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ここはイギリス、お風呂の「バス」の由来となったイングランド南西部のBath(バス)という街の外れにある森の中。Invisible studio(インビジブル・スタジオ)が建築。現地で育った木材の廃材を集めて再配置可能なスモールハウス、「Trailer」(トレイラー)とのプロトタイプを作成した。

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9平方メートルのタイニーキャビン Nido(イタリア語で鳥の巣)の傾斜した大きな窓には、一面にフィンランドの湖と星空が広がります。建築経験のなかったデザイナーが2週間のDIYで作り上げました。人件費を除く費用は、わずか10,500米ドル=115万円(1ドル=110円)ですんだとのこと。

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デザイナーのロビン・ファルク(Robin Falck)は、フィンランド・ヘルシンキの生まれ育ち。常に好奇心に満ちながら、アートディレクション、プロダクト&グラフィックデザインなど、幅広いフィールドで貪欲にスキルを習得しています。ロビンにとってデザインとは「癖のようなもので、第2の本能」だと言います。日々のデザインのインスピレーションを得るために、都会と隔絶した自然の中の避難場所が欲しかった彼は、ヘルシンキから車で50分のシポーの森を散策していた時に、静かな湖畔に理想的な場所を見つけます。

兵役参加が間もなくはじまるロビンには、建築許可の手続きの時間がありませんでした。フィンランドでは、床面積が9〜12平方メートル以下の建物なら許可申請が不要となるので、9平方メートルの2階建てマイクロキャビンを建てることを決定。グラフィックとプロダクトデザインのスキルのみで、建築の知識のなかった彼は、何枚もスケッチを描いては友人の建築家たちに助言をあおぎました。環境への負荷を少なくするため、すべての建築材料は手作業で現場に持ち込まれました。

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4.6平方メートルのロフトにベッドルームと収納スペースを設け、1階はマイクロキッチン付きのラウンジスペースとなっています。傾斜をつけたファサードを、縦に貫く大きな窓がデザインの最大の目玉。昼間は一面に広がる湖の水面を見つめたり、夜には星空を眺めながら眠りに落ちることができます。

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建築材料には、地産の木材にリサイクルされた素材を活用して費用を節約。内装は木の自然な風合いをそのままに、白を基調としたスカンジナビア風のインテリアとなっています。中央のアンティーク風テーブルもリサイクルしたものでしょうか。

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広く取られたウッドデッキには、裏のエントランスに続く木造の小道からアクセスします。デッキに置かれたクッションは、ドイツ生まれのアウトドア・ビーンバッグ・ブランドOutbagのプロダクト。完全防水で型くずれしない全天候型ビーンバッグです。キャノピーデザインがユニークな可愛らしいグリルは、Weberの「Wood Burning Fireplace」。キャンプでの直火焼き料理に最適です。

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長く続く木製のスロープが、キャビンへのプロローグとしてワクワク感を演出します。ロビンの趣味のサーフィンから、ウェーブの感覚が活かされている気がします。デートのためのスポットという目的もあったのでは?

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「ぼくのデザインに対するアプローチは、遊び心がありシンプルで体感的ということ。何かをプラスするんじゃなくて、余分なものを削ぎ落としていって、できるだけ持続可能なものを目指しているんだ」と語るロビン。Instagramには、新しいキャビンのスケッチの断片がアップされていました。どうやら次は、Aフレームの三角形の小屋を建築する計画のようです。

建築家でなくてもデザインセンスがあれば、素晴らしいタイニーハウスが実現可能なんですね。Nidoのプロジェクトは、リサイクルされた材料をメインに使用することで、材料費を節約して100万円少しの費用で家が持てるという証明でした。もちろんDIYで小屋を建てるという体力と気力も必要ですが。

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ちょっと意外かもしれませんが、タイニーハウスのデザインで、Aの字型(Aフレーム)の家は根強い人気があります。A型の屋根を壁にすることで建材や施工費が節約でき、尖った高さのある天井がリビングスペースに開放感をもたらしてくれます。建築家やデザイナーにとっても、三角形という最小限の空間を、いかにうまく料理するかは腕の見せどころ。

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Tiny-Aと名付けられたこちらのプロジェクトは、オランダの2016年のタイニーハウス・コンペ「BouwEXPO Tiny Housing」での受賞コンセプトを、アルメレ(Almere)という自然豊かな場所に実際に建築したもの。高さ7mの天井高の内部空間は、1階が40平方メートル、中2階が10平方メートルの、計50平方メートルのリビングスペースになっています。

