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YADOKARIについて

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「最近、いつ、どこで自然を見た?」と聞けば、さまざまな答えが返ってきそうだ。駅前の花壇や、窓ごしに見た空、何ならテレビに映った花々だって「見た」に入るだろう。

質問を変えてみよう。「最近、いつ、どこで自然を感じたか?」この問いに対し、返事を詰まらせる人もいるはずだ。なぜなら、自然の仕組みや自然そのものに対して思いを巡らせる環境や機会、そして心の余裕を、みんながみんな持っているわけではないからだ。

自然と自然の間にサンドイッチされてみる

都会での暮らしの中で自然をめいっぱい感じることは、決して簡単なことではない。そんな常識を覆すのがタイニーハウス「Ursa(ウルサ)」だ。

Ursaは、ポルトガルに拠点を構える建築デザイン事務所「Madeiguincho(マディギンチョ)」がつくったタイニーハウス。
太陽の光や熱といった自然のエネルギーを機械を介さずそのまま用いる「パッシブ・デザイン」を採用したこの住まいは、暮らしの快適さはそのままに、自然の力を感じながら生活できる仕様になっているという。
Ursaで暮らす人々は、自然をどのように感じているのだろうか?場所を問わず、自然とのつながりを感じるための工夫について、詳しく見ていこう。

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Ursaの素晴らしさは、生活用水の流れをたどるとよく分かる。
天から降り注いだ雨は、粒子フィルターでろ過されたのち、Ursaが備えた650リットルもの水を貯える貯水機に送られる。その後、必要に応じて加圧され、キッチン、バスルーム、シンクといった水回りの機器へと回されていくのだ。

人間が使用したすべての水は再度ろ過され、水やり用の水として再度土に染みこんでいく。雨水が人間の中や生活圏を通り、地面に戻る。上から下へという自然の流れの中に、当たり前のように人間の暮らしが組み込まれているのだ。

排せつ物を堆肥にして「自然の循環」に関わる

Ursaの特徴はろ過システムだけではない。室内に電気ドライトイレを搭載しており、人々の排泄物をただ廃棄するのではなく、植物を育てる堆肥として利用することができるのだそう。

自然が育てた食物を食べ、その成長の糧となる形で自然に還すことは、自分が自然のなかの一員であることに加え、その循環に前向きな形で関われることを思い出させてくれるだろう。

暮らしからずっと遠くにある自然

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一度、自分がいる部屋を見渡してみてほしい。蛇口をひねれば飲み水が出て、スイッチを押せば電気がつく。それらがどうやってその場に来ているのかということまでを考える必要はなく、ただ「こうすればこうなる」という思考になってしまってはいないだろうか。人々が暮らしやすい空間が作られていくことのよって、自然とのつながりを感じる機会が少なくなってしまうのかもしれない。

好きな時に水や電気が使えて、指先ひとつで買い物が終わるような便利な世界で暮らす私たちにとって、自然は時に遠いもののように感じられるだろう。私たちは、人間が自然に与えたり、与えられたりしながら日々の生活が成り立っていること、そして自然の循環の中に人間がいて、自然と人間がつながり合っていることを思い出す必要がありそうだ。

Ursaのような住まいの仕組みがあれば、自然とのつながりを再度感じることができる。

日々の暮らしに困らない程度の便利さ、気分を明るくするシックなデザインを保ちつつ、自然をめいっぱい感じることのできる空間づくり。自分が過ごす空間を作ったり、選んだりする際の参考になれば幸いだ。

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自然と一体化するガラス張りのポッドがさらに進化した。ベルギーの建築事務所が手掛けた「Into The Wild」は、2つの天窓を持った星空の下で眠れるキャビン。
コンパクトなモダンリビングに、最大4人を収容できるフロアプランには、驚きの多機能性が詰め込まれている。

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Ark-Shelterは、高品質なデザインが魅力の、1日でインストールできるモジュール式木造ユニットを手掛けてきた。

中でもファミリー向けとして好評の「Into The Wild」は、湖のほとりや森の奥、山の斜面など、大自然の中に簡単に設置ができるモデル。モダンなデザインが取り入れられた「Into The Wild」での時間は、都会の喧騒から離れて心を解放するのに最適だ。

