伝統工法を活かすデザイン。インドネシアのバンブーハウス|ナチュラルビルディング×暮らし

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ナチュラルビルディングとは、その土地にある自然の材料を使い、できるだけ環境に負荷をかけない方法で家を建てること。本連載では、各地にある自然素材の家づくりと、そこにある人々の暮らしを紹介しています。

★連載第1回はこちら⇒スペイン、みんなで建てるわらの家

第2回目の今回は、インドネシアで見た、バンブーハウス(竹の家)のお話です。

竹の家は貧しいイメージ?

インドネシアでは、竹は古くから、住宅建材として広く利用されてきました。手に入りやすく加工もしやすい、高温多湿な気候にも適した竹。竹を使った家づくりの歴史の中で培われてきた職人技術。けれど近年では、それは、失われつつあると言わざるを得ません。

都市部ではもちろんのこと、地方の住宅も、竹だった部分がトタンやコンクリートに変わってきています。経済性、安全性、施工性、時代の流れ。様々な理由か ら、住宅事情は変化しています。

こうした中で、今のインドネシアには、「竹の家=貧しい」というイメージが存在します。

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スラウェシ島・トラジャ族の民家。屋根材に竹を使っている。 こうした伝統建築が残っている場所もある

圧倒的なデザイン

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竹の家が貧しいというイメージを、大きく覆すのが、このバンブーハウス。

「竹でできた家って聞くと貧しいイメージがあるけれど、この家を見たらもうそんな風には思わないわよね」

案内してくれた女性が、こう話してくれました。

バリ島の中心地デンパサル、そこから車で30分程先の森の中に「Green Village」というコミュニティがあります。ここに建つのが、バンブーハウスの建築群。18棟ある建物は構造体から内装、家具までほとんど全てが竹で出来ています。

設計施工チームの”IBUKU”がそれぞれのオーナーの要望に合わせて、一棟ずつ設計している為、18棟それぞれ全てが個別のデザイン。最大で6層(6階 建て)にもなる家もあったり、プールが付いていたりと様々ですが、共通しているのは、開放的な空間づくり。

家の中にいるのか、自然の中にいるのかわからな いくらい徹底的に壁や窓ガラスを取り除いた空間。流れ込む風は、辺りの自然の息遣いをそのまま内部に運んでくれます。

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開放的なLDK。壁や窓ガラスがない分、各所にすだれを取り付けて、雨や日差しを遮る工夫がされている
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寝室。リビングに比べると気密性は高い

環境に調和する家

外に対して開放的ということは、室内空間が外の変化に影響を受けやすいということ。ジャングルのような緑に囲まれたこの場所、やっぱり気になるのは「虫」。

環境に調和することも、ひとつのコンセプト。

そうは言っても、ハエや蚊が室内に入って来るのは、避けたいもの。きちんと対策がありました。居住スペースは地上から高い位置にあり、飛翔力の弱い虫たち は上まで飛んで来ません。それからベッドは蚊帳で覆われているので、寝るときは安心。 オーガニックの蚊よけスプレー オーガニックも各所にあって、訪問中は刺されることはありませんでした。

また、いくら開放的でも日中は暑くなることもあります。家によっては個室はきちんと窓が閉まり、エアコンが取り付けられているところもありました。そうした加減は持ち主の価値観によってフレキシブルなようです。

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寝るときは、ベッド周りに蚊帳を張る

伝統工法を活かすデザイン

サステイナブル(Sustainable)とクラフトマンシップ(Craftsmanship)がここでの家づくりのコンセプト。竹は地元で育て収穫したものを、それも4種類の竹を用途によって使い分けています。きちんとメンテナンスをすれば、少なくとも75年間は構造的な強度が持続します。それを可能にしているのが、職人の技術。工房(BAMBOO FACTORY)では、建材や、家具となる竹を、職人たちが加工しています。

伝統技法が、新しいデザインによって受け継がれています。

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古くからある竹の建築は、その土地の材料を使い、環境に調和する家づくりでした。それは意図されたものでは無いけれど、ナチュラルビルディングの思想そのものです。

ナチュラルビルディングという言葉が使われ始める前から、伝統建築はナチュラルビルディングだった。それは実は、当然のことなのかもしれません。