片側の屋根には15枚のソーラーパネルが取り付けられて、赤外線床暖房、循環式のEシャワー、給湯タップ、換気システムといった、最新テクノロジーを使った室内設備の電力をすべてオフグリッドでまかないます。Hamwellsの10秒間で排水を浄化して再利用するメンテンスフリーの「e-Shower」、Quookerの湯沸かし給湯タップといった、省エネルギー・省資源にフォーカスした、地元オランダのスタートアップの注目プロダクトをパートナー採用しています。

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吹き抜けのリビングの先には、縦に細かく仕切られたユニークなデザインの収納棚が目を引きます。

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収納棚の裏には、棚板と共有された中2階へと繋がる階段が隠れています。インテリアの配色はホワイトとブラウンの2トーンで上品にまとめられています。

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10平方メートルの余裕のベッドルームには、ビルトインクローゼットも用意されています。中2階の天井も非常に高い。

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ベッドルームの下は、キッチンスペースと収納棚で目隠しされたバスルームとトイレになっています。

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Aの字の全面ガラス張りのファサードから、たっぷりと採光。リビングも開放感に満ち溢れています。プライバシーを確保するカスタムメイドのウィンドウカバーはオプションで提供されます。

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リビングスペースとベッドルームには、デンマークVELUX製の、耐久性に優れた縦長の可動式ウィンドウを導入。追加の自然光が読書や作業をやさしく補助します。

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ダイニングには、折りたたみ式のテーブルを使って省スペース化を図っています。天板のAの字がテーブルの脚になるというアイデアが秀逸。

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オプションで小さなガレージスペースを外側に取り付けることも可能。オランダには自転車は必須アイテムですからね。

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Tiny-Aはアルメレの自治体の協力のもと、「BouwEXPO 」で受賞したほかの作品とともに、Almere Oosterwoldというタイニーハウス集合タウンに設置されており、20万ユーロ弱の値段で購入可能です。アルメレ主催のエクスポのコンペは、タイニーハウスを使って「地域おこし」を行うという狙いがあるものと思われます。

via: tiny-a.nl

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Aの字型のタイニーハウス、住心地がどんなものなのか、ちょっと試しに暮らしてみたいですね。見つけたらついつい覗いてみたくなりそうなので、街中よりも自然の中に設置するのが良さそうな気がします。

Via:
tiny-a.nl

(提供:#casa

神奈川県住宅供給公社が現在再編中の「二宮団地」の再生化プロジェクトに参画。二拠点居住や団地リノベーションを楽しむ企画プロモーションをYADOKARIがトータルプロデュース。

専用サイト:http://ninomiya.yadokari.net/

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スライスしたケーキが繋がってチョコロールケーキになった。そんなイメージのオランダ発のウィッケルハウス (Wikkelhouse) の素材は、最近ゲーム機器やVRでもスポットライトを浴びているダンボール。モジュラー化された1.2mのダンボールの筒を、好きなだけ繋げて延長していけます。ダンボール製の家なんてすぐに駄目になりそうって思いますが、、、、メーカー曰く50年の寿命・耐久性が期待できるとのこと。

https://vimeo.com/156852806

オランダ語でラップハウス(包む家)という意味のウィッケルハウスを開発したのは、アムステルダムに拠点を置くフィクション・ファクトリー (Fiction Factory) 。舞台美術や展示会ブース、オフィスやインテリアデザイン、家具の製作などを幅広く手がけるスタジオです。ダンボールを何層にも重ねてサンドイッチ構造にすることで、驚くほど軽量かつ堅牢、そして極めて断熱性の高いフレキシブルな家を開発しました。

「ダンボールを建築材料として使用するウィッケルハウスは、美しいデザインと抜群の耐久性を備えた最先端の持続可能な住宅です。伝統的に建てられた家より3倍も環境にやさしいのです」とフィクション・ファクトリーは未来の家の可能性をこのウィッケルハウスに表現しました。

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1つのコンポーネントの大きさは、幅4.5m×奥行き1.2mの4.5平方メートルの広さで、天井の頂点までが3.5mの高さ。この1.2mの筒状スライスを、自由にいくつも連結・延長できる仕組みとなっています。1セグメントには、5角形の型の上に320mにおよぶダンボールを24層に重ねて巻き付け、環境にやさしい接着剤で固定。外側に防水性と通気性のあるフィルムを貼り、パイン材の羽目板の外壁と内装の合板でサンドイッチしています。

via: wikkelhouse.com

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広い制作工場の中で、家型をゆっくりと回転させながら、スカンジナビア産のバージンパルプを巻き付けていきます。とても家を作っているとは思えない光景。