ここで味わえる体験は、最大限にリフレッシュできるラグジュアリーホテルのような時間から、子供の頃に戻ったかのようなワクワク感まで。

特別な体験が詰め込まれたキャビン「Into The Wild」を、一緒に覗いてみよう。

ライフステージに合わせて場所を変え、広さをカスタマイズ

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「Into The Wild」は、3.5 x 12mの42平方メートルの広さがある。複数のキャビンを結合させて自由なレイアウトを構成することもでき、3つのユニットを結合させると、床面積を最大147平方メートルにまで拡張する。

2つ以上のキャビンを持っていれば、いくつかの場所に設置をして多拠点生活をしてみたり、1カ所の場所に集約し大人数が集まれる大きな空間を作ることも出来る。
子育て期間、そしてセカンドライフなど、ライフステージに合わせて最適な暮らしを手に入れることが出来るなんて、とっても魅力的だ。

ラグジュアリーホテルのような体験をミニマムなキャビンで

早速、キャビンの中を見ていこう。
「Into The Wild」の室内は、中央の水回り設備を集めたブラックボックスで区画されている。

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中には、リビング、ダイニング、キッチン、バスルーム、ベッドルームが配置され、ブラックボックスの上には、大きな天窓で星空を眺めながら眠れるエクストラベッドルームが設置されている。

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リビングとダイニングエリアの天窓を含む5つのガラス張りの開口部は、自然のランドスケープをたっぷりと室内に取り込み、インテリアを明るく照らす。

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ベッドルームのダブルベッドは、自動的に上下に移動する。

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使わないときには上に上がって天井と合体し、下に隠されたジャグジー付きバスタブが現れ、リラックススペースに早変わりする。

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自然の景色を堪能しながらジャグジーで癒やされるというのは、なんとも贅沢。リラックスしながら窓の外の景色に目をやれば、自分がまるで自然の中の一部になったかのような時間を過ごせるだろう。

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ブラックボックスの後ろには、シャワールームとトイレがある。プライバシーを保護する乳白色のガラス窓の横のスペースには、細長い木製の手洗い場がある。

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収納コンパートメントの扉を開けると、はしご付きの壁になる。ここを登るとルーフトップの星空ベッドルームにアクセスできるのだそう。ミニマムな空間を最大限活用するために考えられたこのデザインは、合理的なだけでなく、まるで子供に戻ったかのようなワクワク感を味わわせてくれる。

小さなスペースでも最大限に活用するアイデアと、ディテールにこだわったデザインセンスの秀逸さが、ここでの時間をより贅沢で特別なものにしているのだ。

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そして「Into The Wild」は、ソーラーパネル、バッテリー、雨水浄化システムを備えており、完全なるオフグリッドでの居住が可能。
インテリアには、パイン材やオーク材のCLT(クロス・ラミネイティド・ティンバー)のバイオプレートを使用して、環境へのゼロインパクトの設計がなされている。

現代人にとっての本当の贅沢を

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Ark-Shelterは「ディテールにこだわった最小限のスペースに、可能な限りの贅沢な場所をつくりたかった」と述べている。「Into The Wild」のミニマルな外観はランドスケープに溶け込み、住む人に自然のなかで安らぎを与え、心を解毒するのに最適な環境となった。

自然を尊重しながら一体化することが、現代人にとっての本当の意味のラグジュアリー。そんな彼らの思いがカタチになった住まいが、この「Into The Wild」なのだ。

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ark-shelter.com
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(提供:#casa

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ここは昔ながらのヨーロッパの哀愁が漂うスロバキア。
首都のブラチスラヴァから20キロほど離れた場所、Vojka nad Dunajom(ヴォカ・ナッド・ドナヨン)の湖のほとりに建てられた、ユルト型のスロバキア式キャビン「Sovak cabin」をご紹介しよう。

