オーストラリアではキャンピングカーは、低価格で広い居住空間のあるトレーラーハウスが一般的。2020年に登場したBase Cabinは、前から見るとAフレーム、後ろから見るとスクエアの形状の、錯視しそうな多面体デザインが特徴だ。
ミレニアル世代のキャンピングカーBase Cabinは、メルボルンを拠点とするstudio edwardsがデザインした。建築スタジオを主宰する建築家のベン・エドワーズは、流線型のフォルムで有名なエアストリームと、AフレームのキャビンからBase Cabinのインスピレーションを得ているという。
Aフレーム構造は、従来のポータルフレームの建物に比べ、構造的に効率が良く、材料も少なく作ることができる。建物の全体的な重量は、移動住宅にとって最重要事項だ。
Base Cabinのインテリアは、自然素材を使用しており、不規則な角度の多面体デザインは、キャビン内を移動するたびに内部のボリュームが変化していくから面白い。
キャビン内部は3つのスペースに分かれている。フロアプランの中央にあるバスルームは、メインのリビング・ダイニングスペースと、奥にあるベッドルームエリアを分けている。
Aフレームの屋根の下には居心地の良いダブルベッドがあり、広い三角形の窓からは外の景色を眺めることができる。目覚めと共に美しい景色を眺めることが出来るのは大変魅力的だ。
中央のバスルームには、屋根の天窓からの光も浴びられるシャワー、トイレ、洗面台が設置されている。
キャビンの後部には、シンク、コンロ、冷蔵庫、各種キャビネットを備えたキッチンエリアが。窓際の収納スペース付きカウンターと折り畳み式のテーブルが、大きなガラス張りの窓に隣接している。壁には木製パネルが並び、屋根の最も高い位置にある天窓からは、3つのエリアすべてに自然光が差し込むようになっている。
大型の二重ガラスのフロントドアと窓を全開にすれば、アウトドアの空気と一体化し、外の環境と自分の暮らしが繋がったかのような体験ができる。
Base Cabinはコンパクトなトレーラーに、最大限の室内空間をディテールにこだわった仕上げでデザインしている。自然や風景とつながり、日常から離れて過ごす時間を楽しむ人のための移動式の隠れ家だ。
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basecabin.com
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今回ご紹介するタイニーハウスがあるのは、イタリア北部に位置するトレッビア渓谷。山や川などの自然に囲まれ、たくさんの旅行者や、カヌーやカヤック、ラフティングなど水上スポーツを愛する人々が訪れる場所だ。
そんな大自然の急勾配の段々畑の跡に、木造のタイニーハウス「The Hermitage Cabin」が建てられた。
ネットワークからも切り離され、自然の中にポツンと佇むその小さな小屋のような建物は、実は、日本の茶室やスカンジナビアの森で出会った山小屋からインスピレーションを得てつくられたものなのだという。
このキャビンに入ると、すぐに眼下に広がる渓谷の景色が目に飛び込んでくる。そして内部には、1人でくつろいだり、大切な人と数人でお茶を飲んだり、会話をするのにもちょうど良さそうな広さの空間と、右側の壁全体に沿ってカウンターが備え付けられている。これは、座席、机、収納スペースとしても機能するという。
こんな絶景を望むことが出来るのは、タイニーハウスならでは。
「The Hermitage Cabin」は、タイニーハウスが持つ設置の容易さという特長を活かし、通常家を建てることは難しい、急な斜面に配置されているからだ。
他の住宅が建てられていない大自然の中に住まいを構え、まるで自分がその自然をひとり占めしているかのような特別感を味わえるだろう。
小屋の三方を囲む壁は、ベニヤ板が水平に並べられている。内部空間は4枚のガラスで仕切られたテラスへと広がり、ヨガや瞑想、エクササイズをするには最適な空間が用意されている。
小さなバスルームを囲む壁には折りたたみ式のベッドがあり、開くとソファの上に浮かぶ。夏の日差しは、時間帯によって室内にさまざまなパターンの光と影を生み出す。
屋根の上には、蓄電池に接続された2枚の太陽光発電パネルが、そしてプロトタイプにはコンポストトイレと水筒が設置されているため、この住まいは完全にオフグリッドになるように設計されているという。
12平方メートルのこの小さな住まいをデザインしたのは、llabbの創設者であるルカ・スカルドゥッラとフェデリコ・ロッビアーノだ。独学の大工としてオーダー家具の製作、デザイン、加工の技術を学んだという彼ら。長きに渡って培ったこれらの手仕事の経験が、施工プロセスへのこだわりや細部への正確さなどとして、この住まいにも現れているという。
ここで時間を過ごすことの心地のよさや美しさは、写真を見ただけでも伝わってくる。しかし、ここで過ごしてみないと分からない、この自然の美しさや、ビルダーが作るこの空間で過ごすことの味わいがたくさんありそうだ。
どんな場所にも設置ができて、その小ささから想いやこだわりを詰め込んだ空間を作り込むことのできるタイニーハウス。言葉に出来ない美しさや幸せを体験させてくれる小さな住まいが、世界にはたくさんあるのだろう。そして私たち自身がそんな住まいを作ることだって、きっと不可能なことではないだろう。
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via:
archdaily.com
minimalissimo.com
【WHAT IS TINY トレーラーハウスを買う前に、読んでおきたい記事一覧】
◎小さくてかな暮らしのベース、タイニーハウスとは?