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丸みを帯びた5角形のモジュールの重さはわずか500kgで、トラックで運搬され現地で連結と外装が施されます。基礎工事は不要で、強風で吹き飛ばされないように、コンクリートのシャシーの上に固定してすべての設置は1日で完了。分割・分解も同様に容易なので、必要とあらばウィッケルハウスごと引っ越しできます。加えて家のほとんどの素材はリサイクルも可能。

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正面にはデッキスペースと、3ステップの階段がモダンなラインを描いています。ファサードは、透明・不透明仕上げを選択可能。全面ガラス張りにすれば、外の景色が一面に広がり、自然光をたっぷり室内に取り込むことができます。

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それぞれのユニットに跳ね上げ式の丸窓を設置できるので、長く延長しても採光は充分。家のアールとマッチした可愛らしいデザインの窓です。

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インテリアの合板の自然な木目と角の丸みが、柔らかく温かみのある印象を与えます。お掃除もしやすく落ち着いて過ごせそう。キッチン、バスルーム、シャワーなどは「スマートホーム・セグメント」として追加され、パーテーションとしても機能。奥の端を片方ふさいで、カーテンを掛けてベッドルームにすれば、夜にはプライバシーを確保しながら、昼間は開放的な空間が保てます。

via: designboom.com

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ウィッケルハウスは、湖畔の小さな別荘、屋上のセカンドハウス、独立したガーデンオフィスなど様々な用途に活用できそう。価格は、3セグメントの最小ユニットが、3万ユーロ = 約387万円(1ユーロ = 129円) からという設定。キッチンユニットの引き出しなどの造作も、家具を手がけているだけあってセンスの良いデザインです。

via: idealista.com

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ダンボールの家という先入観を、フィクション・ファクトリーはこう一蹴します。「ダンボールだって木製である」と。確かにおっしゃる通りです。美しいデザインと抜群の耐久性を備えた最先端の持続可能なダンボール住宅は、未来の住宅の可能性を感じます。

Via:
wikkelhouse.com
fictionfactory.nl
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YADOKARIがタイニーハウスに注目したのは、自分たちが必要としていたから。

設立当時、家族をもったばかりだった代表ふたりが、ローンにしばられない自由な暮らしを実現するツールとして、タイニーハウスに注目したのです。そんな経緯もあり、僕らは自らのモチベーショに従って新しい暮らしを模索する人に対して、常に共感と尊敬の気持ちを持っています。

今回インタビューした池田秀紀(愛称:ジョニー)さんは、まさに人生と暮らしの実験が創造的にリンクしている人。札幌国際芸術祭にも参加した「暮らしかた冒険家」の活動を経て、「ハイパー車上クリエイター」として実験を続けるジョニーさんの今を聞きました。

▼ 記事本編はこちら
https://house.muji.com/life/clmn/small-life/small_180626/

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「モバイルハウス」として最近主流となっている「トレイラー」。実は昔からあり、種類も様々なものが出ているが、機能性とデザイン性、生活する上での快適さなど全てを求めるのは往々にして難しい。

アメリカのオハイオ州、ジャクソンセンターに本拠地がある、トレーラーで有名なAirstream(エアー・ストリーム)社は、そのような問題に昔から取り組んできている。

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via: https://www.dwell.com/

ここはイギリスの首都ロンドンの、とある家の庭先。
イギリスはもともと「庭文化」が豊かな国だ。世界的大都市ロンドンには、数多くの公共公園が点在しており、そこに皆が集うという文化が根付いている。これは個人レベルでもいうことができ、各家庭に小さな庭が付いているのが普通で、それぞれが毎日庭の手入れを楽しむという文化があるのだ。

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ここはヒンドゥー教の聖地、インド。その人口の多さは有名だが、国土面積も3.287.263平方キロメートルと日本の約8.7倍の広さを誇り、非常に広大だ。
インドといったらどのような気候を想像するだろうか?
アラブに近いこともあり、砂漠のような乾いた気候をイメージしやすいかもしれないが、ここはその逆で緑が豊かな森の中。豊かな養分を含んだ土壌はしっかりと湿っている。