「ユルト」と聞いてピンとこない方も多くいるかもしれないが、モンゴルの遊牧民の住居として有名な「ゲル」を想像してもらうとわかりやすいだろう。
「ゲル」はモンゴル式の言葉で、「ユルト」は南シベリア、中央アジアのトルコ系諸民族の伝統的な住居を指すという。ざっくりといえば円形のフレームを、皮やフェルトで覆ったテント状の伝統的な住まいだ。

建築したのは、Peter Jurkovič(ピーター・ユロコビック)が設立した、スロバキアの建築スタジオ「JRKVC」。彼の作品はいずれも低予算ながら、常識に囚われない自由な発想で価格以上の価値を生み出す事に定評がある。

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今回のこのユルトの外観は円形ではなく、木で組まれたラティスフェンスのようなフレームで囲まれた、長方形の形をしている。

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プラスチックの断熱材を使用した黒い壁の色を、ひし形に組まれた木のフレームで囲むことで、模様が映えモダンで個性的な美しいデザインになっている。

「それではユルトではないのでは?」という声が聞こえてきそうが、そこはご安心あれ。実は長方形のフレームの中に円形のユルトが存在しているのだ。

ユルトの中は白を基調としたシンプルでモダンな印象を受けるが、ユルトの特徴である円形の天井は伝統を取り入れ、木のフレームがむき出しになっている。天窓から放射線状に伸びる木のフレームがデザイン的にとても美しい。

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日中は天窓から明るい日差しが差し込み、室内を照らしてくれる。見上げると、天窓が太陽のように放射線状に光を発しているように見える。

各地を移動する遊牧民の家では、あまり大きな家具などを置かない。このスロバキア式ユルトもそれにインスパイアを受け、家具をなるべく置かないような工夫がなされている。

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例えば、ユルトの円形の側面にくり抜かれたスペースは「座る」ことができ、ソファーの代わりになる。このように家具をなるべく置かないアイデアにより、限られたスペースを最大限生かし、広々とシンプルに生活する事ができる。

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真ん中に円形の丸テーブルがあり、ここで家族や客人たちと食事やお茶を楽しむのもユルトならではの楽しみ方と言えるだろう。

ユルトから飛び出したスペースの両側に、クローゼット収納スペースに思える扉がある。なんと、ここにキッチンと寝室が隠されている。

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左の扉を開ければ、そこにはコンパクトにまとめられたキッチンが隠されている。小さいながらも機能的で、オーブンや収納、シンクも完備で料理も十分にできるスペース。使わないときは、扉をしめることですっきりとした室内に。

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右の扉を開ければ二段ベッドが収められ、まるで秘密基地のような寝室だ。

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テラスに続く窓を開けると、目の前に湖が一望でき、スロバキアの閑静で美しい自然を楽しむ事ができる。大きな窓ガラスを解放すれば、外との境界がなくなり風通しが良くなる。

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現在では世界を渡り歩く「ノマド」というライフスタイルがブームとなり、スモールハウスやミニマリズムと結びついているが、これは「nomad」という英語からきており、これはもともと「遊牧民」という意味だ。
そのノマドの原型とも言える住まいの「ユルト」を現代的に再構築するということにより、過去に想いを馳せつつ、現代的なノマドは古人の知恵を享受する事ができるのかもしれない。

 

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ここは、日本の反対側にある国アルゼンチンの首都・ブエノスアイレス、南米を代表する都市の一つだ。その北側、ルハン川やビヤ・ヌエバ運河のすぐ側に小さな集落があり、そのスモールハウスの名前は「ディケ・ルハン」。

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庭の片隅にある日当たりのよい小屋は、フランスの首都・パリに本拠を置くJCPCDR アーキテクチャがデザインした、作曲のための作業部屋。
クライアントは、最近フランスの田舎に家族で引っ越したミュージシャンで、「リラックスしながら仕事ができるような、スタイリッシュな作業部屋を作って欲しい」との依頼を受けた。そこで、昔ながらの庭によくある工具や農具が置いてある物置小屋を、作業場に変身。プロジェクトの名前は「the forest house・ザ・フォレスト・ハウス」つまり、森の家となった。

