19㎡のトレーラーに1年半住んでわかった、タイニーハウスのリアル。「The Caverly’s eco-friendly 204 square foot home」
「タイニーハウスに興味はあるけれど、実際に住んでみたら色々と大変なのでは?」
その疑問、ごもっともです。それでは、2012年の5月から一年半の間、夫婦で約19㎡のトレーラーハウスに住んだ後、現在はアメリカのコロラド州南部にローンなしで少し広めの本宅を建築中の、ShaneさんとCarrieさん夫婦のケースを見てみましょう。
小さなトレーラーハウスに住む以前は毎月1,500ドルを家の支払いに充てていたCaverlyさん夫婦。沢山のモノ、高すぎる住居費をスリムダウンし、よりシンプルで豊かな生活を手に入れたいと2012年2月に夫婦で約19㎡のトレーラーハウスをDIYすることを決意します。
ご主人のShaneさんは注文住宅の建築業者、奥さまのCarrieさんは建築デザイナーという職業柄か、本業の合間にデザインから資材の調達、着工、完成までわずか3カ月というハイペースで進みました。断熱や排水にも気を配り、資材にリサイクル品を活用するなど環境にもお財布にも優しい建築を目指した結果、土地の使用料、電気と水道代を合わせても月々350ドルの支払いで済むようになりました。
動画では他のタイニーハウス同様、家の狭さを克服するアイディアが随所に見られます。
特にユニークな点はクイーンサイズのベッドに上る両脇の階段収納。ベッドの下は洋服掛けと愛犬Rioのスペースに。リビングのソファーと肘掛の下はそれぞれ洋服とバッグの収納、洗面所は設けずにシャワーブースの小さなシンクで洗顔も歯磨きもしてしまうなど、省スペースへのこだわりが徹底されています。
ここで二人が1年半実際に過ごしてみて気付いたトレーラーハウスの良い点を挙げてみると…。
トレーラーハウスの良い点。
1.窓に近いので自然を身近に感じられる。2.冬暖かい。3.住宅ローンなしで家が持てる。4.移動できる。5.安く住めるので将来住む家の資金を貯められる。6.掃除が簡単、家族とコミュニケーションが容易。7.改修が可能&安く済む。8.環境に優しい。9.ネタになる(!)。10.家が狭いので外に出たくなり、結果コミュニティーとの繋がりが生まれる。
逆にイマイチな点は?
1.仕事をするスペースがない。2.個室がない。3.収納が少ない。4.肘が壁やパートナーに当たる。愛犬につまづく。5.ヨガをするスペースがない。6.トレーラーハウスの特性上、大きな庇が付けられないため夏熱い。7.キッチンが狭い。8.プライバシーがない。9.トイレの臭い(焼却式トイレから水洗トイレに変更して解決)。10.バスタブがない。
Caverlyさん夫婦の場合、家で仕事をする空間と愛犬と戯れるくつろぎのスペースが必要と分かったために、トレーラーは今後ゲストハウスとして使用されるようです。
けれどもこのトレーラーハウスを自分たちでデザインし、試行錯誤しながら作り上げ、実際の住宅として住んでみたことで家には何が必要か、自分たちに最適な広さはどのくらいなのかよく理解できたと言います。
この経験は現在建築中の家に活かされ、トレーラーハウスに住むことで浮いたお金を新しい家に投入できたことを考えると、トレーラーハウスで過ごした1年半は二人にとって決して無駄な物ではなかったと言えるのではないでしょうか。
こうしてみるとタイニーハウスの良い点とイマイチな点は表裏一体だと気付かされます。たとえば家族とコミュニケーションが取りやすい半面、プライバシーは無くなるけれど、その結果外に出たくなって以前より活動的になる。家の中が熱いなら外で夏しかできないマリンスポーツを始めてみる。広いお風呂が恋しくなったら地域のレトロな銭湯や温泉を開拓する。
そんな逆転の発想にワクワクしてきたら、あなたも近いうちにタイニーハウスの住人に仲間入りかも。