フィンランドの森にポツンとある一つ足の家「Niliaitta」

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ここは北欧のフィンランド。
首都のヘルシンキから北に400km、車で5時間ほど走った場所にSalamajärvi National Park(サラマヤルヴィ国立公園)という場所がある。

多様な海水湿地帯があり、鹿が1000ほども生息していることで知られる自然豊かで美しい国立公園だ。
77kmものトレッキングエリアがあり、その周りにキャビンやテントなどが点在するエリアだ。

フィンランドは首都のヘルシンキなどの大都市を除き、家が隣と密接して建てられているということが少なく、一件一件が離れて建てられているということが多く、ご近所のところまで挨拶に行くのに何kmも歩かなければ行けないというのが普通にある。

そんな、住宅事情があり、かつ、北欧神話根付く森の奥深く、周りの木に紛れてほっそりとした支柱に一本足で立つ小さな黒いキャビンが立っている。

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上から見ても周りの風景にしっかりと馴染んで隠れている。

この黒いキャビン、「Niliaitta(ニリアイッタ)」を制作したのはStudio Puisto(スタジオ・プイスト)

この高床式の作りは、この土地に古来から住む、遊牧民族であるサーミ人の昔からの知恵であり、日本の高床式と同じく、食べ物を保存するために当時としては最適な設計だった。
そこから着想を得て、この高床式のデザインを採用した。

このように基礎を作らずに高床式にすることで、工数を減らし、周りの自然への影響を極力減らすことができるので、環境にも優しい。
また、柱となっている木も現地から採取したもので、カーボンフットプリントをできるだけ出さないように工夫して作られている。

建設する場所に関しても、もともと生えていた木をなるべく切らないように建設できる場所をしっかりと選んでいった。

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正面からこのキャビンを見据えると、そのフォルムは形式的でもあり、非常にスタイリッシュな印象を受ける。
どんぐりを逆さまにしたどんぐりゴマのような形にも見える。

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高床式であるため、室内へのアクセスは長い階段を登った先にある。
わざわざ長い階段にしなくても良いのではないかと思う方もいるかもしれないが、この「階段を登って入る」という体験そのものが、このキャビンでの暮らしにとって大切なものなのだ。
大自然の中から、徐々に安全な場所に入っていくという安堵感は確かに儀式のように、ある種の神聖さを体感できるものだ。

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中に入ってみると白い木の壁が光を美しく反射し、非常に綺麗で整って、美しい。
よくみると壁に小さな縦模様が入っており、光の反射具合で様子の変わる壁を見るのも楽しみの一つだ。

大きな窓が正面の壁一面を覆っているため、中からでも外の景色を楽しむことができる。
また、窓のすぐ近くにベッドが置いてあるため、ここで寝転びながら、スカンジナビアの大自然の様子を楽しむことができる。
朝起きた時も自然光がここから入り込むため、自然に目覚めることができ、寒いフィンランドでも、日中を暖かく過ごすことができる。

インフラもしっかりとしており、電気や水道も使え、キッチン、シャワーもしっかりとある。
都市部に住んでいるのと同じ快適さで過ごすことも可能だ。

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このキャビンはKivijärvi(キビヤルヴィ)リゾートに建設される予定の25のキャビンのうちの一つで、一つ一つ違ったデザインを採用するようだ。
あるキャビンは地面に置かれたり、あるものは近くの湖の上に浮かべ、北欧サウナを併設する予定だ。

ここに来ることで、普段の社会関係や人間関係からいい意味で切り離され、しっかりと一人の時間を楽しむことができる。
小さくても豊かなミニマリズムの暮らし方がここ、フィンランドにしっかりと根付いているのだ。

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