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【インタビュー】ユニークな人やお店がつながり、自分を表現できる地域の居場所へ / ぐりーんハウス3代目店主 除村千春さん

「町田山崎団地」を舞台に、団地に住まう人とまちの人とが入り混じり、団地ならではの豊かな暮らしや心地いい日常の景色を共に創り・発信していく取り組み、「まちやまプロジェクト」。

そのプロジェクトの一環として、団地や町田にまつわる取り組みをしている方のインタビューを発信していきます。

一人目は、町田山崎団地にある、おもちゃと駄菓子の「ぐりーんハウス」3代目店主として、団地住人の方や地域に愛されながら活動されている除村千春(よけむらちはる)さん。2024年1月下旬には、新しく「0号室」としてノンアルコールドリンクスタンドも山崎団地名店街にオープンされました。そんな除村さんご自身も、実は町田山崎団地の出身。除村さんの町田山崎団地での取り組みや活動を始めた背景、これからの活動への思いについてお話を伺いました。

 

多様な選択肢があるからこそ、豊かで楽しい場に

多くの子どもと大人で賑わう、駄菓子屋、シェアキッチン、設計事務所を兼ねた「ぐりーんハウス」

 

―まずはじめに、店主をされている「ぐりーんハウス」について教えてください。

除村さん 「ぐりーんハウス」は駄菓子屋、シェアキッチン、設計事務所の3つを軸にして開いているお店です。駄菓子屋とシェアキッチンの相性の良さをとても感じていますね。駄菓子屋だけだと、子どもたちは楽しめるけれど、親御さんが手持ち無沙汰になってしまうことも多いですが、そこにシェアキッチンがあることによって親御さん世代の方にも「ここに来たら楽しい」と感じていただけるお店にできたと思っています。駄菓子屋、シェアキッチン、設計事務所という様々な使い方ができる場だからこそ、相乗効果が生まれていると感じます。

ー2020年から「ぐりーんハウス」での取り組みも続けながら、同商店街に「0号室」というノンアルコールドリンクスタンドもオープンされたのにはどういった背景があったのでしょうか?

2024年1月下旬に山崎団地名店街にオープンした、ノンアルコールドリンクスタンド「0号室」

 

除村さん 実は「ぐりーんハウス」の2号店をつくろうと思っていたんです。「ぐりーんハウス」があることで地域や団地が豊かになっていくように、他の地域にも同じパッケージでオープンすれば、同じような状況がつくれるのではないかと。でも、いざ事業計画を作っていたら、さまざまな制約からこのパッケージを別の場所にもつくって広げていくことは容易ではないと感じてきました。そんな時に、商店街に空き店舗ができると聞き、「ここで新しい事業ができるのではないか」と直感で感じ、当時はまだノープランでしたが借りることを決めました。ぐりーんハウスの目と鼻の先の距離でなら、何か別の表現もできるかもしれないと思っていました。

ーノンアルコール専門店というコンセプトにはどういった思いが込められているのでしょうか?

「0号室」には様々な種類のノンアルコールドリンクが並ぶ

 

世代問わず愛される、「0号室」のクリームソーダ

 

除村さん 「お酒を飲まないことで大人の楽しみ方は多様に開かれるのではないか」という言葉に、コラムを読んでいる時に出会いました。その時にハッとしたのがきっかけです。自分の人生を思い返しても、新年会や歓迎会、何かの節々にはお酒が当たり前のようにセットされていて、徐々に「飲まない人が飲む人に合わせなければならない社会」だと感じるようになりました。事情があって飲めない人や、飲めるけど飲まない人生を選ぶ人など、いろんな人がいる。多様な選択肢がある場だからこそ、豊かで、楽しくて、いろんな人に来てもらえると思うんです。

 ー「0号室」では、「kuromojibooks」さんの素敵な古本の選書も目に止まりますね。

旅や料理、まちづくり、エッセイ、日記など様々なジャンルの本が並ぶ

 

既存の社会に問いを投げかける、いい意味で”とがった”選書の本棚

 

