大きさを保ちながら、住めるギリギリのラインを追求しました。
相馬:タイニーハウスは「実現するためにどうすればいいか?」というフェーズに差し掛かっていますよね。「費用はどれくらいか?どのような設備が必要か?土地はどのように見つければいいか?」という、そこで暮らすための情報ニーズが高まってきています。
私も、近い将来タイニーハウスを建てて住んでみたいんです。 そうすることで、タイニーハウスに住む課題や楽しさを実感した上で、より必要とされている情報を発信できる気がしています。
土屋:住んでみたから分かることってありますよね。2年間タイニーハウスを販売してきて思うのは、タイニーハウスってやっぱり家なんです。家具や車ではないからすぐに買えるわけではないし、建築だから基礎を作ったり、ライフラインを引いてあげたりしないといけない。
相馬:家としての基本的な機能もそうですけれど、建築基準法もからんできますよね。
土屋:法律もそうですね。タイニーハウスは日本ではまだ新しい住まいの形だから、法律の整備が追いついていないんです。設置する地域ごとに審査の基準が違ったりして、はっきりとしたルールが統一されていない。
やっぱり、憧れてるだけじゃだめなんです。実際に住む人が増えていかないと、どのようなルールが必要なのか、どのようなスペースや機能が必要かどうかが分かりません。
僕たちも住宅メーカーなので、法律や住み心地にはすごく気を使っています。「KIBAKO TRAILER」も、日本トレーラーハウス協会に問い合わせて、移動の際に強度の問題がないか、安全に使えるかどうかは、かなり気を使って設計したんです。
相馬:「KIBAKO TRAILER」はトレーラーハウスになって、移動もできるようになりましたね。
土屋:タイニーハウスの持つ面白さって、移動可能なことだと思うんです。将来住む場所を変えたくなったら移動することもできる。それは「不動産」ではできないことです。
相馬:ランドクルーザーくらいの馬力があれば牽引することができるんですよね。「ノッポ」や「チビタ」が大型トラックで移動させていたことを考えると、かなり手軽になりました。
土屋:そうですね。でも、発祥の地アメリカと違って日本の道路は狭いので、移動に制限がかかる場所もあります。ライフラインの設置なども考えると、頻繁に移動はできないので、「将来的に移動もできる」くらいの温度感で考えた方が良いと思います。日本の道に合わせて、移動のしやすさを追求すると、また調整が必要かもしれません。
土屋さんが考える、タイニーハウスに住むために必要な「アクション」とは?
相馬:最後に、読者の方に向けて、タイニーハウスで暮らすためにどうすれば良いかアドバイスをいただけますか?
土屋:まずは実際に宿泊してみることでしょうか。実際に過ごしてみると、タイニーハウスの良いところや、逆に物足りないところが分かると思います。
タイニーハウスを販売している住宅メーカーのなかにはキャンプ場などの宿泊施設に設置しているケースもありますので、一度宿泊されてみると良いでしょう。
あとは「個人のスペースが取りづらい」「収納が少ない」などの制約に対して、本当に物を減らしたシンプルライフが送れるか再確認する必要があります。ご自身が住む家なので、快適に過ごせることが一番だと思います。
将来的にお子さんができたらと考えている方は、最初はご夫婦で住んで、お子さんが大きくなったら2軒目を建ててもいいですね。子ども部屋が必要な時間って10年ぐらいじゃないですか、使わなくなったら民泊用として貸し出してもいいし、もしかしたら、お嫁に行くときに持って行ってもらってもいいかもしれない(笑)
ライフスタイルに合わせて柔軟に使えることがタイニーハウスの良いところなんです。そのメリットを活かして、人ぞれぞれの新しい暮らしを作ってもらえたら嬉しいです。
相馬:それぞれの豊かな暮らしを実現することが一番大切なことですよね。タイニーハウスはその手段ですから。今日はありがとうございました!