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via: velopresso.cc

フードトラックの次は自転車カートが来る。いえいえ、レースの着順じゃなくて、フードビジネス・サイトが予測するフード小売のトレンドの話です。今回は、これまでYADOKARIで取り上げてきた自転車カートの記事を交えつつ、「自転車の小商い」について考えてみます。

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via: archipanic.com

天気がいいから今日は外で仕事しよう。キャラバンがオフィスになれば、そんなことも簡単に実行できます。こちらは、ニュージーランドの夏のマリンサイドで仕事をしてみた、建築事務所「スタジオ106」のプロジェクトです。

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YADOKARIとエンジョイワークスが共同開発したリアルに住める高性能小屋「THE SKELETON HUT」(以下スケルトンハット)が2棟、湘南の海の近くに建っています。こちらは、スケルトンハットとしては初の賃貸住宅。現在、2組がセカンドハウスとして利用中です。ここでいま、どんな方がどんな住まい方をしているか、YADOKARIがお邪魔してお話をうかがってきました。

左から、森田哲史さん、森田麻耶子さん、ショパン、佐藤幸恵さん

辻堂駅から車で海方面へ向かって約10分。もともとは雑木林があった土地を、新しい住まい方ができる場所として有効活用したい、というオーナーさんの要望を受けて、2棟のスケルトンハットが誕生しました。

それぞれ内装デザインは異なりますが、サイズは同じ。ウッドデッキと庭は共用で、独立しながらゆるやかにつながっているイメージです。庭には雑木林にあった木々がいくつか残され、かつての面影を伝えています。

2棟のスケルトンハットのうち、向かって右側のA棟を事務所として使っているのは佐藤幸恵さん。IT企業を経営しており、ご自宅は横浜市港北区にあります。左側のB棟で暮らすのは、会社役員の森田哲史さんと妻の麻耶子さん、そして愛犬のショパン。山口県にご自宅をお持ちです。そんな2組が、セカンドハウスとしてスケルトンハットを選んだ理由はなんだったのでしょう。

ご近所づきあいのできる、小屋暮らし

森田さんのお宅にて、美味しいお茶を囲む

——こちらを借りることになったきっかけを教えていただけますか?

森田哲史さん

森田さん:自宅は山口県にあります。東京にある会社の役員を任されることになり、会議などに出席するために時々上京するようになりました。当初はホテルを利用していましたが、妻と犬と一緒に泊まれるところを見つけるのは大変。しかも最近は仕事の頻度が増えて苦労していると会社に相談したところ、こっちで家を借りていいということになったんです。今お話ししたように出社する頻度が増え、最近は月に2週間程度はスケルトンハットに滞在しています。

森田麻耶子さん

麻耶子さん:私たち、元々は東京に住んでいて、山口の家は瀬戸内海でシーカヤックを楽しむためのセカンドハウスとして建てたんです。2ヶ月に1回くらいそこに行って休暇を過ごし、帰京するというサイクルで生活していました。当時主人はフランスの会社に勤めていて日本とフランスを行き来していましたが、仕事が忙しくなり、このままだと身体を壊すんじゃないかと不安を感じてしまって。彼の健康寿命を考えると、二人で生き生きと過ごせる期間は残り15年くらい。その時間を大切に過ごしたいと考えるようになったんです。

森田さん:それで5年前、老後の生活に入るつもりで会社を辞めて、生活の拠点を東京から山口に移しました。すると今の会社に役員として来ないかと誘われて、会議などに呼ばれた時に家内と犬と一緒に上京するようになりました。

佐藤幸恵さん

佐藤さん:私は横浜市内にパートナーと購入した一軒家を持っていて、スケルトンハットは事務所として使っています。それ以前は約10年間、港区のビルに事務所を借りていました。当時は10人ほどの社員を抱えていて、一年中彼らのケアをしているような状態でした。休暇中にもガンガン電話がかかってくるんです(笑)。それでも楽しかったんですが、そろそろ会社の規模を縮小して一人で自由にやろうかなあと思うようになりました。今まで港区に事務所を構えていたのは、クライアントに信用していただくためにそれなりの住所が必要だったから。でも今はそういう時代でもないし、これまでの10年間でお客さまとの信頼関係も築いてきました。月一回程度しか行かない事務所に高い家賃を払うより、安いところに移して経費を抑えれば、その分たくさん旅行に行けるなあと目論みまして(笑)。新しい事務所用の物件として3件問い合わせたうちの一つがこちらだったんです。

——辻堂という場所で、スケルトンハットという一風変わった物件を選んだ決め手はなんだったんですか?