除村さん 0号室をオープンする際に、ブックカフェのような書店的な要素を取り入れたいと思っていました。「kuromojibooks」さんとは、実は「ぐりーんハウス」でのイベント出店がきっかけでご縁がうまれたのですが、選書のセンスや人柄がすごく魅力的だったので声をかけさせていただきました。今では、「kuromojbooks」さんの本を目的に来てくれる人もいます。いい意味でとがっていたり、マニアックな本が多いのも魅力です。最近は、オーナーが選書した本が並ぶ「独立系書店」が増えてきていて、「この人の選んだ本を読みたい」と思う人が多くなっているのもあり、情報があふれている社会の中で、1つフィルターがあると手に取りやすくなるのではないかと思いますね。

 

「ぐりーんハウス」のルーツは裏原宿(ウラハラ)にあり!?ユニークだけど開いていて、全方向にやさしい居場所

―もともと山崎団地にお住まいだったという除村さん。改めて、どういった経緯で商店街にお店を構えることになったのか教えて下さい。

生き生きとした表情で語る「ぐりーんハウス」3代目店主の除村千春さん

除村さん 

 

これまで、商業施設の設計や空間デザインの仕事を20年以上手掛けてきた中で、お店のあり方や商業で求められるものが時代とともに変化してきたと実感しています。例えばどの駅で降りても同じお店が多かったり、名前だけ変えたチェーン店も増えるなかで、商店街や個人店が疲弊してきていたりもします。そんな現状に違和感を覚えていた時に、「ぐりーんハウス」が閉店することを知り、最終日に足を運びました。自身も小学校時代を過ごした山崎団地商店街の状況は当時とは違うものの、「ぐりーんハウス」は変わらず賑やかで、今でも子どもたちのオアシスであり続けているのだと感じました。そして「これからの商業は小さくてもカルチャーが生まれるところにある」と直感的に思い、ぐりーんハウスを引き継ぐことに決めました。

―商店のあり方を考える上で、何か除村さんのこだわりや原体験はありますか?

除村さん 中高生の時に裏原宿(通称ウラハラ)のお店に通って、文化的なものに触れた経験が自分のルーツになっていると感じていますね。裏原は、メインストリートからは少し外れた、マイノリティーの文化に触れられる場所だったんです。かっこいいお兄さんお姉さんが聞いたことのない音楽を流していたり、熱意だけで作り出したような洋服があったり。「ぐりーんハウス」もそういうものにしたいという気持ちがありました。そこに行けば、見たこともない、聞いたこともないような、おもしろいことが広がっている。それは決して閉鎖的ではなく、外にも開いていて、全方向に対してやさしい。そういう場があると、周辺も豊かになるのではないかと思っています。自分の信念やコンセプトを貫くことは怖いし、前例もないですが、せっかくやるからには頑張ってみようと思っています。

 

団地だからこその、「子どもが主役」の居場所

創業当時から子どもの居場所であり続ける「ぐりーんハウス」

 

ー「ぐりーんハウス」や「0号室」での活動を通して、どんな団地ならではの魅力を感じていますか?

除村さん 顔が見える関係性をつくれるのは、団地ならではだと思いますね。駄菓子屋で、しかも駅から離れたエリアだったので、最初はうまくいくか不安でした。でも、町田山崎団地には子育て世代の方や子どもたちも多く行き交うので、この場所ならではのつながりや時間の流れがあるなと感じています。

ーお客さんと店員さんという関係性ではなく、暮らしの中で、お互いの顔が見える関係性なんですね。

除村さん そうですね。ぐりーんハウスは子どものサードプレイスにもなっています。子どもの居場所は家、学校、塾などしかなく、自分で選べる居場所はなかなかない。だからこそ、子どもが自分で選べる居場所を大人が用意してあげなければいけないと思っています。ぐりーんハウスは「子どもが主役」という言葉を使い続けていて、その約束ごとをずっと守ってきました。そんな居場所であり続けられているのも、都市の中心部とのいい距離感があって、地域ならではの時間の流れが土壌にあるからなのではないかと思います。

 

自然や暮らし、食、消費活動が自然体で循環する団地

除村さんも幼少期を過ごした町田山崎団地の商店街

ーもともと団地にお住まいだった除村さんだからこその取り組みや思いも多くあるかと思いますが、特に記憶に残る団地での思い出や好きな景色はありますか?