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◎天城カントリー工房の過去記事はこちら
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「タイニーハウス」が日本で徐々に知られるようになったのは2010年代初頭のこと。そこから5年以上の年月が経ち、国内ではタイニーハウスを販売するメーカーも増えて、タイニーハウスの知名度は少しずつ上がってきました。
静岡県の伊豆に本社を構える「天城カントリー工房」は、国内でタイニーハウスを販売する数少ない住宅メーカーのひとつ。
2015年に取材させてもらったタイニーハウス「KIBAKO」のトレーラーハウスが発売されたと聞き、YADOKARIの新サイト「TINYHOUSE ORCHESTRA」のプロデューサー相馬由季が、「天城カントリー工房」代表取締役の土屋雅史さんにお話を伺いに行きました。

国内産タイニーハウスの先駆け、「KIBAKO シリーズ」とは?
相馬由季(以下、相馬):土屋さん、本日は宜しくお願いします!まずは「KIBAKO」をご存じない読者さんに向けて、どのような家なのかをお聞きしたいです。
土屋雅史さん(以下、土屋):KIBAKOは10平米のタイニーハウスで、ロフト付きの「KIBAKOノッポ」と、平屋タイプの「KIBAKOチビタ」の2種類があります。今回販売を開始するのが、トレーラータイプの「KIBAKO TRAILER」です。
▲ 写真①:KIBAKO TRAILER外観/写真②:KIBAKO TRAILER内装
相馬:国内産のタイニーハウスはまだ珍しい存在ですが、KIBAKOシリーズはどのような背景から生まれたのでしょうか?
土屋:私たちの会社は、30年以上ログハウスやオーダーメイドの家を作ってきたメーカーなんです。でも、それだけでは頭打ちになってしまうなと思っていて。そのタイミングでタイニーハウスを知ったんです。
ちょうど地方移住や断捨離も浸透してきた時期だったので、タイニーハウスはこれからの時代に求められるものだと思いました。そういう背景から2015年に販売を開始したのが、「KIBAKOノッポ」と「KIBAKOチビタ」です。
▲ 写真①:KIBAKOノッポ/写真②:KIBAKO チビタ
相馬:販売から2年が経ちましたが、反響はいかがでしたか?
土屋:問い合わせはすごく多くて、今まで約400件の問い合わせをいただきました。実際に建ったのは2年間で20軒。利用方法も様々で、住まいや事務所、小さな店舗として使用されているオーナーさんもいらっしゃいます。
相馬:この2年間で、日本に20軒のタイニーハウスが増えたんですね。オーナーの方々からは、住み心地に対してどのような感想が出てきたのでしょうか?実際に住むと、いろいろな要望が出てくると思うのですが。
土屋:「住んでみると収納が足りない」という意見や、見学者からは「もう少し広い方が」という感想をいただきました。KIBAKOの敷地面積は約5m×2.3mですが、本宅として住むには少々狭いのかもしれません。
なかには、「スペースが足りないから」とKIBAKOを3棟つなげて利用したいと話されるオーナーもいらっしゃるんですが、それだと新築の戸建てを建てるのと変わらない費用になってしまいます。そこで「最小限の費用とスペースで、快適に暮らせる家を作りたい」と模索して生まれたのが、トレーラーハウス「KIBAKO TRAILER」なんです。
住む人の意見から分かった、タイニーハウスの「ちょうどいい広さ」
土屋:本体価格700万円の「KIBAKO TRAILER」は、前シリーズより少しだけ広く、約7m×2.2mのスペースで作りました。収納のことを考えてロフトをふたつ設けて、これだけで住まいとして完結できるように「シャワーブース」と「水洗トイレ」、「IHのミニキッチン」も付けています。
相馬:「ノッポ」や「チビタ」は、シャワーやトイレは付いていなかったので、前シリーズからかなり進化していますね。
土屋:どれも生活に必要な設備ですよね。日本ではタイニーハウスって、「リアルな暮らし」ではなく、雑誌やテレビのなかで見るような「憧れ」に近い存在だったと思うんです。
でも、この2年間で状況は変わってきました。タイニーハウスに住む人も少しずつ増えてきて、「もう少しスペースが欲しい」とか、住んだからこそ分かる要望が見えてきたんです。
