【タイニーハウスに行ってみた】子供時代を育む「Tiny Village Kleinhuizen」(前編)
2008年のリーマンショックを契機に、アメリカから始まったタイニーハウスのムーブメント。ここ欧州オランダでは、アメリカから数年遅れた2015年頃にムーブメントが本格化してきました。2015年以降、小さな暮らしに踏み切る人々が増えてきています。けれどまだ新しいムーブメントなので、実践している人は若者が大半。シングルまたはカップル同士で暮らしている人がほとんどです。そんな中、子供と共に暮らす家族のタイニーハウスが話題を呼んでいます。子供の暮らしやすさと、スタイリッシュさを両立させているタイニーハウスをご紹介します。
「タイニーハウスたちのタイニービレッジ」
その話題のタイニーハウスは、オランダ中部の街Nieuwegeinの郊外に建っています。
実はこの広い敷地は、タイニーハウスが集うタイニーハウス村なのです。Nieuwegeinの自治体が2017年冬に、最大10軒のタイニーハウスが最長2年ここに住んでも良いという許可を出した敷地になります。現在6軒のタイニーハウスが移住してきています。
ちなみに入り口の看板に書かれている「KLEIN HUIZEN」は、オランダ語の「小さな家たち」という意味の言葉です。この村は、「Tiny Village Kleinhuizen」(小さな家たちのタイニービレッジ)という通称で呼ばれています。
今回ご紹介するのは、入り口の一番近くに建つこちらのタイニーハウス。家主のKarinさんとGijsbertさんが、ご自身で創り上げました。
(c)Naoko Kurata
屋根のあるテラスに、揺り椅子が吊られています。天気の良い日には、ここに座ってコーヒーを飲んだりしたいですね。
素敵なテラスを持つタイニーハウスは、中もとってもおしゃれ!
25㎡の中に、ミッドセンチュリー風のセンスの良いインテリアが上手に配置されています。
オランダのタイニーハウスはセンスの良いデザインが多いですが、その中でもこのKarinさんたちのご自宅は抜きん出ています。そのスタイリッシュさが注目され、雑誌やテレビといったオランダ・メディアからの取材を数多く受けているのです。
けれどそのセンスの良さも去ることながら、メディアが注目するのにはまた別の理由がありました。実はそれは、Karinさんたちの家族構成に秘密があります。
幸せな子供時代を育むタイニーハウス
KarinさんとGijsbertさんの間には、2人のお子さんがいるのです。4歳のJulietteちゃんと2歳のBerend君も、もちろんタイニーハウスに住んでいます。かつてご一家は50㎡のマンションに暮らしていましたが、タイニーハウス・ムーブメントが活性化するのを目の当たりにし、ご自身たちの暮らしをミニマライズすることを決意されたのです。
タイニーハウスを自作し、マンションを引き払い、2017年の春にタイニーハウス生活をスタートさせました。そして秋にかけて半年間、Bilthovenという街のキャンプ場で仮停泊しながら本格的にトレーラーハウスが移住できる場所を探したKarinさんたち。そしてついに、Nieuwegeinの自治体からこのタイニーハウス村での生活を許可されたのです。
家族で暮らすタイニーハウスというだけあり、お子さんたちのプライベート・スペースも存在します。まず入り口から右手側には、Berend君のための場所が。
子供部屋らしい可愛らしさと、タイニーハウスらしいコンパクトさがある、これまたおしゃれなスペースでした。
その上には、お姉ちゃんのJulietteちゃんのためのロフトが。はしごがないと上がれない場所なので、Gijsbertさんに「Julietteちゃんは一人で上がれますか?」と思わず尋ねてしまいました。すると「全然問題ないよ!下のBerendだって一人で上がれるんだから」と意外な返事が。うーん、タイニーハウス暮らしのお子さんはたくましいですね!
ちなみにロフトの中には、女の子らしいアイテムが。キュートですね!
そして、お子さんたちのスペースの横にある、ひときわ目を引くこのインテリア。いくつも重ねられたアンティークなトランクたちも、実は立派な収納なのです。このトランクの中のいくつかには、お子さんたちのおもちゃなどが仕舞われているんですよ!全く想像できないですよね。ぜひ真似したいテクニックです。
Gijsbertさんも、お子さんたちと近い距離にいられるタイニーハウス暮らしに、いたく満足している様子でした。常にお互いの存在を感じ取れるのが、何よりも嬉しいと語ってくれました。
Karinさんたちのタイニーハウスを「いいなあ」と感じるのは、子育てするのに非常に良い環境だということ。家の前のスペースには、Gijsbertさんたちが作った自家製プレイエリアまであるんです!画像では見えにくいですが、なんとブランコまでしっかりありました。
かといって、別に彼らが山奥の僻地に住んでいるという訳ではありません。一般の住宅街や商業施設にもほど近い場所にあり、Julietteちゃんは自転車で数分の小学校にも通学しています(オランダの小学校は4歳から入学可能)。
自然環境と便利さのバランスがとれた場所にあり、家族との距離も近いタイニーハウス暮らし。こんな家で子供時代を過ごせるJulietteちゃんとBerend君が羨ましいです!きっと彼らの子供時代の思い出には、常にこのタイニーハウスが共にあることでしょう。
そして後編では、Karinさんたちのタイニーハウスに負けず劣らず素敵な、他の「Tiny Village Kleinhuizen」住人たちのタイニーハウスをご紹介します。
ライター:倉田直子