除村さん 言い尽くせないほどありますね。特に、商店街は当時の自分にとって夢のような場所でした。全てのお店が開いていて、いろんな業種があって、そこで生活が成立していたんです。それだけで豊かで、楽しく、幸せでした。その真ん中に「ぐりーんハウス」があって、当時は絶対に遊びに行きたくて、よく通っていました。

また、建物が高層化している現代において、空を見上げればちゃんと雲もあって、星も見られて、鳥が飛んでいるのも好きです。自然環境も郵便局や図書館も整っていて、暮らしや食、消費活動が自然体で負荷なく循環するのが団地暮らしの魅力だと思います。

ー除村さんが団地に住まわれていた当時から時代が変化している中で、今の団地暮らしをどのように捉えていますか?

除村さん 現代では便利な住環境が当たり前になってきていますが、古いから住みづらいというわけではないと思っています。古くからある団地だからこそ、丁寧に手入れをしたり、大事にしようという意識も芽生えると思うので、自分たちの暮らしにより味が出て、豊かになっていく。そんなところに、団地暮らしの良さがあるのではないかと思います。

 

面白い人やお店がつながり、自分を表現できる暮らしの場へ

ー最後に、これから町田山崎団地でどんな思いで活動を続けていきたいか教えてください。

除村さん 流れてきた時間や歴史も大事に読み解きながら、商店街という文脈からは外れないようにしたいです。

そうありながらも、いろんな方がチャレンジできたり、さまざま発想を表現できる場になっていったら豊かだなと思います。団地内にも様々な趣味や技能を持った方が多くいらっしゃるので、そういう方たちが外に出て、自由に活動し、自分を表現できる場が開かれることに対してはとても前向きに考えています。

ただ、ここを大勢の人が訪れるメジャーな場所にしようという気持ちはなく、ノスタルジーの残るローカル感も維持できたらと思っています。いざ来てみたら「面白い人がいっぱいいる」「面白い店がいっぱいある」「住んでる人たちがみんな楽しそう」と思ってもらえる人と信頼関係を築いていきたいです。

上下関係や役割を決めてしまわずに、大人も子どもも、みんなが同じ立場で関わりあえる団地になっていったらいいと思います。

 

ご自身も町田山崎団地出身であり、この地域で多様な方と顔の見える関係性を築いてきた除村さん。団地ならではの暮らしや魅力を改めて感じた方も多いのではないでしょうか。時代の当たり前を疑いながら、大人も子どもも等身大で関わり合える団地の場づくりに、これからの開かれた豊かな暮らしのヒントがありました。

 

 

 

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「床面積が1㎡の小屋」と聞いて、どんな建物を想像するだろうか?
1mx1mの床と聞くと、ものすごく狭い。しかし、今回ご紹介するone sqm houseは、良い意味でそんな想像を裏切ってくれる、無限の可能性を秘めた小屋だ。 (さらに…)

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畑で重たい土を運び、種をまけば、疲れ方だって普段とは違って心地よく、ふっと心が軽くなるという人も多いはず。
今回は、小屋と共に家庭菜園を楽しむドイツの文化「クラインガルテン」をご紹介しよう。
時代と共に、用途・役割を変え人々の暮らしを支えてきた小屋文化から学ぶ、豊かな暮らしへのエッセンスがあるはずだ。

クライガルテンの芽吹き

ドイツには、クラインガルテンと呼ばれるドイツの小屋付き家庭菜園の文化がある。
小屋のすぐ横で楽しそうに畑仕事をしたり、BBQをしたりする人々が笑顔の花を咲かせたり。夏になれば、春に蒔いた種が実を結び、菜園のオーナーは果物や野菜の収穫におわれ始める。そして、ドイツの園芸愛好家はしばしば、誰が一番美味しいニンジンやリンゴを育てたかとか、どの庭の花壇が一番美しいかとか、お互いに競い合うのだそう。
クライガルテンをもつドイツの人々はみな、小屋のある豊かな空間の中で、自然、そして他者とともにある温かい暮らしを築いていたのだ。