◎【タイニーハウス】マイクロハウスやトレーラーハウスなど、日本で買える小さな家の種類とは?
◎数百万円から買える家、タイニーハウスの価格とは?
◎タイニーハウス・トレーラーハウス、トイレやお風呂はどうするの?必要な設備について
◎タイニーハウスを建てる「土地」、買う前に知っておきたい2つのキーワード
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ここはビクトリア州南西部、オーストラリアの先住民グンディチマラ族の伝統的な土地として知られるローズブルック。
自然豊かなこの土地に、1台のタイニーハウスが佇んでいる。その名も「The Brook House」。
この住まいの注目すべきポイントは、伸縮可能な屋根を採用し、タイニーハウスにとって重要な可動のしやすさと狭さを感じさせない空間づくり、そのどちらも体現しているということだ。
運ぶ時は屋根を出来るだけ低く、暮らす時には天井を出来るだけ高く。
The Brook Houseは、そんな理想を実現したタイニーハウスなのだという。
はたしてどんな空間なのだろうか。
緑豊かな放牧場に佇む「The Brook House 」。広い湿地帯に囲まれた窓からは、モワン川、どこまでも続く草原、そして時折通り過ぎる牛たちの姿を眺めたりと、室内にいながらも屋外で過ごしているかのような開放感を味わえる。
ビルダーらがこの住まいのサイズを決めるにあたって重要視したのが、送電線の下を通れる家を作るということ。しかし同時に、広々とした開放感のある空間であることも不可欠だったという。
そこで彼らが思いついたのが、格納式の屋根を備えた伸縮式フレームだ。これを採用することにより必要に応じて屋根の高さを変えることができるようになった。
つまり、運ぶ時には高さを低くして最大限移動をしやすくし、暮らすときには屋根を高くして快適に過ごすことが出来る。そんな住まいは、トレーラーハウスを手にしたいと思う誰もが望む理想の空間なのではないだろうか。
この住まいに取り入れられたユニークな仕掛けは、屋根だけではない。限られた敷地面積を最大限に活用するため、小さな空間を3層に分け、多目的に使用できるスペースを生み出したという。
そのポイントが、小さな空間の中に作られたこのラウンジ。
2重の高さが感じられるこのラウンジは、住む人に開放感を与えているだけでなく、中2階という新しい空間を生み出している。2階へと続く中二階の床がデスクの席、ガードレールがデスクとなるような、そんなユニークなオフィスが、狭い空間を3層に分け、住む人の満足感をさらに高めている。
材料の入手と選定は、田園風景からインスピレーションを受けて行われた。錆びた赤い農家の小屋や風雨にさらされた海岸沿いの建物が並ぶ風景に溶け込むように、The Brook House は地元で調達されたものやリサイクルされたもので構成されている。
そして外壁には、地元で伐採されたヒノキの薄板が採用された。風や雨にさらされて灰色になるにつれ、それはまるで小枝の家のようになり、酸化していく銅に対してねじれたりわずかに反ったりしながら、徐々に風景に溶け込んでいくのだとか。
使い続けていくことによって変化を楽しむことのできる革製品のように、この住まいは、時の経過共に変化する建物の表情を楽しめるのだ。
どこか田舎らしさが感じられながらも、お洒落な雰囲気が漂う、そんな空間には見えないだろうか。田園風景にも溶け込める親しみやすさと、ちょっと特別な気持ちになれる他の住まいにはないこだわり、その両方がここちよく両立した住まいが、このThe Brook Houseだ。
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dwell.com
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複雑な幾何学模様を組み合わせて作られているタイニーハウス、名前は「Liberte Tiny Houses (リベレート・タイニー・ハウシーズ) 」。建築者はオランダ在住の Willeke Makatita (ウィレッケ・マカティータ)、実際に葉っぱを折りたたんだときに出来る形からインスパイアを受けてこのようなデザインにしたそうだ。
「できる限り生活をシンプルに、そしてできる限り自然に近い生活を」という、オーナーカップルの要望にできるだけ応えるようにして、このタイニーハウスが完成。