佐藤さん:小さいとはいえ開放感があるつくりで、窓から木が見えるところが気に入りました。私はもともと田舎のおばあちゃんの家のような建物が好きで、最初にネットで見つけたのがまさにそういう物件だったので、そこにするつもりだったんです。でもここを内見したら一目惚れしてしまって(笑)。念のため信頼している友達に相談したところ太鼓判を押してくれたので、ほぼ即決でした。

森田さん:うちも迷いませんでした。実は仕事のこととは別に、妻がYADOKARIのフェイスブックでここを見つけていたんです。もともと「小さな暮らし」に関心があって、山口の自宅もほぼ同じ形とサイズで、「可愛いね」なんて話していたんですよ。

——でも一般的な物件を考えるとやっぱり小さい。そこに抵抗はありませんでしたか?

佐藤さん:ホテルを探すような感覚で見ていたかもしれません。ここはホテルよりは広いので、特に違和感はなかったと思います。

麻耶子さん:「小さく住まう」という自分たちのライフスタイルをキープできる物件だったので、抵抗はありませんでした。砂浜が近くて、犬が一緒でもいいと許可をいただけたのも大きかったですね。

森田さん:お隣の佐藤さんにも快く受け入れていただいたこともありがたくて。

佐藤さん:犬好きなら悪い人ではないだろうと(笑)。

麻耶子さん:時々ショパンと遊んでいただいてありがとうございます。

佐藤さん:とんでもない。私も犬は大好きですから。

2棟の間に塀などの仕切りを設けていないのは、お隣さん同士の距離を開けず、ご近所付き合いのある暮らしを実現できる小屋にしたかったから。そんな作りも含め、楽しんで暮らしていらっしゃる様子が伝わります。

身の丈に合ったサイズの暮らしが心地いい

——森田さんは「小さな暮らし」がライフスタイルとおっしゃっていましたが、そんな暮らし方に関心を持たれたのはいつ頃ですか?

森田さん:僕はフランスに23年間ほど住んでいた時期がありました。その中で実感したのが、フランス人があまり物を増やさないということ。テーブルクロスやナプキン類は最低限のものを持って、例えば3年に1回とか定期的に交換します。その時、前に使っていたものはきっぱりと捨てる。寄付するシステムも完備されているんですよね。

——確かにヨーロッパには、バザーや寄付など、物を上手にシェアする文化があります。

森田さん:食事もシンプルですよね。日本式だと、ご飯があっていろんなおかずがあって……とあれこれ準備が必要になり、それだけ食器もたくさん使いますが、フランスでは普段の食事はほぼワンプレートで済ませてしまうんです。その習慣がいつの間にか染み付いていて、8年前に家内と結婚してからもそのスタイルを続けています。一度「よく我慢しているね」と聞いてみたら、「特に我慢してないよ」と言ってもらえた(笑)。

麻耶子さん:私達はよく旅行するんです。山口と東京を行き来するのにも車を使って、いつも違うルートを選んでのんびり旅を楽しんでいます。そんな時、二人の1週間分の荷物が小さなバッグに十分収まるので、最近はこれだけあれば生きていけるんじゃないかと思うようになりました。南仏で、アパート形式のホテルに滞在した経験も影響しています。食器もリネン類もシンプルなものが4組ずつしかなかったのに、それがすごく快適でした。「溢れる物に振り回されないことは、こんなに心地いいんだ」って。それで山口にセカンドハウスとして小さな家を建てました。偶然にも、スケルトンハットもほぼ同じサイズです。そんな小さな家で、日用家電やお皿も真剣に選んで本当に気に入った物だけに囲まれて暮らすのが気持ちいいと思うようになったんです。

森田さん:何かを購入するときもとにかく吟味して、1個増やせば1個減らす。その行為自体が楽しくなったんだよね。

佐藤さん:私も旅好きなので、物はそんなに必要ないという感覚はわかります。紙袋一つくらいの荷物で海外旅行、というスタイルに憧れているんです。

森田さんのスケルトンハットは、山口の家に次ぐもう一つの生活の場。シンプルなデザインの棚やテーブル、機能性の高さで知られる調理器具や家電が限られたスペースにぴたりと収まっています。一方、佐藤さんは事務所としての利用。もともとお好きだというアンティークが基調の椅子やテーブルがゆったりと配され、非日常的でありながら居心地の良さが伝わるインテリアです。

森田さん:うちは生活できる環境を早く整える必要があったので、テーブルやワゴンなどの家具に関しては一気に買い揃えました。無印良品やカインズホームなどのシンプルなものが中心ですが、靴箱やベッドはデザインが気に入ったものを入れました。