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クラインガルテンでの一日は、お隣さんとの会話で終わる。どこで買った種がいいよ、なんていう菜園の話しから、政治やサッカーまで話題はつきない。天気が良い日などはラウベと呼ばれる菜園内の小屋からテレビを持ち出し、屋外でスポーツ観戦をしながらビールやソーセージをいただく、なんてこともあるそうだ。

菜園愛好家協会(Gartenfreundeverband)によると現在、約400万人のドイツ人がクラインガルテンを楽しんでいるという。年金生活者のためのものというイメージが長くあったクラインガルテンは今、若い世代の人々をも惹きつけ、菜園保有者の平均年齢も60から47歳に下がったそうだ。街の中にある菜園に行くのにお金がかからないだけではなく、子どもたちが外で遊んでいる間に親たちも自然の中で新鮮な空気を吸ってリラックスすることができる、そんな要素に惹かれている人が多いのだそう。

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確かに日本では「家族サービス」なんて言葉があるように、休日に家族ででかけても遊ぶのは子どもで、お父さんは渋滞する高速道を運転しなくてはならず全然リラックスできない、なんてこともよく聞く話。しかし、クラインガルテンのように、子どもも親もリラックスし、満足できたら最高の週末になるはずだ。

クラインガルテンの成り立ち

クラインガルテンは19世紀、工業化にともなう都市の急速な成長のなか、人々の食料自給率をあげ健康を維持するために整備されていったもの。当時、ライプツィヒ市の医師だったシュレーバー博士が、都市化にともなう子どもたちの生活環境の悪化を心配し、自然や土と触れ合いながら子育てをする必要性を唱え、クラインガルテンの普及に尽力したという。クラインガルテンがシュレーバーガルテンとも呼ばれるのにも彼の功績が大きかったことが関係しているのだとか。

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暮らしそしてレジャーの場へ。時代と共に変化するクラインガルテン

ヨーロッパ各国にある家庭菜園同様、クラインガルテンは戦時中、もしくは世界恐慌の最中、市民のための大切な栄養源となった。そして、菜園内の小屋・ラウベは戦後、家を失った人々の住居としても人々の暮らしを守っていたのだという。こうしてクラインガルテンは時代背景に応じた役割を担い、今では市民のレジャーやレクリエーションの場として活躍している。ベルリン市では現在、3000ヘクタールのクラインガルテンがあり、その広さは市全体の3%にもおよび、街の緑化に役立っている。

via: commons.wikimedia.org

こうした菜園制度がない海外の国からやって来た旅行者が電車の中から小さな菜園と小屋が密集しているクラインガルテンを見て、「スラム街だわ!」と叫んだという笑い話もあるのだそう。

確かにラウベは大きくもなければ立派ではない。菜園だってささやかなものだ。それでも、クラインガルテンには貧しさとは対極の豊さがあるのではないだろうか。畑仕事を終えた夏の夕べ、ピクニックテーブルを囲みビールを飲みながら語らうひと時。豪華なものがなにもなくたって、そこには都会の中のシャングリラともいうべき、理想郷があるのだ。

Via:

hongkong.diplo.de
stadtentwicklung.berlin.de
thelocal.de
mein-schoener-garten.de

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スウェーデンのキルナ(Kiruna)は、国内最北端に位置する北極圏の街。冬は長く厳しく、最低気温がマイナス20度になることもある極寒の地だ。そんなキルナの雪原に、こんな不似合いな金色のオブジェがやってきた。実はただのオブジェでなく実用的であるとともに、街の「再生の象徴」でもあるのだという。

「何か住民の心の支えになるものをクリエイトしてほしい」
そんな想いから、スウェーデンの首都ストックホルムに拠点を置くアーティスト・デュオ「Bigert & Bergström」が制作したというこのオブジェ。

その背景には、意外なストーリーが隠されていた。 (さらに…)