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オレゴンの砂漠の中、銀色に輝くこの建物は異彩を放つ。まるでSF映画を見ているかのようだ。
ここ、Alvord desertはオレゴンで最も乾燥し、死火山の山々が連なる砂漠地方。そのワイルドな環境がゆえに住む人々は10,000人以下で、1人あたりの面積は1スクエアマイル、おおよそ2.59㎢と広大だ。
これがポートランドになると同じ広さの土地に4,000人の人々が暮らす。都市の生活から隔離された不便ともいえる地に、このトレーラーハウスはある。 (さらに…)
アメリカ・西シアトルの タイニーハウス物件「Tipsy」。“わたしも将来タイニーハウスを持ちたい” とゲストたちを魅了する、16.7㎡の車上タイニーハウスの魅力は、一体何なのだろうか。
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タイニーハウスは、ミニマムな暮らしを選ぶ人以外には、「住居プラスアルファ」のぜいたく品として捉えられることがあるかもしれない。セカンドハウスとしてのタイニーハウスには夢があるが、日々の暮らしとはかけ離れた存在として感じる人も多いのではないだろうか。
実は、タイニーハウスには緊急支援として役立つ可能性が秘められている。「コンパクトで、サッと移動できるタイニーハウスの特性は、突然住居を失ったり、天災により身を寄せる場所が必要となったりした人々に素早く寄り添えるのではないか…」そんな発想をもとにタイニーハウスを手掛けたデザイナー、アンドレスとホセの作品を2つ紹介しよう。
ホームレス用のシェルター機能を備える「rodar」鮮やかな色とデザインは誰のため?
鮮やかなブルーが印象的なタイニーハウス「rodar」は、大人ひとりが入れる大きさの箱に車輪が付いた、ちいさな移動式の家だ。農機具にあるような引き車に家屋を取り付けたようなデザインで、ヤドカリやカタツムリのように、家を担ぎながら移動することができる。

via:yankodesign.com
ところどころ網目になっており、箱の中には新鮮な空気が通るようになっているのがポイントだ。地面から離れた場所で体を休められれば、体温を保てるほか、虫や動物から身を守ることもできる。
絵本に出てくるような傾斜付きの屋根と煙突を模したモチーフは、シェルターと呼ぶには少しポップかもしれない。とはいえ、シェルター住まいだからといって、楽しんではいけないことはないだろう。公共の中に置かれ、誰かがそこで暮らすのであれば、心がちょっと明るくなるようなカラーや形をしていてもいいのかもしれない。
洪水時の避難所として機能する「float」水上にあらわれた軽やかな空間
リゾートのような雰囲気を備えるタイニーハウス「float」、最大の特徴は、家屋自体が水上に浮かんでいる点だろう。

via:hypeandhyper.com
タイニーハウスに限らず、家といえば地表を基盤に作るのがオーソドックスだが、floatは水かさが増せば船のように水に浮かぶよう設計されている。浮かぶだけでなく、水位が下がれば安全に着地できるようにもなっており、浮き沈みどちらにも耐えられるのがポイントだ。
コンセプトの根底には、年に何度か起きる洪水に悩まされる地域、メキシコのユカタン半島の暮らしがあった。洪水が起きる度に家屋を立て直していたのでは、費用や時間が足りないばかりか、水に耐えたとしても家屋が脆弱になっていってしまう。その点、floatは水を恐れず、共生していくデザインを取り入れており、水害の多い地域での暮らしに新たな道筋を見出している。
実用性だけでなく、当事者となった場合の暮らしにも目を向けていく
正直なところ、両者は日本ですぐ使えるようなデザインではない。金属製で涼しげな「rober」は、高温多湿な日本の夏には使えないし、厳しい寒さに見舞われる冬場も、使用は厳しいだろう。「float」は洪水に耐えられても、がれきなどが混じった津波には耐えられなさそうだ。だから、「rober」も「float」も、実用性のないデザインだった、と結論づけるべきかというと、そうではないと考える。

via:yankodesign.com
もしも、シェルターで暮らすことになったとき、壁にまったく色がなかったら。「仕方がない」と納得はできても、多少気分は落ち込んでしまうだろう。反対に、あたたかな日には、そよかぜが感じられるようなシェルターがあったなら、苦しい状況の中にも少しの希望が見いだせるかもしれない。少し夢想的だとしても、「こうだったら気持ちいいかもしれない」を取り入れたデザインは、いつか、どこかで誰かを救う可能性がある。
