第3回:“ホンモノ”を感じるマナビゴト 親子で楽しむフェスティバル「青のホリデー」| 未来をつくるマナビゴト
フェスティバルで、楽しみながら“ホンモノ”を体験
2014年7月5日、IID世田谷ものづくり学校で、子どもと楽しめる街のフェスティバル「青のホリデー」が開催されました。コンセプトは「子どもたちに“ホンモノ”を届ける」こと。アートのワークショップ、新鮮な野菜と果物のマルシェ、音楽やダンスを楽しめるパーティなど様々な楽しみが詰まっています。今後も継続、拡大していく予定の「青のホリデー」に注目しています。
実はプライベートで娘を連れて行ったのですが、そこで感じたのは「今の時代ならではのマナビの場」だということ。現代はあまりにも多くのモノや情報が溢れていて、何が自分にとって必要で何が必要でないのか混乱してしまうことも。
そんななかで「青のホリデー」のコンセプトである“ホンモノ”を見る目はとても大切です。フェスティバル全体がオシャレで心地良い空気に包まれているのもポイント。 キッズだけでなくパパ&ママも、リラックスしながら一緒に過ごせるのです。
この素敵なマナビの場をプロデュースしたのはどんな人たちだろうと、興味が湧いた私。さっそくフェスティバルの実行委員会にコンタクトを取り、「青のホリデー」主催者のひとり「HugMug」のプロデューサー兼編集長である宮城直士さんにインタビューすることができました。
そこで今回の「未来をつくるマナビゴト」のコラムでは、宮城さんが「青のホリデー」に込めた思いをお伝えします。今の時代を生きる私たち大人が子どもに体験させるマナビゴトは、謂わば次世代へのメッセージでもあります。宮城さんの思いを知り、次世代に伝えたい“ホンモノ”とは何か、一緒に考えてみませんか?
未来に“ホンモノ”が受け継がれて行くことを願って、多彩なジャンルのプロが集結
このフェスティバルを主催する青のホリデー実行委員会は、どのような経緯で設立されたのでしょうか。
「青のホリデー実行委員会は、全国各地でママを応援する親子イベントを実施し、毎回5000人規模の動員を誇る『&mama』の代表・伊賀正直と、こだわりと確かな想いを持つ全国各地の生産者様より毎日届く新鮮なお野菜やフルーツの販売をする『マルシェ&ドルチェ』の代表・長野健司。そして、親子の可愛いファッションとライフスタイルを発信する雑誌メディア『HugMug』のプロデューサー兼編集長である宮城直士の3人が共同代表として、2014年の春に立ち上げました。」
アート鑑賞やモノ作りのワークショップ、食の体験など、さまざまな要素が盛り込まれていました。
「各方面で活躍しているアーティストやクリエイターなど、“ものづくり”と“ことづくり”のプロフェッショナルを集めて、たくさんの人に“ホンモノ”を体験してもらいたい。その体験を通じて生まれる親と子、人と人のコミュニケーションを、さらに育むキッカケをつくっていきたい。『青のホリデー』は、そんな想いでつながる仲間たちが集まって作り上げたイベントです。」
“ホンモノ”というキーワードは、「青のホリデー」のメッセージにも掲げられています。宮城さんが考える“ホンモノ”とは?
「例えば、『青のホリデー』では、国内外で活躍するアーティストのOHGUSHI氏に、子どもたちと一緒に作品をつくる『空の動物園』というワークショップを開催してもらいました。
OHGUSHI氏は水墨画と同じスタイルで美人画や水彩画を描かれているアーティストです。普段、幼稚園や小学校でつかうものよりもずっと大きなキャンバスに、恐らく彼らはチャレンジしたことのない“にじみ”という技法を体験しながら、世界で活躍するOHGUSHI氏と一緒にひとつの作品をつくる。参加した子どもたちにはきっと、日常ではなかなか触れることができない“ホンモノ”を体験してもらえたと思います。」
“ホンモノ”を知ることは、子ども達の未来に大きなプラスになりそうです。
「先ほどのようなアートのワークショップでいえば、単に絵を描くといっても、いろんな描き方があること。ものづくりの幅の広さを知ってもらうキッカケになって欲しいです。
屋上で開催したマルシェも、本質は同じ。本当においしいお野菜は、そのままでも食べられる。そういう体験を子どものころから積み重ねる大切さを、子どもはもちろん、ママたちにも伝えていきたいのです。そして将来、アーティストとして、デザイナーとして、生産者として、子ども達が様々なフィールドで活躍することを信じています。
その子どもたちが同じように、未来の子どもたちに“ホンモノ”を伝えていき、美しいアートやこだわりのある作物が、未来の日本・世界にも存在し続けることが私たちの願いです。」
親子で体験し、一緒に考えるマナビゴト
確かに「青のホリデー」では、子どもが夢中で楽しむ姿を見ることで、親にも新しい発見があったようです。これからの子どものマナビゴトに必要なのは、昔のお稽古ごとのように子どもをある目的に向かって「教育」するのではなく、親子で体験しながら一緒に「考える」ことなのかもしれません。今の時代、私たち親だって何が“ホンモノ”なのか、はっきりと分かっているわけではないのですから。
「青のホリデー」は、決して何かを押し付けるのではなく、主催者の宮城さんたちの考える“ホンモノ”をプレゼンテーションするなかで、最終的な判断は参加者に委ねられています。リラックスした雰囲気のもと、家族で様々な体験をしながら“ホンモノ”を感じ、自分たちにとっての“ホンモノ”とは何かを考える。宮城さんは参加者がフェスティバルの体験を自分のものにできるように、スペシャルなシカケを作ったそうです。
「ゆっくりとした休日に、青空の下で、親子が自然に楽しめる空間にすること。これがまず大前提でした。ワークショップも食もアートも音楽も、ジャンルは様々ですが、すべてに共通するのは“ホンモノ”であるということ。それらが集まって自然発生する空気感が、『青のホリデー』らしさだと思っています。
また、参加者が館内を回遊してもらえるシカケとして“スタンプラリー”を用意したのですが、そのスタンプラリーのテーマは“香り”。館内のポイントに香料を入れた瓶を用意し、その香りを子どもたちに実際に“かいで”もらい、回答用紙に記入してもらいました。7カ所の中でフルーツの香りが6カ所。ひとつだけ、答えが無いものを用意したんです。
その答えは“空の香り”。“みて・きいて・たべて・かんじて・かぐ”。五感をフルに使って体験し、想像力も働かせてもらうことで、『青のホリデー』に参加した日のことを、子どもたちの記憶に深く残したいと考えました。でも、きっと『パパとママと参加して楽しかった!』ということが、最も素敵なスパイスだと思っています。」
“空の香り”、想像力を刺激する素敵なアイデアですね! 確かに、両親と一緒に様々な体験をする子どもの笑顔が本当に楽しそうなフェスティバルでした。その笑顔は、「青のホリデー」のムービーにもおさめられています。見ているだけでも幸せな気分になれるこのムービーは、Bolexという80年も前に製造された16mmのフィルムカメラで撮影しているそう。こういうひとつひとつのコダワリが、「青のホリデー」を素敵なものにしているのでしょう。
「青のホリデー」は2015年の春にも、IID世田谷ものづくり学校で開催したいとのこと。また関西や名古屋方面の人々からの要望に応えて大阪でも開催する予定だそうです。詳しくは公式Facebookをご確認ください。
・公式Facebook 「青のホリデー」