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ここ南西フランスのユスタリッツは、スペイン国境のほど近くに位置し、車で1時間も走ればスペインのサン・セバスティアンに入る。フランスとスペイン両方の文化を併せ持つバスク地方と呼ばれ、一時独立の気運が高まった事でも有名な地域だ。

そんなユスタリッツに、20平方メートルほどのタイニーハウスが建てられた。フランスの建築事務所「A6A」が建てたこのタイニーハウスの名前は「h-eva」。モダンさと伝統素材を織り交ぜた居心地の良い家となった。

(さらに…)

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アンデス山脈が南北に走る南米エクアドルの首都キトから1時間の距離にあるのどかな田舎町グアイラバンバに、歴史学者と映画監督のカップルが暮らすタイニーハウスがある。

地方に移住をしたり、働きかたを変えたり。
コロナ禍の生活の変化をきっかけに、自身の暮らしや価値観を見つめ直した人も多かったのではないだろうか。
彼らがこの住まいを手に入れたのもこの時。
孤独を感じやすいその期間に、心地よい孤立を感じるための場所を、また週末に休息したり仕事をしたりするためのスペースの必要性を感じ始めたのだそう。

乾燥した渓谷の中、アボカドの木が生い茂る豊かなこの場所に、自分たちの暮らしを都市から切り離し、自然と再び繋がることの出来るプライベートな空間を求めた2人。
そんな彼らが手に入れた小さなお家「Guayabamba Cabin」を覗いてみよう。

根を張るようなずっしりとした自然とのつながりを

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この住まいは、”土の箱の出現”をコンセプトに作られた。軽やかな気持ちで過ごせそうな開放感のある空間でありながらも、建物そのものはコンクリートで深く庭に埋め込まれ、自然とのずっしりと深くつながれているような印象を受ける。

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目覚めと共に、光と緑を取り入れて

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彼らの一番の要望は、オーバーヘッド照明付きの大きなバスルームと、寝室兼書斎としてのオープンな空間。夫婦が庭や自然と直接触れ合いながら仕事をしたり休息を取れる場所を求めていたのだそう。

中は1つの部屋のみ。1つの家具で仕切られ、2人が日常を過ごすオープンエリアとトイレや収納の用途で使用するプライベートな空間を分けている。

とはいえベッドルームをオープンエリアに設置するとは、ミニマルであるタイニーハウス、そして自然とのつながりを深く求める彼らならでは。
目覚めと共に、朝日の光を目の中に取り入れ、周囲の壮大な自然を取り入れられるとは、なんとも贅沢な暮らしだ。

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素材は、基礎にコンクリート、構造体には複数の木を組み合わせて作った集成材、クロージャーは先住民の住宅建設に使われる伝統的な建築技法バハレック土、スクリーンに銅ガラスという4つのものに絞り込んだのだそう。この土地がすでに持っている象徴的な価値と、自然とのつながりを回復するために、小さな空間でありながらも、適材適所の材料・建築技法の選定に重きが置かれている。

住む場所が美しくあれば、2人の関係性もより豊かに

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こんな空間があれば、睡眠の質や仕事の効率を高めるだけでなく、住む人たちの関係性までより一層深まりそうだ。
一緒に暮らすパートナーと共に、自分たちの暮らしに本当に必要なものを見極めて、どんな景色・香りの中で、どんな気持ちで目覚めたいか、そんなことをじっくりと考えながらあなただけのミニマルな暮らしを築いてみてはいかがだろうか。

時間の経過とともに、暮らしへの満足感と相手との豊かな関係性がどんどんと深まる、すてきな暮らしがスタートするに違いない。

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チェコ共和国の首都プラハを流れるヴルタヴァ川は、スメタナの交響曲「わが祖国」第2曲「ヴルタヴァ」のモチーフにもなっており、国民にとっては祖国を象徴する河川だ。

日本では、ドイツ語名「モルダウ」が定着しており知っている人もいるのではないだろうか。
オオハクチョウの行き交う静かな川面に浮かぶのは、浮力居住型組立てユニット「Port X」。この船は単なる移動手段なのではなく、人が住まえる家なのだそう。 (さらに…)

TINY HOUSE JOURNALタイニーハウスの“現在”を知る

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