洗濯どうしてる?「小さな暮らし」先駆者たちのランドリー事情
タイニーハウスでは、日常の家事をこなすためにどのような工夫をしているのでしょうか。「家事」といえば主に「料理・洗濯・掃除」ですが、今回は「洗濯」にスポットライトを当ててご紹介したいと思います。オランダの「小さな暮らし」先駆者たちにとっても悩みの種である洗濯。そこには興味深い、十人十色の解決方法がありました。
【case 1】アムステルダムの学生寮での場合
まずは、アムステルダムの学生寮に住んでいた女性の場合。細長いコンテナハウス内にバスルームは付いていますが、あいにくと洗濯機の設置は無し。共用スペースのような場所もなかったので、日々の洗濯には困っていたのだとか。そこで小型のバケツ型洗濯機を購入し、自室内で対応できるようにしたそうです。
彼女が使っていた洗濯機のメーカー名は分からなかったのですが、「バケツ型洗濯機」を検索しているうちにこのような商品を見つけました。電動式で、しっかり脱水まで行える優れもの。サイズが小さいだけで、機能は家庭用洗濯機と同じなのです。
これは、小さな暮らしで大活躍してくれそうですね。
【case 2】タイニーハウス先駆者マリョレインさんの場合
オランダのタイニーハウス・ムーブメントをけん引する女性、マリョレインさん(Marjolein Jonker)。彼女の家を2度見学したことがあります。
2016年10月にお邪魔した時は、このような洗濯用アイテムを使用されていました。中に洗濯物と水と洗剤を入れ、ハンドルで本体を回転させて洗うというスタイルです。
動画サイトで、同じ商品の使い方を解説してくれている方がいましたのでご紹介します。写真で見るよりも実物はボリュームがあり、男性用のジーンズもしっかり洗濯できるのだとか。
けれど2018年7月に再訪した時、マリョレインさんは新アイテムを紹介してくれました。この一見普通の棚の中には…。
なんと、3.5kg用の縦型洗濯機が隠されていたのです! 欧州では縦型洗濯機は非常に珍しいのですが、こんな使い方もあるのですね! ちなみにここはバスルームではなく、リビング・スペースの中央。使用時は、排水ホースをバスルームまで延ばすのだそう。洗濯機を囲んで家具としても使用するという、驚きのライフハックですね。
【case 3】タイニーハウス村の住人の場合
畑で野菜を作り、自給自足生活を目指しているタイニーハウス村の「Proeftuin Erasmusveld」。ここに住む住人たちの家はすべてモバイルハウスなので、やはり自宅での洗濯は難しい様子。
けれど彼らには敷地内に「共通の家」(het gemeenschappelijk huis)と呼ばれる管理事務所兼コミュニティ・スペースのような場所があるのです。ここで洗濯もできるそうで、住人のほとんどがここで洗濯をしているとアンケートに答えていました。
【case 4】小さな暮らしを始めたばかりの女性の場合
先ほどのマリョレインさんと同じ敷地内で、2018年春からタイニーハウス暮らしを始めたばかりのマールースさん(Marloes van der Gulik)という女性の場合。雨水をろ過してリサイクルするシステムを搭載しているものの、雨の少ない季節に住み始めてしまったため、まだ水不足に悩まされているそう。そのため、まだこのタイニーハウスでの洗濯は未経験。ご実家が同じ市内にあるので、まだ洗濯はそちらに持ち帰って一緒に洗ってもらっているのだとか。マールースさんのためにも、早くオランダの雨不足が解消されて欲しいものです。
【case 5】タイニーハウス通りの「Tiny Loft」の場合
Hardegarijpという街にある、オランダ発の「タイニーハウス通り」。そこに建つ「Tiny Loft」というタイニーハウスと全く同じデザインのモデルルームには、家庭用の洗濯機が設置されていました。
「Tiny Loft」はモバイルハウスではないので、スペースの工夫次第では通常の洗濯機も問題ないようです。このスペース配置は、ぜひ参考にしたいですね。
進化するマニュアル洗濯機
また最近では、下の動画のようなフットペダル式の洗濯機なども開発が進み、電気不要の洗濯がどんどん便利になってきているのです。立ったまま足の力で操作できるので、ハンドル式より楽そうですね。
ポータブル式か設置型か。電気使用か不使用か。先人たちの例を見ると、さまざまな洗濯機のチョイスがありましたね。また、自宅で対応できないときは、誰かに助けを求めるというのも選択肢のひとつなのだと気が付きました。日本にはコインランドリーという便利な施設も多いですし、使えるものはどんどん使い、「小さな暮らし」のペースが出来上がってからゆっくり考えてもいいかもしれません。
ぜひ皆さまが、「小さな暮らし」を始める際の参考になさってください。
ライター:倉田直子