SAIKAI TINY HOUSE
DESIGN CONTEST
2025

レポート
2026.03.16
今年で3回目となる「さいかいタイニーハウスデザインコンテスト2025」。
「さいかいヒノキと暮らすふたつの時間」のテーマのもと、今年は「母屋タイニーハウス」と「離れタイニーハウス」と建屋カテゴリーを選択してもらう形式での募集とし、77作品(母屋31件、離れ46件)の応募がありました。
デザインや建築構造、利用イメージなどアイディアの一つ一つに趣向を凝らした作品が、全国各地さらには海外から多数寄せられました。ご応募いただいた皆さま、誠にありがとうございました。
コンテストの審査会の模様をレポートいたします。
2026年2月下旬、大瀬戸町の瀬戸港付近にあるコミュニティー施設にて、審査会が開催されました。
港にただよう離島行きのフェリーが小さな汽笛を鳴らし、入江の穏やかな海風が頬にあたると、今年も西海市に来たのだなと深く感じることができました。
審査会場には審査員の皆さんと事務局関係者が集合し、審査に臨みました。
冒頭にて、瀬川西海市長より開会のご挨拶をいただきました。
瀬川市長は「西海市はゼロカーボン社会を目指し、カーボンニュートラルを進めている。森林保全を取り巻く環境は厳しい状況にあるが、ドローンやICT技術を活用した取組を進めており、西海市産ヒノキを活かす当コンテストも、その一環である。
建築分野の資材や人件費が高騰するなか、西海市産ヒノキを用いたタイニーハウスをどのように人々に浸透させていくかが課題。
今回素晴らしいタイニーハウスの作品が多く寄せられた。この取組がますます発展するよう審査にご協力をお願いしたい。」とお話いただきました。
その後、当コンテスト事業の主幹である西海市農林緑推進課の里中さんから、今年の応募要項についてご説明がありました。
「母屋」と「離れ」 と建屋のカテゴリーを設けた理由については、過去実施したタイニーハウス利用に関するアンケートで、母屋や離れとして活用したいという回答が多く寄せられたことが背景にあると説明がありました。
また、「タイニーハウス西海モデル」の定義を提案条件に加えたのは、木材にこだわったタイニーハウス開発に舵を切ることで、西海市産木材の需要拡大を促進する狙いがあるためであるとお話がありました。
その後、宮原審査委員長により審査を進行いただきました。
審査はこのような流れで行われました。
・一次審査:審査員が事前に選出した推薦作品を発表
・二次審査:推薦作品を互いに評価しながら作品を絞り込む
・最終審査:更なるディスカッションを通して入賞作品を決定
今年の賞は以下6種、9作品です。
・最優秀賞 1点
・奨励賞 1点
・佳作賞 3点
・学生賞 1点
・妄想滞在記賞 1点
・タイニーハウス西海モデル開発研究会賞 1点
・YADOKARI賞 1点
一次審査は、審査員の皆さんがすべての作品の中から事前に選定いただいた推薦作品を、お一人ずつ発表していただきました。
●審査委員長
長崎総合科学大学 名誉教授 宮原 和明さん
宮原さんは長崎にて建築分野で長きにわたり教鞭をとり、多くの人材を輩出されました。現在も自然共生や環境保全関連の取組に深く関わりを持っておられ、当コンテストにおいても3年間、審査委員長を務めていただきました。
作品の選考は、自然との共生や調和を深く取り入れた設計のものや、ユニット式で配置を自由に組み合わせできるなど仕様の柔軟性を備えたものが高く評価されました。
学生作品においては、着想が優れており今後の活躍に期待が寄せられるものがあるとの評価がありました。
●審査員
長崎県建築士会 女性委員会 元委員長 三好 智子さん
女性建築士として活躍されている三好さんは、これまでの豊富な建築実績をもとに、暮らしやすさや使いやすさを重視しつつ、コンセプトをどのように設計に落とし込んでいるかという点や、建材の使い方などについてご経験に裏付けられた深い観点から作品を審査していただきました。
西海市のタイニーハウス西海モデル開発研究会 会長 谷川 信平さん
谷川さんは地元で建築会社を経営されており、西海市のタイニーハウス開発プロジェクトにも参画されておられます。実際にタイニーハウスの建設に携わる機会が多いことから、審査においては建設を想定した現実的な観点と、コンセプトやデザインの表現を評価する観点の両面から、幅広く審査していただきました。
YADOKARI株式会社 代表取締役 さわだいっせいさん
トレーラーハウスなど可動産を活用した新しい暮らしやビジネスの可能性を提唱するYADOKARIのさわださん。1年ぶり2回めの審査会参加となりました。空間表現に落とし込まれたディティールから作品の世界観を捉えるなかで、タイニーハウスを活かしたこれからの暮らしを鑑みて、共感が得られるもの、期待を持てるものなどの観点で審査をしていただきました。
一次審査にて選出された作品をテーブルに並べ、二次審査へと進みました。
候補作品は、新しい切り口でヒノキを存分に活かした作品や、木造建築の可能性を押し広げる斬新なデザインの作品など「こんなアイデアがあったのか」と思わせるユニークな作品が数多く並びました。甲乙のつけ難い内容であったことから、審査員がテーブルを何度も回りながら慎重に審査する様子が見られました。
最終審査では、二次審査を経て推薦作品がさらに絞り込まれ、残った作品を囲みながら活発な議論が行なわれました。その過程で評価の整理が進み、受賞作品が決定されました。
選考作品や受賞作品の詳細については、受賞作品発表ページ(リンク)をご覧ください。
今年も多彩な作品が集まり、審査員による活発な議論の中で受賞作品が決定しました。
どの作品も表現力豊かで、妄想滞在記を読み終える頃には、まだ見ぬ西海市の未来の暮らしが頭の中に思い描かれるようでした。
自分らしい着眼点を持ち、アイデアを空間として形に組み立てる、そんな素晴らしい力を持つすべての応募者に、心から敬意を表する思いでした。
西海市のタイニーハウスの取組は、多くの関係者と連携し、さまざまな検討を重ねながら進められています。
皆さんからいただいたアイデアが種となり、西海市の地域に芽吹いていく未来を描きながら、これからも一歩ずつ歩みを進めてまいります。