今回紹介した「rober」と「float」は、タイニーハウスを緊急支援として用いる上で、どんなデザインができるのか、当事者の暮らしにまで目を向けて考えていく動きに一石を投じたい、という想いをもとに作られたそうだ。「シェルターや避難所として活用できるタイニーハウス」は、さまざまなアイデアやデザインを取り入れていけば、いつか誰かの心を癒す存在として、危機に陥った人々の暮らしを支えてくれるのかもしれない。
参考サイト:
designboom,`andrés & josé’s mobile tiny house could help provide shelter to the homeless`
https://www.designboom.com/design/andres-joses-mobile-tiny-house-shelter-homeless-10-30-2020/
designboom,`’float’ emergency shelter by andrés & josé responds to flood affected areas of mexico`
https://www.designboom.com/design/float-emergency-shelter-andres-jose-flood-affected-mexico-03-18-2021/
アメリカのトレーラーハウスを代表する会社、Tumbleweed Tiny House Companyの “Farallon”。“farm”を引用したネーミングのように、アメリカの古き良き時代の農家をモチーフにした、懐かしさあふれるデザインテイストがその魅力だ。遠目からそのシルエットだけを見ると、こじんまりとした農家のようにしか見えない。
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高原の上、前景に広がるおだやかな池。その背後には大きな木が涼しい影をつくっている。チェコの伝統的な漁師の小屋からインスピレーションを受けた三角屋根のキャビン。開放と静寂の調和が素晴らしい、マインドフルネスにぴったりなミニマルデザインだ。連続したギザギザのファサードをよく見ると、1棟だけ切り離されたり、部分的に凹んだりしているから面白い。
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「プレハブ住宅」と聞くと簡素な作りの建物が思い浮かぶ。しかし最近では、お洒落な作りのプレハブ住宅が増えてきていて、どこにでも設置できる手軽さと自由に組み合わせることができるアイディアで人気だ。
この「The Milan」と呼ばれるプレハブ住宅はユニークで、貨物用コンテナと同じ大きさながらコンテナを使用せずに建てられた建物なのだ。
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北欧・デンマークは、裸の王様やマッチ売りの少女などの作家・アンデルセンが生まれ、レゴが生まれた地としても有名な国。そして世界一幸福な国ともいわれている。
そんなデンマーク北部に、Mariager Fjord ( マリアジャー・フィヨルド )と呼ばれる、デンマーク最長の峡湾(内陸深く入り込んだ渓谷状の狭い湾)がある。全長35kmほどで、その河口を塞ぐように飛び出ている Als Odde ( エルス・オー )というビーチエリアの片隅にある森の中に、ひっそりと佇んでいるツリーハウスホテルが今回の舞台である。
生の木を主柱とし、さらにリビングにいながらいつでも「ツリーハグ」が出来るという自然と共存し、その生命力を感じられるというこのツリーハウス。はたしてどんな空間なのだろうか。
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「TimberCab 550」は、アイダホ州北部の Lake Pend Oreilleという湖の畔に建てられたプレハブキャビン。北はカナダ、東はモンタナ州、そして西はワシントン州と、国境と州境近くにあるLake Pend Oreille周辺は、ゴツゴツした岩山に囲まれながらも、 国立公園が数多く点在するため 、カヌーやキャンプなどのアウトドアが楽しめる場所でもあるという。
そんな、自然豊かな湖を一望できるTimberCab 550は、まさに自然と一体となれる小さなキャビンハウスだ。
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