【タイニーハウスに行ってみた】女性たちのコミュニティ「ホッフェ」(後編)
オランダにひっそりと佇む、女性だけのコミュニティ「ホッフェ」。「仲間たちと付かず離れずの距離でゆるやかに付き合える」この歴史あるコミュニティの、実際の暮らしぶりを見せてもらうことができました。「タイニーハウス・オーケストラ」読者のみなさまだけに、そっとご紹介いたします。
都会の中の隠れ家
前編でご紹介したホッフェ同様、こちらも街の中心のにぎやかな界隈に存在します。この重厚なドアの向こうに、女性だけのコミュニティが存在するなんて、通りすがりでは全く気が付きませんね!
今回の中庭の中心には、高い木がそびえたっています。
その中庭を囲むように、住居が建っています。けれど前回同様、一続きの昔の長屋のような可愛らしい家たちです。
(主に高齢の)一人暮らしの女性ばかりが集まって住んでいるので、住民たちはリラックスしてとても楽しそうでした。見学時も、住民同士が朝の立ち話を楽しんでいました。
可愛らしいホッフェの住宅
見学時に、家の前のベンチに座っている女性がいたので、お話を聞いてみました。その方はまだホッフェに住んで半年ほどだそうですが、彼女の上のフロアに住む方は既に20年住むベテランなのだとか。
そして以前はこのホッフェを30軒として区切っていたのですが、現在は改築されて20軒ほどのやや余裕のある間取りに作り替えてあるのだそう。
その方のご好意で、家の中を見学させていただけました。まず玄関を入って右側には、リビングルームが。改装前は、このスペースだけで1軒の家としていたそうです。大きな窓と、白を基調とした壁が部屋を明るく見せていますね。ちなみにホッフェは自治体の公共財産なので、勝手に壁の色を塗りなおしたりはできないのだとか。
そして、玄関の左サイドには、キッチンと、ダイニング兼寝室スペースが。キッチンは、現代風の電熱コンロ(非IH)なのもギャップがあって素敵です。
この部屋で一番印象的なのは、ベッド部分。クローゼットのようにドアを閉じられるので、プライバシー確保も万全。それよりも何よりも、童話の中の家具のようなかわいらしさで胸がときめきます。
ホッフェは主に一定年齢以上の女性が住むことが多いですが、決して高齢者向けの介護ホームという訳ではありません。自立した女性同士が、中庭を通してゆるやかにつながりながら暮らしているコミュニティなのです。
日本もこれからの高齢化社会に向けて、こうやって住民同士がゆるやかかに支え合い、孤独を感じないでいられる住居が必要になってくるのではないでしょうか。
きっとそれは、ホッフェのような長屋でなくても、モバイルハウスの集合で形成できるでしょう。
ホッフェ住人女性たちの生き生きとした様子を眺めながら、そんなことに思いをはせました。
ライター:倉田直子