「主役は、庭」の家「The Garden Project」
土地にこだわりの家を建てて、敷地が余ったらそこを猫のひたいみたいな庭とする。そんな考えを根底からくつがえすのがこのガーデンルームだ。
主役はあくまでも庭。そこに建てる家は、庭を満喫して暮らすためのちょっとしたアイテムみたいなものに過ぎないのかもしれない。
シドニーにあるこの家を設計したのは Welsh+Major。
まずは何よりも優先して、庭を広々と確保する。家は遠慮がちに、土地の角にL字型に建っている。2方向に広がる屋根のうち、片方がガレージで、もう一方がリビングルームだ。ガレージへ続くエントランスは、車を入れるために石畳は敷かれているけれど、決してコンクリートで地面を固めたりなんてしない。石畳の隙間からは元気よく緑が顔を出す。そう、ここも庭の一部なのだ。
木製のシャッターを上げれば、その先はゆるやかに室内と繋がっている。室内でありながら、ここもやっぱり庭の延長線。頑丈に造られているから、ボール遊びだってできてしまう。雨の日でも体をおもいっきり動かして遊べそうだ。
リビングだって、大きなガラスがはめられたスライド式の扉を開け放ってしまえば、もうほとんどテラスみたいなものだ。不思議な形に折れ曲がり、コンクリートと木材とが融合した天井は、山脈だとか岩場だとか、自然の造形を連想させる。
ガレージとリビングをつなぐ角にはキッチンとバスルームが隠されている。こじんまりとした家ではあるけれど、ちゃんと生活するのには充分な設備が整っている。
土地に対して、屋根がある建物のスペースは、これくらいのサイズ感でもいいのかもしれない。何よりも庭を愛す人に、ぜひともおすすめしたい。
via: Welsh+Major