「KIBAKO TRAILER」は、その要望に合わせて、タイニーハウスらしい大きさを保ちながら、住めるギリギリのラインを追求しました。
相馬:タイニーハウスは「実現するためにどうすればいいか?」というフェーズに差し掛かっていますよね。「費用はどれくらいか?どのような設備が必要か?土地はどのように見つければいいか?」という、そこで暮らすための情報ニーズが高まってきています。
私も、近い将来タイニーハウスを建てて住んでみたいんです。 そうすることで、タイニーハウスに住む課題や楽しさを実感した上で、より必要とされている情報を発信できる気がしています。
土屋:住んでみたから分かることってありますよね。2年間タイニーハウスを販売してきて思うのは、タイニーハウスってやっぱり家なんです。家具や車ではないからすぐに買えるわけではないし、建築だから基礎を作ったり、ライフラインを引いてあげたりしないといけない。
相馬:家としての基本的な機能もそうですけれど、建築基準法もからんできますよね。
土屋:法律もそうですね。タイニーハウスは日本ではまだ新しい住まいの形だから、法律の整備が追いついていないんです。設置する地域ごとに審査の基準が違ったりして、はっきりとしたルールが統一されていない。
やっぱり、憧れてるだけじゃだめなんです。実際に住む人が増えていかないと、どのようなルールが必要なのか、どのようなスペースや機能が必要かどうかが分かりません。
僕たちも住宅メーカーなので、法律や住み心地にはすごく気を使っています。「KIBAKO TRAILER」も、日本トレーラーハウス協会に問い合わせて、移動の際に強度の問題がないか、安全に使えるかどうかは、かなり気を使って設計したんです。
相馬:「KIBAKO TRAILER」はトレーラーハウスになって、移動もできるようになりましたね。
土屋:タイニーハウスの持つ面白さって、移動可能なことだと思うんです。将来住む場所を変えたくなったら移動することもできる。それは「不動産」ではできないことです。
相馬:ランドクルーザーくらいの馬力があれば牽引することができるんですよね。「ノッポ」や「チビタ」が大型トラックで移動させていたことを考えると、かなり手軽になりました。
土屋:そうですね。でも、発祥の地アメリカと違って日本の道路は狭いので、移動に制限がかかる場所もあります。ライフラインの設置なども考えると、頻繁に移動はできないので、「将来的に移動もできる」くらいの温度感で考えた方が良いと思います。日本の道に合わせて、移動のしやすさを追求すると、また調整が必要かもしれません。
土屋さんが考える、タイニーハウスに住むために必要な「アクション」とは?
相馬:最後に、読者の方に向けて、タイニーハウスで暮らすためにどうすれば良いかアドバイスをいただけますか?
土屋:まずは実際に宿泊してみることでしょうか。実際に過ごしてみると、タイニーハウスの良いところや、逆に物足りないところが分かると思います。
タイニーハウスを販売している住宅メーカーのなかにはキャンプ場などの宿泊施設に設置しているケースもありますので、一度宿泊されてみると良いでしょう。
あとは「個人のスペースが取りづらい」「収納が少ない」などの制約に対して、本当に物を減らしたシンプルライフが送れるか再確認する必要があります。ご自身が住む家なので、快適に過ごせることが一番だと思います。
将来的にお子さんができたらと考えている方は、最初はご夫婦で住んで、お子さんが大きくなったら2軒目を建ててもいいですね。子ども部屋が必要な時間って10年ぐらいじゃないですか、使わなくなったら民泊用として貸し出してもいいし、もしかしたら、お嫁に行くときに持って行ってもらってもいいかもしれない(笑)
ライフスタイルに合わせて柔軟に使えることがタイニーハウスの良いところなんです。そのメリットを活かして、人ぞれぞれの新しい暮らしを作ってもらえたら嬉しいです。
相馬:それぞれの豊かな暮らしを実現することが一番大切なことですよね。タイニーハウスはその手段ですから。今日はありがとうございました!
【購入可能】 YADOKARIがオススメする「KIBAKO TRAILER」へのお問い合わせはこちらから
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