第1回:スウェーデンの伝統的な赤い家 〜ひみつの屋根裏部屋を覗いて〜
未来住まい方会議のみなさま初めまして、こんにちは。これからこちらで執筆させて頂く事になりました。サリーン森亜です。これから、私の住んでいる国スウェーデンの、人々の暮らしについてお伝えしていきたいと思っております。どうぞよろしくお願い致します。
私とスウェーデン
まず始めに、私とスウェーデンについて少しお話します。現在の旦那さんと初めて出会ってから、彼の祖国スウェーデンを訪れるまでには2年という歳月がありました。彼の話を聞いて、本で見て、読んで、それまで憧れ続けたスウェーデン。2010年の秋、私は初めてスウェーデンに降り立ちました。それは5日間だけの短い旅。ストックホルムには数回しか来た事がないという地方出身の彼と2人で、地図を見ながら街を散策しました。木々が色付いた秋のストックホルムの街は、金色に輝いていました。本に書いてあった通り、街は島になっていて、街から街へは橋を渡る。本当だ。これが海に浮かぶ街かぁ。冷たい風がとっても心地よかったのを覚えています。
古い建物に、アンティーク調のショップやカフェ。狭い石畳の路地。何もかもが素敵で、夢中で写真を撮りました。
今まで色々な国に行ったけれど、これほど期待以上に胸が高鳴ったのは初めてでした。そのくらい、この国は自分にすっと馴染んだのでした。そんなこんなで、日本とスウェーデンを行き来し2012年の冬から本格的にスウェーデンに移住しました。
街の美しさに感動したのも去ることながら、私が魅了されたのはスウェーデンのアンティークやビンテージ、ハンドクラフトなど、暮らしの中に登場する道具(生活用品)。そして、伝統的な赤い家。さらにはその暮らしぶりです。
伝統的な赤い家
今回はその伝統的なスウェーデンの赤い家についてのお話です。
スウェーデンの田舎の風景。そこには、あちらこちらに赤いおとぎ話のような家がたっています。スウェーデンの伝統的なサマーハウスです。
多くはそこを夏の別荘として使いますが、ここにはこの赤いおとぎ話のような家に住んでいるおばあちゃんがいます。その生活ぶりはまさにcuteで、寒い国の温もりがつまっています。そんなおばあちゃんの家の屋根裏部屋に泊めてもらったことがあります。二度目のスウェーデン滞在の時の事。昔、子供部屋として使っていた屋根裏部屋。今は物置になっているその部屋を、日本からのお客のために準備してくれました。
迎えてくれたのは、なんともすてきな部屋だったのです。皆さん、スウェーデンの有名な童話『やかまし村』って知っていますか?映画にもなっている、スウェーデンの田舎の様子を描いたお話です。この部屋はちょうど、この『やかまし村』の話に出てきそうな素敵な屋根裏部屋だったのです。原作は『長靴下のピッピ』の著者でもあるスウェーデンの偉大な作家、アストリッド・リンドグレーンです。
間接照明やキャンドル。細部のインテリアまでセンスが光ります。スウェーデン人は皆、ちょちょいと部屋を素敵にコーディネートするのが得意です。
家を横からみると、屋根裏部屋があるのが分かります。ベッドは窓から入れたそう。
そんなこんなで憧れの赤い家との出会いは、想像以上におとぎ話ちっくだったのでした。
おばあちゃんのインテリア
他にも、この赤い家の中にはワクワクするような見所が沢山あります。おばあちゃんのハンドクラフトやインテリアの数々です。
ウッドクラフトは全て彼女の自作。スウェーデンのおばあちゃんインテリアはとっても洗練されています。
なんとも素敵なスパイスジャー。アラビア社のものです。赤と青にペイントされた馬はスウェーデンを代表する手工芸品、ダーナラホースを真似て作ったものだそう。
枝を編んで作ったシンプルなオブジェは窓際に飾って。外の景色とマッチしています。
そして、私のお気に入りはこの本棚です。もちろん、こちらもおばあちゃん作。
スウェーデンには素敵な写真の本が沢山あります。お気に入りの本をラックに並べればそれだけで素敵なインテリアになります。
温もり感じるキッチンルーム。冬が長くて寒さが厳しいスウェーデンだからこそ、家の中は温かみにあふれています。
常に何かのプロジェクトを抱えて、手作りの生活を楽しむ彼女。その中には、刺繍や織物のプロ顔負けの素晴らしいものから、私も真似出来そうなシンプルな、でもアイディアが満載のクラフトまで様々です。
旦那さんと共にリノベーションを楽しみながらの生活。心をこめてリノベーションした家ならずーっと住んでいたい、と思うのかと思いきや、今までの引っ越し回数は7〜8回とか。スウェーデンでは綺麗にリノベーションした家は高く売る事が出来るので、皆次々にステップアップして住まいを移り変える、と聞いた事があります。古い家をリノベーションしながら暮らす。スウェーデンでは主流な住まい方。普通の人もそのスキルを持っているのです。
この屋根裏スペースの一部を部屋にしたのも、自分たちの手作り。壁を作り、ドアを付けて、床を整え、壁紙を貼り。。。。そして、あんなに素敵な “部屋” が生まれたのです。
最後に
スウェーデン人の暮らし。それは、おうち時間をとっても大切にする暮らしです。そして、自然が生活に溶け込んでいる、それこそが暮らしに彩りを与えているのだと思います。セカンドハンドやリユースも国民の生活に根付いています。お金をかけずにアイディア次第でこうも暮らしを豊かにすることができるのか、と彼らの生活上手には、はっとさせられることが度々あります。こうやって、私はどんどん “スウェーデンの暮らし” に魅了されていったのでした。
これからスウェーデンの暮らしをお伝えして行くなかで、読者の皆様がほっこりとした気持ちになったり、生活のヒントを得て皆さんの暮らしに小さな幸せが増えたら、とても嬉しく思います。では、次回をお楽しみに。