森田家のキッチン。棚やワゴンはサイズピッタリ。そこに厳選された道具が整然と収まっています。

佐藤さん:テイストが統一されているからか、急いで揃えたとは見えないのがすごいですね。私はまだ部屋づくりの途中です。自宅でもこのスケルトンハットでも、「一生好き!」と思うほど惚れ込まなければ買わないと決めています。それでも若い頃はあれこれ買っていたんですが、今の自宅を購入して引っ越すとき、大量に捨てました。今まで何度か引越しをするたびにゴミを運んでいたのか、とショックを受けるくらいの量でした(笑)。間に合わせで買うと絶対に後悔するのに、もったいないと思って捨てるに捨てられず、それがストレスになってしまう。だから今、本当に好きなものを探している最中なんです。

——佐藤さんはこちらを事務所としてお使いとのことですが、どんな風に過ごされていますか?

佐藤さん:ほとんどのクライアントは東京の企業なので、事務的な打合せなどは大体都内でやっています。こちらには、うちの元社員で今はフリーランスのシステムエンジニアとして契約している人達に来てもらうことが多いですね。ストレスを抱えてメンタルの調子を崩す人が多い職種なので、ここへ来て海でも見てのんびりしてもらうんです。

大きな窓から木が見える佐藤さんのリビング。アンティークのテーブルと椅子が落ち着いた雰囲気。

——こちらを借りてから、何か変化はありましたか。

佐藤さん:以前の事務所に行く時は「書類や郵便物が貯まる頃だから、そろそろ行かなきゃなあ」と、重い腰をあげるような状態でしたが、今では「今週は辻堂に行ける!」と楽しみになりました。いつもの生活から離れた場所だと「しなければいけないこと」から解放された感覚がありますし、いかにも事務所的な殺伐とした感じでもないので、ストレスは感じないしいい発想も湧きます。そういえば来客が減ったのもよかったことの一つです。都内の事務所だとみなさん割と気軽にいらっしゃる分、どうしても要件以外のおしゃべりも長くなってしまっていたのですが、そういう時間がぐっと減ったのはありがたい(笑)。事務所をここに移したことで「鵠沼海岸の近く?なぜ?」なんて話のきっかけになって、営業的にも役立っています(笑)。

森田さん:一ヶ所だけで暮らすより、変化があるのも楽しいですね。一箇所にとどまっていると物の見方も内向きになっていきますが、生活の場所が定期的に変わると否応なく外を見るようになります。

麻耶子さん:歳を重ねた時に人に迷惑をかけず、自分も楽に暮らしていけるのはこのくらい小さな家なのかも。広い家だと掃除やメンテナンスにエネルギーを使わざるを得ないけれど、このくらいのサイズでシンプルに暮らして、その分夫婦二人のアクティビティに時間を長く使ったほうが、人生は豊かになると思うようになりました。

佐藤さん:わかります。横浜の自宅はこのスケルトンハットに比べて随分広くて、掃除をしていると、家が主人で私が使われているかのように感じることがあるんです。掃除は趣味の一つなので楽しんではいますが。

森田さん:フランスで世話になったご婦人と、何かのきっかけで議論したことがありました。僕がなんとなく「人間は幸せになる権利がある」と言ったら、「人間が幸せになるのは権利じゃない。義務なのよ」と反論されて。つまり、義務である以上は幸せになる努力をしなきゃいけない、と真剣に言われて、フランス人が毎日のご飯もおろそかにしない、毎週末の過ごし方も無駄にしないのは、そういう考えに基づくものなんだなと思って、以後、心にとどめて日々を暮らしています。

佐藤さん:今日お話しさせていただいて、思いのほか勉強になって、ついメモを取ってしまいました(笑)。ありがとうございました。

森田さん:こちらこそ、今後ともよろしくお願いします。山口の家にもぜひ遊びにいらしてください。

佐藤さん:ぜひ!

一つの場所に囚われない暮らしがいい刺激になっている、と口をそろえるお二方のお話には、小さな住まいで豊かに暮らすためのヒントがたくさん散りばめられていました。クリエイティビティ次第で、スケルトンハットの可能性はかなり広がりそうです。

THE SKELETON HUT(スケルトンハット)の詳細はこちら

リアルに住める高性能小屋「THE SKELETON HUT

TINY HOUSE JOURNALタイニーハウスの“現在”を知る

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