『月極本』って何? YADOKARIの新メディアが目指すこと
こんにちは、『月極本』編集長の宮下 哲です。2015年12月、『月極本』がついに創刊となりました! 有難いことに2000部限定で発売した創刊号はそろそろ完売となりそうです。でも、そもそも『月極本』って何? そう思われた方に、ご挨拶代わりに『月極本』のことを簡単に解説しておこうと思います。
30年前の『週刊本』って?
そもそも『月極本』が生まれたきっかけは、いろいろな偶然が重なった結果だった。と言っても、いま思えばそれも必然だったと思わずにはいられない。
きっかけになったのは、とある古本屋でたまたま見つけた『週刊本』という小さな雑誌だ。『週刊本』は、朝日出版社より1984年から約1年間、計44冊、発行された若者向けのカルチャー誌。内容は、デザインから文学、社会思想などを幅広いジャンルを網羅していて読み応えも十分。日本の雑誌なのにアメリカのペーパーバックとほぼ同じサイズなのも和洋折衷な感じでそそられた。
季節は初夏。渋谷のとある喫茶店で、YADOKARIのさわださんとウエスギさん、そして僕らは、『週刊本』の話しで盛り上がっていた。
「なんとなくミニマルな雰囲気を漂っているし、こんなカタチの本が今の時代にあったら面白いのかなと思う」
「触った時の質感がいいなあ」
「ぜひ、やりたいですね!」
新たなメディアの実現に向けて、ミーティングでは、すでに具体的な話しがはじまっていた。
『月極本』という名の由来
ここで、『月極本』という名の由来についても話しておく。かつて80年代に出版されていた『週刊本』をオマージュする意味で、名称については、「隔月本」とか「週間本」、「月刊本」など、いろいろと候補を挙げてみた。しかし、いずれもぱっとするものがない。
ミーティングのたびに誌名をどうするかについて、男3人衆は頭を抱えていた。だが、さわださんの「月極って言葉はどうだろう」という発言が突破口となった。
「月極と言えば駐車場だし、ひとつの空間をシェアするイメージがあるしね」
「そうか、『週刊本』のオマージュなので、『週』から『月』へ、時間軸がリンクしている感じもいい」
「うんうん、いわゆる『月刊』で出す雑誌ではないので、『月極』という言葉は絶妙かも」
そんな会話を3人でしてたかどうかはうる覚えだが、喧々諤々考えたすえに、『月極本』という名に決まったのだった。ちなみに、アートディレクターの西山勲さんが、この編集会議に合流したのもちょうどこの頃。初夏に僕とYADOKARIが出会い、夏に西山さんがアートディレクターとして加わると、秋頃の創刊を目指してプロジェクトは加速度的に進んでいった。
『月極本』の顔となる表紙のイメージは、西山さんの知り合いのアーティスト北島敬明さんが引き受けてくれた。表紙のラフイメージが最初に出てきたときは本当にワクワクするものがあった。
『月極本』でやりたいこと
『月極本』は創刊号から3号続けて、ミニマルライフの新しいカタチを提案していく。創刊号では、YADOKARIが「未来住まい方会議」で2000近く紹介してきた事例の中から、50事例を厳選して掲載。今後のラインナップの中には、YADOKARIのキュレーションを通して、さまざまなテーマが俎上にあがってくるだろう。だから、「こんなテーマを『月極本』というフォーマットで編集してほしい」という読者からの提案も大歓迎だ。
なにはともあれ今回、納品ギリギリまでいろいろな困難にぶつかりながら、創刊にこぎ着けることができたのは、4人のチームワークによる賜物だと思う。
今はこの小さなメディアが産声をあげた喜びを読者のみなさんと一緒に分かち合いたい。まだまだ未完成な部分も多々あるだろうが、ぜひ、これからの展開に期待してほしい。そして、できることなら温かな目で、みなさんとともに、この新たなメディア『月極本』を育んでいけたらと思っている。
『月極本』編集長 宮下 哲